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ペドロサの指導の下、世界トライアルの王者がRC212Vに挑戦 |
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2007年11月6日
新シーズンに向けての冬季テスト開始前日のバレンシアは、毎年往年のグランプリ・ライダーや各界の著名人が、その年のグランプリ・マシンを使用してサーキット走行を行うのが恒例となりつつある。
■毎年恒例となった冬季テスト前日の走行イベント
昨年はトロ・ロッソF1チームのビタントニオ・リウッツィとジョン・ホプキンスがF1マシンとMotoGPマシンを交換してタイムを競ったり、キング・ケニーとロバーツ・ジュニアが親子でランデブー走行を行った事が話題となったが、今年は以前にもムジェロでMotoGPマシンを操った経験を持つミハエル・シューマッハを含む元F1ドライバー数名、および昨年に引き続きケビン・シュワンツ、ならびにワイン・ガードナーなどが、2007年型MotoGPマシンでの走行を楽しんだようだ。
■トライアルの王者2名がMotoGPマシンに挑戦
この中で、レプソル・ホンダは他の各チームと同様にこの日は特別なゲストを2名招いている。レプソル・モンテッサHRCトライアル・チームに所属する2007年度世界トライアル選手権のチャンピオンのトニー・ボウと、2007年度女性ヨーロッパ・トライアル選手権のチャンピオンのライア・サンツだ。
■2007年世界チャンプのボウはフジガスのチームメイト
スペイン人ライダーのボウは2004年度の世界トライアルチャンピオンであるフジガスこと藤波貴久選手の現在のチームメイトであり、今期に絶好調だったボウはインドアとアウトドアの両トライアルカテゴリーで世界チャンピオンに輝いている。一方今期のヨーロッパ女性チャンピオンに輝いたスペイン人ライダーのサンツは、女性世界ランキングでは2位につけている。
■ペドロサのRC212Vでサーキットを走行し驚愕する2名
この日、ボウとサンツは彼らが普段は卓越したバランス感覚で自在に操る事ができるトライアル選手権用のバイクはレプソルのピットに停車し、代わりにダニ・ペドロサの2007年型ホンダRC212Vに乗ってバレンシア・サーキットを走行している。そのあまりのパワー性能のすさまじさに2名は驚愕している様子だ。
■ランツは女性として初のMotoGPマシン経験者に
ちなみに、ランディー・マモラの2シーターのデスモセディチの後部座席でMotoGPマシンを経験した女性はすでに何名か存在するが、最高峰カテゴリーの本物のMotoGPバイクを自ら操ってサーキットを走行したのは、女性では今回のサンツが初めてとなる。
■丁寧に走行前の注意事項を説明するペドロサ
今回この2名のトライアル・チャンピオンがMotoGPバイクで走行する前にレプソル・ホンダのピットでライディングを指導したのは、先日のバレンシアGPで見事なポール・トゥ・ウインを飾ったダニ・ペドロサだ。
ペドロサは走行前の同胞スペイン人チャンピオン2名に対し、ピットガレージの中でホンダのRC212Vに乗る前注意事項を説明している。
「カーボン・ディスク・ブレーキは最初の握り始めはあまり効かないように感じますが、いきなりすごい勢いでブレーキがかかってリアのホイールが跳ね上がるので注意して下さい」とペドロサ。
「それとギアチャンジには注意してくださいね。1速に入れる時だけはギアペダルを上にかき上げて、残りは押し下げるんです。ホームストレート前の左ロングコーナーなどがそうですが、左カーブを走行してマシンを左に深く傾けながらギアを変える場合に、この構造だとギアペダルの下に足を入れなくても済むので操作がしやすいんです」
「ブレーキをかける時には肘が勝手に曲がりますから、前につんのめってバイクの前に飛び出すような形にならないように、最初は腕を真っすぐに伸ばしておいて十分に力に耐えられるようにしておく必要があります」
「その辺に気をつければ、後はこのバイクのパワーとスピードを楽しんでもらえばいいと思います。すごいですよ」
■2名はそれぞれにバレンシアを3周走行
ペドロサの説明を受けたボウとサンツは、この直後にペドロサのRC212Vに跨って順番にコースに出ると、それぞれにバレンシア・サーキットを3周回走行している。MotoGPマシンを初めて経験したこの2名は、揃ってMotoGPでサーキットを走行するにはいかに体力が必要かを実感したという。
RC212Vでバレンシアを走行した後、トニー・ボウとライア・サンツは以下のコメントを残している。
■2007年度世界トライアル選手権チャンピオン トニー・ボウ
一般の公道バイクやトライアル・マシンは1速ギアは一番下側に位置しており、加速するたびに上にギアレバーを足で押し上げる形になるが、レーシングマシンは上でペドロサが説明している通りシフトチャンジ逆向きの操作方向となるため、トニー・ボウは走り始めにギアの操作感に不安を持ったという。
しかしながら、ボウはすぐにマシンの操作に慣れ、最終的には想像していたよりもスピードが出せた事から、もっと走り続けてさらに速度を上げてみたかったとコメントしている。この世のものとは思えないマシンだったとボウは語る。
「今までにレーシング・マシンに乗った事は一度もなく今回が初めてでしたが、言うまでもなくすごい経験ができました」とボウ。
「サーキットのレーシングコースを走るのもこのバイクに乗るのも初めてでしたが、ものすごいの一言ですね。とんでもない速さですし、ブレーキ性能はとてもこの世のものとは思えませんでした。本当にすごいマシンですね。ホンダとレプソルがこんなに素晴らしい機会を与えてくれて本当に嬉しかったです」
「サーキットを3周回走りましたが、1周ごとにスピードが上げられるようになりました。正直もっともっと走ってみたいですね。そうすればさらに速く走る事ができるようになると思います」
「自分たちのバイクと少し異なる点の1つがギアチェンジです。チェンジの操作方向が逆向きですし1速が上になるので、加速しながらギアを押し下げる操作にはちょっと不安感がありましたね」
「バイクには本当に感動しました。ストレートの終端まであっと言う間にすごい速さで到達するので突然ブレーキをかける形になりますが、そこからすごい勢いで速度が落ちるんです」
「今回一番印象深かったのは、自分が想像していたよりもずっと簡単にスピードが出せた事です。ものすごい経験ができたと思いますね!」
■2007年度ヨーロッパ女性トライアル選手権チャンピオン ライア・サンツ
女性としては初めて自らのライディングでMotoGPマシンに乗ってサーキットを走行するという貴重な経験をしたライア・サンツは、マシンの爆発的なパワーに驚きながらも、走行ラインを見つけて正しく走る事に気持ちを集中したようだ。
自分にはあれ以上マシンを傾けられないとサンツは語る。
「すごかったです」とサンツ。
「まず最初に、ホンダとレプソルにこんなにすごい機会を与えて頂いた事に感謝したいです。このバイクを実際に経験できる人なんて滅多にいない訳ですし、しかも女性で走ったのは私が初めてみたいですしね」
「とにかく本当にすごい経験でした。何よりパワーに驚きましたね。コーナーを曲がってから加速する度にフロントが浮いちゃうんです。またブレーキも本当に信じられない性能でしたし、この時はリアが浮いちゃうんです」
「サーキットでレーシングバイクに乗った事は今までに一度もありませんが、一番難しかったのは正しい走行ラインを見つける事と、そのままラインを保ち続ける事です」
「本当はもっと傾けていいんでしょうが、私にはとてもできません!」
「今回は本当に素晴らしい経験でした。でも私には3周で十分です。ちょっと体力的に厳しすぎますからね」
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