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2007年11月28日
スペインの大手石油会社であり、MotoGP界のビッグ・スポンサーとして有名なレプソルYPFが、年末からスペイン国内に向けて使用する企業イメージ宣伝用テレビCMの内容を発表している。今回のCMも非常にMotoGP色の濃いストーリー展開だ。
■レプソルの新テレビ・コマーシャルのテーマは「栄光と挫折」
レプソルYPFが11月26日に新しく発表した企業イメージ広告の内容は、ペドロサを主に起用した2007年MotoGPシーズン中のCMに引き続き、同社がタイトル・スポンサーを務めるホンダ・ワークスの2名のライダー、ダニ・ペドロサとニッキー・ヘイデンのMotoGPでの活躍の場面を前面に押し出した内容となっている。
今シーズン中のレプソルYPFのCMは、グランプリなどのモータースポーツ支援活動が、一般のガソリンなど石油類の開発と無縁ではない事を表現するイメージ映像だったが、今回レプソルYPFが「国際的なエネルギー資源供給会社の型にはまらない作品に仕上げた」とアピールする新企業イメージCMのメインテーマは、レースにおける「栄光と挫折」だ。
■シーンは2006年のあの悪夢と栄光
今回発表のCMは非常にシンプルな映像手法を用い、動画よりも写真イメージの静止画像を多用して、世界のトップレベルの戦いの中での人間の感情の起伏を表現している。主に使用されているレースシーンは、2006年シーズンの最後から2戦目のポルトガルGPにおいて、タイトル獲得目前のヘイデンに、まだタイトル獲得の可能性が残っていたペドロサが追突、2名が揃ってレースをリタイアするという、レプソル・ホンダ・チームにとっては悪夢としか言えなかったあのシーンだ。
■キプリングのポエムの一節を流用
90秒のCMでは、これらのシーンに加えてレプソルYPFがMotoGPと同じくスポンサー支援活動を行っているダカール・ラリーや世界トライアルの場面も散りばめられ、バックのナレーションには1967年にウォルト・ディズニーによりアニメ映画化されたジャングル・ブックの作者として有名な英国の作家であり、詩人のラドヤード・キプリングのポエムの一節が読み上がられている。
キプリングのポエムを選んだ理由としてレプソルYPFは、多くの世代が価値観の指標として引用する事が多く親しみやすく分かりやすい内容であり、これを用いる事でレーシング・ライダーやドライバーの価値観や誇りを表現すると同時に、モーター・スポーツが「時には勝ち、時には負ける」という普段の生活と変わらない人生の魅力を持つ事を、一般の視聴者に簡潔にアピールしたかったと説明している。
■俳優2名のナレーションと映画グローリーのサウンド・トラック
ナレーションには言語別に2名の俳優を起用しており、スペイン人舞台俳優のホセ・サクリスタン(Jose Sacristan)がスペイン語、スペイン人映画俳優のジョセップ・マリア・フロタッツ(Josep Maria Flotats)がカタルニア語でキプリングの言葉を伝える。
背後に流れる音楽は、1989年のアメリカ映画「グローリー」のサウンドトラックから、ジェームス・ホーナー作曲の「コール・トゥー・アームズ」。
■スペイン国内ではゴールデン・タイムに放映
今回のCMにより、レプソルYPFは現在と未来の顧客に対し、モータースポーツにかける同社の努力、犠牲、節度、信頼と慎みの姿勢が、彼らの事業においても同様に彼らのテーマである事を訴え、企業ブランドイメージの強化を狙う。スペイン国内では主要テレビ局のほとんどがゴールデン・タイムの午後9時頃にこのCMを流すようだ。
CMの視聴にはQuickTimeプラグインが必要です(映像提供:レプソルYPF)。
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