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2006年3月25日
ついに2006年MotoGPシーズンが3月24日(金)、スペインのヘレスサーキットで開幕した。
ヘレスは先週から雨が続き、前日の晩まで降り続いた影響から、午前中の路面状況はあまり良いコース状態ではなかったようだ。
幸い、初日のセッション中は若干小雨が降った程度で、コースコンディションは「ドライ」とされたが、MotoGPクラス午前のフリー・プラクティス1では、濡れた路面を嫌って多くのライダーがコース状況の改善を待ち、ピットで待機している。
また、バレンティーノ・ロッシとトニ・エリアスの2名は結局、午前のセッションは走行を見合わせている。ロッシは朝の小雨を見て、すぐさま午前の走行中止を決断をしたようだ。
午前のセッション終盤に走行した他のライダーたちも、決勝当日の天気予報が晴天と言われているだけに、あまり得る物がなかったというコメントが目立つ。
午後のフリー・プラクティス2になると、一時期は真っ黒な雲が空を覆ったようだが後に太陽も見られ、濡れた部分は残るものの、路面状況はいくらか改善されたようだ。午後はMotoGPクラス全てのライダーが大幅に午前のタイムを更新している。
初日のフリー・プラクティス2のトップタイムはキャメル・ヤマハ、バレンティーノ・ロッシ。ヘレスでのIRTAテスト中にチャタリングで悩んだキャメル・ヤマハチームのマシンの改善状況に注目が集まっていたが、ロッシは午後のセッション開始と同時に解決の方向性を見つけ、マシンをほぼ問題のない状態にセッティングし直す事に成功したようだ。ロッシの24周回を終えてのトップタイムは1分41秒613。
ちなみに、今期のIRTAテストでカピロッシが記録したレースタイヤでのトップタイムは1分40秒744。ロッシは初日のセッティングに満足し、以下の通り述べている。
「まだ完全な状態とは言えませんが、テスト中に悩んでいた振動を無くす方法をヤマハの技術者がいくつか思いついたので、それを試したら全て上手くいきました。ここまでのセッティングで思い通りにバイクをコントロールできる状態になり、まだ少し振動はありますが、今はそれほど問題ではありません。」
「開幕とあわせて完璧なタイミングでした。チームが良い方法を見つけてくれて本当に嬉しいです。午後の路面状況がまだあまり良くなかったのでタイムはそれ程出ていませんが、明日はもっと良くなる筈です。」
「明日も頑張って問題解決を続けます。レースまでには良い状態になってるでしょうね。雰囲気も良くなってきたし、日曜が待ち遠しいです。」
2番手タイムはドゥカティーのロリス・カピロッシが記録した1分41秒625。冬季テストの好調さをそのまま開幕戦に持ち込んだカピロッシは、トップを行くロッシとのタイム差が僅かに0.012秒である事を喜んでいるようだ。午前のフリー・プラクティス1での1番手タイムもカピロッシが記録しているだけに、マシンの調整状況には満足している様子だ。
「今日の午後が本当の意味で今シーズン初のプラクティス・セッションでしたが、まだ路面が何箇所か濡れていて通常のラインを走る事ができませんでした。思った以上にやっかいでしたね。それにタイヤのゴムが路面についてくれないので、2週間前のテストの時とはかなり路面コンディションが異なりました。」とカピロッシ。
「でも全体を通して今日は満足できます。トップとは0.012秒しか離れていませんから殆ど変わりませんよ。以前にウェットでも速かったしどんな天候でも大丈夫だと思います。バイクのセッティングもタイヤも殆ど前回のテストと同じです。明日は新しいブリヂストンタイヤを試す予定ですが。」
「明日は今日より必ず速く走れますから楽しみです。良い状態ですよ。明日もこのまま作業を続けますが、もう少し天気が良くなって欲しいですね。」
3番手タイムはレプソル・ホンダのルーキー、ダニ・ペドロサと、ドゥカティーのセテ・ジベルナウが記録した同一タイムの1分41秒798。
ホンダ勢の初日トップとなったペドロサは地元スペインの観衆を大いに沸かせたようだが、ペドロサ本人は特に大きく興奮する様子を見せていない。彼はプレシーズンに引き続き、2005年型ワークスバイクの改良モデルに身体を慣らす事を最優先としている。
「今日は時間が過ぎるのが早かったです。」とペドロサ。
「今日の順位にはもちろん満足ですが、まだ初日ですのでそれほど喜んではいません。週末は長いですからね。午前中は皆それほど走れていませんし、天気と路面状況が良くなればもっとタイムは上がると思います。」
「スペインのファンの前で最初のレースが出来るのは最高です。残り2日間も上手く乗りたいですね。」
ペドロサと同タイムのセテ・ジベルナウは、初日の結果については問題ないとするものの、マシンのセッティングについてはまだ多くの課題が残るとしている。
「今日はまあまあですね。午前中は誰もまともな作業は出来ていないと思うので、午後が最初のセッションみたいなものでした。」とセテ。
「午後も濡れた箇所がいくつもあって完璧な路面状態ではありませんでしたから、テストの時ほど速いペースでは走れていません。」
「バイクをもう少し扱いやすく自然な動きにしたいですね。まだ自分の思いよりもバイクが暴れる感じですが、それについてはチームがいくつか案を出して取り組んでくれています。まだ今は自分にとってラップタイムはそれほど重要だと考えていません。」
「今でも速く走れる事はわかっていますが、もっと安定して速いペースを保てる事が重要なんです。だから今はレース中のペースに焦点をあてて作業を続けています。ブリヂストンがいくつか新しいタイヤを用意してくれたので、明日はもう少し色々試さないといけませんね。」
5番手はカワサキ・レーシング・チームの中野真矢選手。路面状況からリアのトラクション不足に悩まされたようだが、セッション終盤にブリヂストンの新タイヤをトライしてその順位を大きくあげてきた。タイムは1分41秒939.
「午前中は雨天中止って感じでしたね。」と中野選手。
「セッションの終わりギリギリまで待ってから走行したんですが、リアに履いたカットスリックがひたすら滑るんです。午後は少し路面状況も良くなったんですが、コースの所々がセッション終盤まで滑り易くなっていました。」
「最後にブリヂストンの新しいリアタイヤをテストしたら良い結果が出ました。でも明日に路面状況が良くなったらもう一度試さないとだめでしょうね。」
「午後はコース上で自分のまわりにバイクが多すぎて、慣れるのに少し時間がかかりました。たった1時間のセッションは、プレシーズンのように丸一日コースを自由に使えるテストとはかなり状況が異なりますよ!」
「今日は5番手で終れて良かったです。予選で良い結果が出せるように、明日は最後のコンマ1秒が削れるように自分とバイクを見直すだけです。」
6番手タイムはホンダ勢2番手となるフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリが記録した1分42秒108。午後には満足のいく進展が見られたとメランドリは語る。
「天気のせいで午前は殆どテストに使えませんでしたが、2週間前のテストデータがあったのでそれが役に立ちました。」とメランドリ。
「今日は大きな進展があったので満足ですよ。改善が実感できましたしミシュランタイヤの性能も全く問題ありません。2006年開幕レースに向けて今までと同じ方向性でこのまま作業を継続するだけです。」
「一貫して仕事を進めてきましたから、明日はもっと改善できると思います。」
7番手はキャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズ。午前のセッションは2周回しかできていない。また、チームメイトのバレンティー・ロッシはチャタリング解決の糸口を午後のセッションの早期に見つけたが、エドワーズは初日の終了間際まで原因を見つけられずに苦しんだと語る。エドワーズが28周回を終えてのタイムは1分42秒266。
「正直言って、今日はそれほど思い通りになりませんでした。」とエドワーズ。
「天気が悪くて午前中を無駄にした上に、午後は更に45分間も失敗を続けていました。何か間違ってると思っていたのに、方向修正するのに時間がかかりすぎたんです。」
「基本的な間違いはタイヤに圧力をかけすぎだった事です。一度それに気付いてから作業は順調に進んだんですが、残念ながらラップタイムに反映するには遅すぎました。」
「ガレージの向こうではエンジニアが明日の為に凄く良いデータを集めてますよ。セッティングはもっと洗練されるでしょうし、テスト中に抱えていた問題も解決されると思います。明日は貴重な2時間になりますが、チームのしている作業には絶対の自信があります。」
8番手はレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン。IRTAテスト中は2006年型RCVのセッティングが思い通りに進まず、多くの問題を開幕戦まで持ち込んだとするニッキーだが、開幕初日はIRTAテスト時とは全く異なるセッティングを試している。タイムは1分42秒276。
「ここにすっ飛んで戻って来れて本当に嬉しい。」とニッキー。
「今朝の予定は誤報みたいなもんでしたね。準備はできてたのに殆ど走れませんでした。サーキットは先週と同じですが、もっとグリップが得られるように今日は全く違ったセッティングを試しています。若干良くなった気はしますが、今抱えている問題の解決にはなりません。」
「第2コーナーとギア型の第3コーナーで飛び跳ねる事以外は調子が良い気がするので、今は長いコーナー内でバイクの後ろを吊り上げる感じに調整しようとしています。」
「良い方向には向かっていますので、明日も色々試すつもりです。」
9番手タイムは中野真矢選手のチームメイト、カワサキのランディー・ド・ピュニエが記録した1分42秒455。中野選手と同じく終日リアのトラクション不足に悩まされ、バイクのリアが振られるような現象に悩んだようだ。また、午後は予期しなかった緊張感に苛まれたとド・ピュニエは語る。
「午前のコースから学べる事はありませんでした。スリックが履ける完全なドライでもなければウェットでもありませんから。ずっとMotoGPデビューを心待ちにしてたのに、なんだかちょっと期待外れな感じですね。」とド・ピュニエ。
「午後のセッションが始まったら少し緊張してきました。午前は何ともなかったのにどうして急にそうなったのか理由がわかりません。」
「午後の路面状況は難しく、タイムアタック中に高速セクションの2〜3箇所でリアが暴れました。ただ、天気予報通りに明日が晴れなら特に問題はないと思います。9位の結果には満足していますよ。」
「明日も同じ方向で作業を続ければ、自分にとってMotoGPクラスで最初の予選への準備も整うと思います。」
10番手はフォルツナ・ホンダのトニ・エリアス。ロッシと同じく、午前のセッションは走行をキャンセルしている。タイムは1分42秒518。
「今日の路面状況はあまり役に立ちそうもないので、午前中のセッションはコースに出たくなかったんです。」とエリアス。
「午後はIRTAテストの時と同じセッティングで走りました。まだ改善範囲は多く残っていますし、自分のペースを掴む必要もありますが、自信はあります。明日はミシュランのスタッフと組んで作業を進めます。」
11番手はチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ。IRTAテスト以後、シャシーのセッティングに大幅な改良を加えての結果は1分42秒538。
12番手はLCRホンダのケーシー・ストーナー。冬季テスト2度目のセパン初日に肩の古傷が悪化し、地元オーストラリアでの手術と療養の為に、以後のプレシーズン・テストを全てキャンセルしたストーナーだが、開幕戦に向けての怪我の影響は全くないと本人は語っている。
13番手タイムは、今期からダンロップを履きヤマハに復帰したTECH3のカルロス・チェカが記録した1分42秒608。プレシーズン・テスト中はレースタイヤの耐久性が一番の課題と発言していた。
14番手タイムはリズラ・スズキのジョン・ホプキンスが記録した1分42秒727。午前は他のライダーと同様にあまり走行をせず、午後は日曜日のレースを想定したセッティングをいくつか試している。
「今日が最高だったとは言えませんね。」とホプキンス。
「コースの状況がひどかったので午前中は何もできませんでしたが、午後は色んなセッティングを試してみました。前回ここでは良いセッティングが見つからずに苦労しましたからね。」
「今日のタイムよりはずっと速く走れる事は確実ですから、これから以前のテストでやってきた事を見直すつもりですよ。やれるだけの事はやって、明日は出来る限り強くなって戻ってきます。」
15番手はコニカ・ミノルタ・ホンダの玉田誠選手。プレシーズン中に解決できなかったリアのチャタリング問題に取り組みたいとIRTAテスト終了後に語っていた玉田選手だが、初日は納得のいくセッティングを得られなかったようだ。24周回を終えての玉田選手のタイムは1分42秒868
「今日は前回のIRTAテストで掴んだ感覚を取り戻せるように頑張りました。」と玉田選手。
「2〜3箇所に修正を加えて少しは良い感じになりましたが、まだバイクの操作性に十分な改善が得られていません。チャタリングを少し解消できたのに、前回のテストの時の方が乗りやすかった気がします。」
「明日はさらに改善を加えて良い結果を出したいですね。」
16番手タイムはリズラ・スズキのクリス・バーミューレンの1分43秒101。開幕初日はチームメイトのジョン・ホプキンスと同様に日曜のレースに向けたセッティング変更を多く行い、ブリヂストンの持ち込んだ新型レースタイヤのテストも行っている。
「今日はそんなに悪くないですね。順位的にもっと上に行きたいのは当然ですが、今日の午後はシャシーの調整に時間を使っていたのでタイムはそれほど重要ではありません。」とクリス。
「新しいブリヂストンタイヤもテストしましたし、電気系のセッティングも何種類か試しています。午後のコース上も濡れた箇所がまばらにありましたので、テストの時ほどタイムは出ていません。」
「うまくいけば、明日はもう少し別の事も試せるので、状況はもっと良くなると思います。」
17番手以降は、プラマック・ダンティーンのホセ・ルイス・カルドソ(1分43秒712)、そのチームメイトのアレックス・ホフマン(1分43秒781)、TECH3ヤマハのジェームス・エリソン(1分45秒239)が続いた。
(写真提供:レプソルYPF、カワサキレーシング、ヤマハレーシング、ドゥカティーコルセ、チームスズキMotoGP)
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