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カタール250cc決勝 好調の博一選手、落ち込む周平選手

2006年4月11日

4月8日のカタール決勝は強風の吹き荒れるレースだったが、軽量クラスのライダーにとってこの風は辛いものだったらしい。以前から低排気量のライダーが高速走行中に強風に煽られ、フロントを失い転倒という光景は少なくないので、セッティングにはそれなりの工夫が必要だったようだ。



250ccクラスの一列目スターティング・グリッドには、開幕ウイナーのホルヘ・ロレンソ(フォルツナ・アプリリア)、ロレンソのチームメイトのエクトル・バルベラ、ベテランのロベルト・ロカテリ(チーム・トース)、開幕戦2位のアレックス・デ・アンジェリス(MVAアスパル)が並んだ。

ここでは、250ccクラスのレース概要と各ライダー、日本人選手のコメントを紹介する。

■緊迫したトップ2名の争い

レースはスタートに成功した2列目6番グリッドスタートのアンドレア・ドヴィチオーゾ(ヒューマンゲスト・ホンダ)を出遅れたロレンソが追う形となり、9周目にトップに立ったロレンソはドヴィチオーゾと最後まで精神戦を繰り広げ、僅差の0.077秒差で逃げ切りチェッカーを受けた。

最後まで気を抜けない戦いだったとロレンソは述べ、ドヴィチオーゾの走りを称えた。

「今日は勝てないかと思いましたね。」とロレンソ。

「後ろのライダーに全部見られて戦略を立てられてしまうので、相手の真ん前で周回を重ねるのはマズいです。ドヴィチオーゾは知的なライダーなので、隙を見て抜くチャンスを与えてしまっているようで凄く心配になり、なんとか引き離そうとしましたがダメでした。」

「でも2年前の125ccと同じように、なんとかまたカタールで勝てました。今回はあの時よりも少しレベルの高い戦いでしたけどね。」

「風がきつくて厳しいレースでしたが、ここまでの2勝で今後のタイトル争いを少し有利に運べると思います。チームと一緒に完璧な作業をしていますので、この調子をこのまま続けたいですね。」



また、最終ラップでロレンソを交わす事ができなかったドヴィチオーゾは、アプリリアのストレートでのスピード性能と戦うべく今回は限界チューニングに挑戦していたようだ。ドヴィチオーゾはホンダのエンジン出力改善を訴えている。

「レースに向けて限界ギリギリのセットアップをしようとかなり苦しみました。」とドヴィチオーゾ

「最初はそれほど効果が得られなかったのですが、今朝のウォームアップ後には良いレースができる感触が掴めてスタートも成功しました。ただ、ロレンソにつけられてレース中盤には抜かれてしまいました。」

「少し危険をおかしながらロレンソのアプリリアに接近して走りました。自分の戦略では最終ラップに突然抜いて、前半でプッシュする予定でした。最終コーナーはロレンソの方が速かったので引き離しておく必要があったんです。」

「でも結局それはうまくいかず、途中のコーナーで大回りをしてしまい彼に入り込まれました。最終コーナーでも頑張りましたが、横に滑り出したのでスロットルを閉めるしかありませんでした。」

「本当に勝ちたかったです。でも現実的に言えば、勝利をかけて戦うにはまだマシンの馬力が足りません。」



■ロカテリに交わされ悔しがるバルベラ

3位にはベテランのロベルト・ロカテリが最終コーナーでエクトル・バルベラを交わし、僅差の0.034秒差でチェッカーを受けた。ロカテリは1ラップ目にミスをしてコースアウトし、2ラップ目にはポジションを21番手まで落としたが、怒涛の追い上げを見せて19周目には3番手を行くバルベラに追いついた。

悔しいのは2戦に渡って表彰台を逃した4位のバルベラだ。開幕戦は第二予選で転倒し、右手を負傷した事からアクセルがうまく開けられず、最大のライバルであるチームメイトのロレンソから引き離されただけではなく、表彰台も逃した。今回のカタールはレース当日にのみ吹き荒れた強風の為に、最も自信のあったセッティングが使えなかった事が敗因だと嘆いている。

「表彰台を逃してしまいがっかりです。」とバルベラ

「朝のウォームアップの強風でバイクが跳ね回るから結局セッティングを変えなきゃいけなかったんです。昨日の普通の天気では本当にいいセッティングが見つかって勝てそうだったのにひどいですよ。レースではロカテリに接触されて自分のラインを通られて、自分の乗るはずの表彰台に乗られました。」

「今回は攻撃的に走れませんでした。次のレースではもっと攻めの走りをします。また、彼の走りはレースの許容範囲だと思っていますので、レース後に謝罪してくれたロカテリには御礼を言います。」

「ここまでの2戦とも表彰台を逃しました。トルコでは流れが変わると信じます。」

■好調のKTM、青山博一選手

バルベラに続く5位はKTMの青山博一選手だ。2列目8番グリッドからのスタートとなった今回のレースだが、終始安定したペースで走行し、前回のヘレスよりも一つ順位を上げている。風さえなければもっと上を狙える状態だったという。

「今日のバイクはライダーより凄かったですよ。」と博一選手

「週末はチームで頑張ってバイクを良くしました。でも条件(気象)は簡単じゃありませんでしたね。本来なら4位か3位が狙えるくらいのマシンでした。」

「でもチームと同じくらい僕も嬉しいですね。これからもプッシュしてトルコではもっといい走りをしたいです。」

■マシン改善の方向性を掴むポルト

IRTAテストから開幕戦まで全くマシンのセッティングが進まず良い所のなかったセバスチャン・ポルトは、ようやくレプソル・ホンダマシンの改善方向が掴めてきたようだ。二列目5番グリッドからスタートした今回、7位でレースを終えている。ポルトはまだマシンの状態には納得はしていないものの、やっと前向きなコメントを残している。



「うん、結果を除けば悪いレースじゃなかったですよ。」とポルト

「でもまだ改善すべき箇所はたくさんありますね。シャシーはもっと良くしなきゃいけないし、今日はエンジンの調子が今ひとつでした。最大限の走りでこの成績です。」

「第4グループの中で全員を抜いたレースの終盤は良かったです。7位はそれほど悪くないでしょうね。上昇気流に乗る兆しだと信じて次のレースはもっと上を狙いたいです。」

「新品のタイヤとバイクの相性がよくなくてタイムをロスしましたが、レースの後半はいいペースで走れるようになりました。タイヤが新しい時の改善策がいりますね。もっとグリップが必要です。」

「これでやっとリラックスできそうです。もう次のレースに向けての準備が楽しみですよ。」

■次戦にかける高橋選手と落ち込む周平選手



IRTAテストからホンダ勢のトップタイムをマークし、開幕戦は2番グリッドからのスタートで好調だった高橋選手だが、カタールではやや順位を落としている。今回は3列目11番グリッドからのスタートとなり、結果は2つポジションを上げて9位だった。レースウイーク中はフロントまわりに問題を抱えていたようだ。

「今週を通してフロントにトラブルを抱えていたので、自分にとっては厳しいレースでした。」と高橋選手

「ウォームアップで色々他の事も試したんですが、結果は変わりませんでした。それでレースの前に新しいサスペンションを使ってみる事をチームで決めたんですが、これが当たりました。」

「これからマシンの調整を行う予定ですが、イスタンブールはカタールと良く似た感じのサーキットなので、いいベースセッティングからスタートできそうです。」

フル参戦でのデビュー戦となった開幕レースでは1列目4番グリッドに華々しく並び、世界の注目を集めるもレース開始直後に残念なコースアウトを喫してリタイアした青山周平選手は13位で第2戦を終えている。自身初となるカタールを最後まで攻略できなかった事が残念だと、肩を落としている様子だ。

「バイクはとっても良かったんです。」と周平選手

「サスペンションの改善もできましたし全体的にセッティングもOKでしたが、ライダーが今日はダメでした。理由がわかりませんが、このサーキットは全然速く走れないんです。多分今週はあんまり集中できていなかったんでしょうね。」

「スタートは成功しましたが、1コーナーでは何人にも抜かれました。ヘレスでは転んだのでここでは完走を目指しましたが、本当は先頭を走りたかったです。」

次回は4月30日のトルコGP、イスタンブールサーキットだ。


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