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2006年3月17日 ShoppingOn編集部
昨年のタイヤ交換に関するレギュレーションや、今回のノックダウン方式の予選導入、アグリチームの参戦など相変わらず話題に事欠かないF1(フォーミュラ・ワン)の世界だが、やはりイタリアを中心に騒がれているのは若き昨年のF1チャンプであるフェルナンド・アロンソ(ルノーチーム)と歴史的なMotoGPチャンプ、バレンティーノ・ロッシの確執だ。
マックス・ビアッジとの古くからの因縁が落ち着きを見せるかと思いきや、ロッシ程の実力者になると喧嘩の守備範囲もMotoGPの世界に留まらないらしい。
バレンティーノ・ロッシが先回のバレンシアでのF1テストに参加して以来、海外のF1サイトだけではなく、日本の多くのF1サイトでもロッシの名前を目にするようになった。日本のニュース番組等でもロッシのテスト走行をご覧になられた方も多いと思う。
ロッシに好意的な態度を取り続けるフェラーリ陣営とは異なり、やっとの事で年間チャンプを手にしたF1のルノーチームは、各界でちやほやされるロッシが大変に気に入らないように見える。昨年からイタリアのガゼッタ・スポーツ等のインタビューでロッシへの非難とも取れる発言を繰り返し続けるフェルナンド・アロンソ本人とルノーチーム関係者だが、今回ロッシがアロンソに仕掛けた「罠」とも思える宣戦布告はとても興味深い。
彼らの細かい発言内容は海外サイトや、それを取り扱うF1サイト等を参照して頂くとして、本サイトではここまでの経緯を簡単にまとめてみたいと思う。
昨年の12月頃、イギリスのテレビ局などの複数のメディアがF1フェラーリチームのロッシ取得に対する真面目なコメントを公表している。ロッシがF1を走りたいと『正式に』発言さえすれば、フェラーリはいつでもそのドアを開けて待っているというものだった。またその場合、「少なくとも2ヶ月間はフェラーリチームでの合同テストに参加してもらう必要がある」とフェラーリの社長は述べていたようだ。
この時期、ロッシは2007年からマクラーレンに移籍するという実しやかな情報もヨーロッパでは流れていたが、これはストーブリーグ中の恒例行事として捕らえておけば間違いないだろう。もちろん事実なら興味深いが。
今年の1月に入ると、主にガゼッタスポーツからのF1関係者のコメントが多くのサイトで引用されるようになった。皇帝ミハエル・シューマッハは「ロッシはF1でも十分やっていけるが、後は彼が本気で4輪に転向したいと思うかどうか。」として、ロッシが4輪転向を悩んでいる事を示唆するコメントを残し、この時ロッシはこのミハエルの発言を受け、「F1はまだ遠い存在。来年も多分ヤマハで走っているだろう。」と控えめなコメントをするに留めている。
丁度このインタビューの直前にドゥカティーのデスモセディチに乗り、どうがんばってもカピロッシの18秒落ちのタイムしか出せない事を笑顔で語るミハエルに好感を持ったMotoGPファンの方も多いだろう。記事の中で、ミハエルは「2輪から4輪への転向の難易度とその逆は全く異なる」とコメントしていた。
ロッシの攻撃を以前からしていたのはフェルナンド・アロンソではなく、ロッシと同郷のジャン・カルロ・フィジケラだった。彼は、「ロッシの娯楽の為にフェラーリが金と時間を費やしている」という非難の発言をしていた事で知られている。
そんな1月後半、セパンでの今年1回目のMotoGP冬季合同メーカーテストの初日、ロッシがセパンとカタールの冬季テストの合間にバレンシアでのF1合同テストに参加する事がフェラーリ関係者から公表された。MotoGPよりもロッシはF1を優先しているとする多くのジャーナリスからの非難を受け、ロッシはこの時は事実を否定していたが、結局カタールの前にバレンシアでのF1合同テストに参加し、使用したマシンは2006年向けレギュレーション対応車両ではなかったものの、2日目は9番手につける等してロッシの名前すら知らなかったF1ファンにもその存在をアピールした。
バレンシア初日のロッシの雨のスピンについて勝ち誇った発言をしていたマックス・ビアッジは、先日イタリアのGPoneが掲載した近況によれば、人気の少ないサーキットでモタードの練習に余念がないようだ。また、ロッシのチャタリングについてコメントしたり、テスト期間中のドゥカティーの好調さを喜ばしいとするコメントを述べている。
ビアッジはさておき、アロンソのロッシへの非難が取り分け大きく取りざたされるようになったのは、このバレンシアでの合同テスト前後の事だったように記憶している。母国スペインの現地ラジオ(カデナSER)で「ロッシがF1で成功する筈ない。僕が突然MotoGPで走ってもペドロサに勝てないのと同じ」と述べていたようだが、ロッシのテスト後の評判が上がった事と、彼への注目度が増した途端に意見をさらに強気なものへと変えたようだ。GPoneは、イタリアの大手スポーツ新聞であるコリエーレ・スポーツ(Corriere dello Sport)が取り上げた以下のアロンソのコメントを紹介している。
「ロッシは別に凄い事をしていない。自分も練習さえすれば、ロッシと同じように(MotoGPの)表彰台に乗れる」
色々な海外メディアで取り上げられ殆ど伝言ゲームと化している部分もあるようだが、ニュアンス的に間違いはないようだ。
アロンソの発言にはずっと沈黙を続けていたバレンティーノ・ロッシだが、この言葉にはさすがに驚いたのだろう。アロンソ発言を受け、イギリスのブリティッシュ週間モーターサイクル・ニュース(British weekly Motorcycle News)に、以下のロッシのコメントが今週掲載された。今、ヨーロッパの雑誌やニュースはこの話題で持ちきりらしい。
「アロンソに挑戦しよう。F1とMotoGPとラリーでどう?」
GPoneは、この決闘が実現した場合に、アロンソが勝つ事は殆どないと、コリエーレ・スポーツが分析している事を報じている。
前回のF1合同テストでロッシはアロンソの2秒落ちのタイムを記録している。また、ミハエル・シューマッハはカピロッシのバイクで18秒落ちであり、500cc時代に高い勝率を誇ったランディー・マモラでさえ、MotoGPバイクではロッシのタイムには到底到達できていない。この現状を踏まえれば、アロンソはラリーで20秒近い大差をつけなければならないというのだ。
どうやら決着はすでについているようだ。昨日のルノーF1チームの公式発表によれば、ロッシからのやっかいな挑戦状を受け取る事になってしまったフェルナンド・アロンソ本人は、態度を一変させている。
「彼(ロッシ)が何を言おうと、僕はNOとしか言えない。今は自分の仕事にのみ集中している。」
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