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IRTAテスト、ヘレス初日はドゥカティーが好調、キャメルヤマハは苦戦 |
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2006年3月11日 ShoppingOn編集部
ついに最高峰クラスの2006年シーズンIRTAテストが、スペインのヘレスサーキットで最終ラウンドを迎えた。3月10日のヘレスサーキットは先週のカタルーニャでライダーを悩ませた低い路面温度とは異なり、終日太陽の照りつける気温20度、路面温度38度という好条件に恵まれている。
好条件が揃えば強くなる印象のあるブリヂストン勢、特にドゥカティーだが、やはり今回も例外ではなかったようだ。MotoGPヘレス初日のトップタイムをマークしたのはドゥカティー・ワークスのロリス・カピロッシ、2番手はチームメイトのセテ・ジベルナウだ。
今回はバレンティーノ・ロッシのヘレスでのコースレコードである1分40秒596を上回るライダーはいなかったが、ロリス・カピロッシのタイムはそれに0.314秒差まで迫る1分40秒台に突入している。カタルーニャでは体調を崩してまともに走れなかった彼だが、今回は課題のベースセッティングもほぼ決まったらしく、72周回を終えての本日トップタイムは1分40秒910。
「調子の良い日でしたね。」とカピロッシ。
「やっと天気が良くなったので終日しっかりと働けました。今日は走り出し当初からGP6が乗りやすく、セッティングにほんの少し変更を加えるだけで、1日を通してタイムを改善できています。」
「バイクは凄く進化しましたし、タイヤの調子もとても良いです。明日はレースシミュレーションがしたいので天気だと良いのですが。」
カピロッシのチームメイトのセテ・ジベルナウもカタルーニャまでの不調が嘘のような走りを見せている。地元スペインである事に加え、昨年11月の冬季テストにヘレスで試したデータが有利に働いたようだ。カピロッシと全く同じ72周回を終えての初日2番手タイムは1分41秒176。
「ヘレスに戻るのは去年の11月のテスト以来ですね。」とジベルナウ。
「11月の経験が今回少し役に立ちました。開幕戦はすぐですから、ここでのテストは重要なものになります。また、ライバルたちに追いつく機会としても今回のセッションは非常に重要なんです。」
「マシンの調子は絶えず上向きですし、タイヤもバルセロナの経験を得て改善されてるし今日は満足でした。でもまだ厳しい作業は続きますよ!」
今週月曜日の輸送トラック横転事故で今回のテスト参加を危ぶまれたカワサキチームだが、幸い奇跡的に機材やバイクは無傷であり、カワサキレーシングの中野真矢選手は今日も好調にそのタイムを伸ばし、ドゥカティーの2台に続く3番手タイムを記録している。
中野選手の専属メカニック2名が重傷を負っただけに、今回の中野選手のテストへの影響が心配されていたが、どうやら中野選手の好調さに変わりはないようだ。ドライでの3番手タイムは先週のカタルーニャに続く2回目の高記録となった。タイムは1分41秒477。
「今日はピットにいつもいるジェイソンとヨーゼフがいなくて変な感じでした。二人には一刻も早く回復してもらって、チームに復帰して欲しいです。」と中野選手。
「二人の代りにジェロームとクリスチャンが昨日からチームに参加してくれています。短期間でお互い仲良くなれたので、良い仕事が出来ましたよ。今日のメインメニューはマシンのセッティングですが、同時にブリヂストンタイヤのテストも行いました。いくつかのタイヤは以前に試していますが、今回は違うコンパウンドを試して好感触を得ました。」
「トップタイムに近いのはいつも気分が良いですね。でも、まだ多くの作業は残っています。明日はブリヂストンの新開発タイヤのテストを続けて、午後にはレースシミュレーションも実施する予定です。」
今ひとつIRTAテスト以降に調子の出なかったホンダ勢だが、レプソルホンダのルーキー、ダニエル・ペドロサが久しぶりにホンダ勢として上位の4番手に食い込んだ。タイムは1分41秒499。ペドロサは今回もハンドル位置やシート位置、ブレーキレバーの位置などのポジション決定に力を注いでおり、体格上の問題を克服する事に余念が無いようだ。
ポジションが確定した後には更なるマシン戦闘力に照準を合わせたセッティングに進む事が予想される為、ルーキーイヤーとは言えども、シーズン中盤以降の彼の動向には目が離せなくなるだろう。
「今日は一日好調でした。」とペドロサ。
「今回は焦らずゆっくりと開始しました。午前中はハンドルバーとシートとステップの位置をテストしました。今もポジションセッティングを行っている理由は、まだ自分にはどの位置が最適なのかわかってないからです。」
「食後はタイヤをいくつか試してみて、初日にしては上々な結果が得られました。でももう少し走行距離を伸ばして、バイクのセッティングを他にも色々試したいと思います。バルセロナに比べて温度が高いので、セッション終了のギリギリまで今日はテストができました。明日はレースシミュレーションをする予定です。」
「今の所は良い調子ですが、ここはあまり好きなサーキットではありません。250ccに比べて体力の要求されるコースですし、スロットルを開けるとマシンがウイリーしそうになるので制御するのが大変です。」
5番手タイムもホンダ勢、フォルツナ・ホンダのトニー・エリアスだ。カタルーニャの最終日には「マシンのセッティングがうまくいったのに雨にチャンスを奪われた」とするコメントを述べていたが、今回はそのセッティングをベースに走行したようだ。冬季テストからRCVのベースセッティングに長く苦しんだ感のあるエリアスだが、地元サーキットでようやく調子を取り戻しつつある。95周回を終えてのタイムは1分41秒680であり、チームメイトのマルコ・メランドリのタイムを0.5秒近く上回った。
「今日はサスペンションの調整を中心にいくつかタイヤのテストも行っています。」とエリアス。
「ベースのセッティングはカタルーニャで見つけたものを採用し、少しこのサーキットに合わせて変更したくらいです。今日は殆どの周回を1分41秒台で周る事ができました。このままバイクのセッティング作業を続けます。ミシュランのしてくれた仕事には本当に満足していますし、明日はもっと前進できる筈です。」
6番手タイムは先日BMWを獲得したキャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズ。ヘレスに来て突然調子を落とした感のあるキャメル・ヤマハチームだが、カタルーニャで解決した筈の問題が再び発生したようだ。コーリンはリアタイヤのトラクション問題に悩み、ロッシはバイブレーションの対策がヘレスでは役に立たなかった事を漏らしている。
初日の68周回を終えて、エドワーズは以下の通りコメントしている。
「先週は上機嫌でしたが、今日は開幕に向けてまだ少し作業があると分かりました。」とエドワーズ。
「今日はバルセロナと99%同じセッティングでテストを開始し、加えた変更はほんの少しでした。マシンの調子は今回も最高ですよ。ただ、少しタイヤにトラクションが不足しているので、ミシュランに検討してもらう必要があります。このコースに適したタイヤを探さなければなりませんが、多分明日は新しいタイヤを試せると思います。」
「皆やりつくした感があるので、ここで最後の努力が必要になります。その後で最初のレースに集中ですね!」
7番手タイムはTECH3ヤマハとダンロップ期待のカルロス・チェカだ。今やダンロップタイヤを履くマシンがMotoGP上位10台に入っていても何の不思議もなくなったが、昨年の状況を考えれば凄まじい進化だろう。チェカのカタルーニャでのコメントは「6周以上走るとタイヤが苦しくなる」との事だったので、ヘレスでのレースシミュレーションが開幕に向けたダンロップタイヤ開発の鍵を握るに違いない。タイムは1分41秒732。
チェカのチームメイトのジェームス・エリソンは、カタルーニャ最終日のレインでの好調さから今回のヘレス初日の成績に注目を集めたが、今回はレギュラーライダー最後尾となる19番手に沈んでいる。サーキットが変わる度にタイムを落とし、各テストの最終日までに2秒ほどタイムアップするという傾向が続いているが、今回はカタルーニャで取り戻した自信を見せ付ける時があるのだろうか。
8番手タイムはスズキのジョン・ホプキンス。先日のオフィシャル・セッションでは惜しい転倒があったが、「ドライやレインに関係なく気分よく走行できるマシン」とホプキンスが賞賛するように、今期のGSV-Rの完成度は高いらしい。今回は更に新しいエンジンパーツを導入しており、ミッドレンジの性能が格段に向上した事をホプキンスが認めている。本日は終日、シャシーのセッティングとブリヂストンタイヤのテストを行い、74周回を終えてのホプキンスのタイムは1分41秒740。
9番手は相変わらず解決されない振動(バイブレーション)に苦戦したバレンティーノ・ロッシだ。73周回を終えてのタイムは1分41秒861。振動はカタールの時と同レベルに戻っており、原因はミシュランの新タイヤとヘレスとの相性らしい。
「ここでは若干問題が発生していて、先週までとは大分状況が異なります。マレーシアとカタールであったマシンの振動がまた発生しました。」とロッシ。
「ヘレス用に準備したタイヤは自分たちのバイクでは上手く機能しません。今は明日と日曜日に使う新しいタイヤを待っている状態です。それで問題が解決すれば良いのですが。」
「今日はトラクションを良くするために多くのセッティング作業等に時間を費やしました。でも本音を言えば、新しいタイヤが来るまでもうやる事がありません。今日は9番手で終わり、あまり速くありませんでしたね。」
「最初のレースまであと2日しか準備期間がありませんので、ヤマハやミシュランと協力して問題解決に挑むつもりです。」
10番手タイムは中野選手のチームメイト、カワサキのMotoGPルーキー、ランディー・ド・ピュニエの1分41秒915。午前中は好調にタイムを上げていたド・ピュニエだったが、テスト前日は歯痛で殆ど睡眠が取れておらず、走りに集中するのは困難だったらしい。
初日はテストを早めに切り上げ、歯医者に直行している。
11番手はレプソル・ホンダの若きエース、ニッキーヘイデンだ。108周回を精力的に走ってのニッキーのタイムは1分41秒984。2006年シーズン用のRCVを受け取って以来あまり調子の上がらないニッキーだが、新型マシンのコーナリングに関する問題を今回初めて述べている。テスト後はチームの上層部と共にミーティングに入り、2日目以降の改善策について議論している。
「バルセロナの悪天候で試せなかった問題をここでテストしています。」とニッキー。
「最初は42秒台で周回しましたが、余裕で41秒台に入る事ができませんでした。もっと飛躍的にタイムを縮めたかったのですが。今日は天気が最高でしたね。お陰で多くの作業が済みました。」
「現在の最大の問題点はコーナーからの脱出です。横滑りが大きく、改善点がたくさんあります。コーナーへの侵入には問題がありませんが、リア周りのトラクションをもう少し良くする必要があります。大きな問題なので、早急に解決策をチームと探すつもりです。」
12番手タイムはホンダ勢では4番手となるフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリの1分42秒106。初日はラップタイムをあまり意識せず、レースに向けて多くの異なるセッティングを試している。当然の事ながら、ヘレス開幕戦での確実な勝利を狙っての事だろう。メランドリは以下の通り語った。
「開幕戦に自信が持てるように、できる限り多くのセッティングを試すつもりです。今日はチームとミシュランで良い仕事ができました。サスペンションの調整をしながら色々な種類のタイヤを試しています。バイクの調子も先週より良くなりました。」
13番手タイムはもう一つのホンダチーム、チームロバーツでKR211Vを駆るケニー・ロバーツ・ジュニアの1分42秒328。チームが勝利への鍵とするシャシーは、先回のカタルーニャと同じ仕様のものを今回も使用している。
「基本的にカタルーニャと同じシャシーで一日中走りました。」とジュニア。
「良い方向に向かっています。シャシーはかなり完成に近いので、明日は少し別の事も試す予定です。」
14番手タイムはコニカ・ミノルタ・ホンダの玉田誠選手。今回も前回のカタルーニャに引き続き、コーナー中心付近でのリア周りの性能改善に取り組んでいる。セッションの最後には転倒を喫したようだが、怪我はないようだ。タイムは1分42秒558。
「最後には転んでしまいましたが、テストとしては重要な日になりました。」と玉田選手。
「今日はずっとホンダ勢の中ではトップを維持していましたが、カタルーニャと同様に上位勢のタイムからは離されているので満足できませんね。まだコーナー中心付近の問題をはじめ、多くの改善が必要です。」
「自分の思い通りの挙動が今も得られず、スリップに悩んでいます。」
15番手はリズラ・スズキのクリス・バーミューレン。バーミューレンにとって初めてとなるヘレスで71周回の走り込みを行いながら、シャシーの調整とブリヂストンタイヤのテストで初日を終えている。タイムはトップのロリス・カピロッシから約2秒遅れの1分42秒938。
バーミューレンに続く16番手から19番手は、ダンティーン・ドゥカティーのアレックス・ホフマン(1分43秒274)、ドゥカティーの開発ライダーとして参加のビットリアーノ・グアレスキ(1分43秒417)、ホフマンのチームメイトであるホセ・ルイス・カルドソ(1分44秒501)、TECH3ヤマハのジェームス・エリソン(1分44秒953)。
HRCの岡田忠之選手は今回のヘレスにも開発ライダーとして参加しており、タイムは1分45秒930だった。
(写真提供:レプソルYPF、ヤマハレーシング、カワサキレーシング、チームスズキMotoGP、ドゥカティーコルセ)
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