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2007年8月2日
250ccクラスからステップ・アップするホルヘ・ロレンソへの2008年からのワークス・フル・サポートの発表に続き、ヤマハが来期のライダー体制の一部を正式に発表した。ヤマハのサテライト・チームであるTECH3ヤマハは、来期のレギュラー・ライダーの1名が、現在SBKのテンケイト・ホンダ・チームで活躍するジェームス・トスランドである事を正式に発表している。
■2008年にトスランドはTECH3ヤマハからMotoGPデビュー
TECH3ヤマハチームは、SBKドゥカティー・ワークスに所属していた2004年に世界タイトルを獲得してSBKにおける最年少チャンピオンとなり、現在はテンケイト・ホンダ・チームのライダーとしてポイントリーダーに立ち、ランキング2位のマックス・ビアッジから43ポイントの差をリードして自身2度目のSBKタイトルを今期も狙う26歳の英国人ライダーであるジェームス・トスランドとの、2008年度の契約を完了した事を8月1日に公式発表した。
■ロッシやロレンソに続きトスランドもワークス待遇か
この発表により、現在までに確定している2008度のヤマハのライダーはヤマハ・ワークス(フィアット・ヤマハ)のバレンティーノ・ロッシ、ワークス・フル・サポートが公言されているホルヘ・ロレンソ、TECH3ヤマハ入りが今回決定したジェームス・トスランドの3名であり、ロッシやロレンソに続きトスランドもワークス待遇となる事が噂されている。
■頑なにワークス体制にこだわってきたトスランド
昨シーズンからMotoGP入りの噂が多かったトスランドだが、ワークスないしワークス待遇が得られないチームとは契約をしたがらず、現在の所属メーカーであるホンダのサテライトであるグレッシーニ・ホンダからの提示を断るなど、MotoGPへの移籍に対してはここまで慎重な姿勢を崩していなかった事が以前から知られていた。
(★さらに最新の図はこちらの記事を参照)
■トスランド「ホンダからでは難しかった」
イギリスのロードレース誌であるMCN(http://www.motorcyclenews.com/)は、トスランドの移籍が正式発表された8月1日の記事の中でトスランドのコメントを掲載している。この記事の中でトスランドは「来期はヤマハで走る事になった。ホンダは留まるように望んだが、それはSBKの中での提示でしかなく、ホンダでMotoGPを目指すとなると多くの待ち行列に並ばなければいけない状況だった。ヤマハでの来期のチーム体制や使用タイヤの詳細についてはまだ確定していない」と語り、ホンダのルートでは本人の望み通りの移籍タイミングや待遇が難しかった事を暗に明かしている。
■トスランドのMotoGP移籍に賑わう北欧メディア
なお、上記の通りトスランド本人はチーム体制やタイヤについて多くを語らないが、すでに欧米のメディアではそれに関する多くの情報が飛び交っている。
■BBCは来期のTECH3ヤマハがワークス待遇である事を報道
チーム体制については、ワークス指向の強いトスランドがMotoGPへの移籍を決定した時点でヤマハの契約条件の中にワークスないし準ワークスとしての待遇が明記されている事は想像に難しくないが、イギリスの放送局であるBBCは8月1日の報道の中で、「来期のTECH3ヤマハはサテライトではなくフル・ワークス体制になる」と断定している。
4ストロークMotoGP元年以来の過去の例としては、2003年のアレックス・バロスのヤマハへの移籍時に、TECH3ヤマハは準ワークス・チームとなった実績があり、BBCの報道が事実だとしても特に不思議はない。ちなみに2004年にバレンティーノ・ロッシがヤマハへ移籍して以来、ヤマハはロッシ中心のサポート体制を構築し、その他のチームやライダーへのサポートがやや手薄になっていた事が噂されてきたが、ヤマハがロッシとの契約が切れる2009年以降のMotoGP体制再構築に向けて、本格的に動き出している事だけは間違いないだろう。
■タイヤはブリヂストンの可能性も
また、タイヤについては、MCNは同日の上記とは別の記事において、TECH3ヤマハとダンロップタイヤとの契約はすでに決裂している事を報じている。なお、以前から現在のロッシのチームメイトであるコーリン・エドワーズがTECH3ヤマハへの移籍をヤマハと交渉している事は信憑性の高い情報として報じられており、その際にはタイヤがダンロップからミシュランに変更される事が予想されてきたが、今回のトスランドの移籍決定により、タイヤの方向性はミシュランだけではなくなりそうな気配だ。
米国のロードレースサイトであるCyclenewsOnline(http://www.cyclenews.com/)は、来期のTECH3が、2007年に入り圧倒的な強さを示すようになったブリヂストンを初めて使用するヤマハの初のチームになる可能性が出てきた事を示唆しているが、確かにヤマハがロッシ、ロレンソ、トスランドのワークス・サポート・ライダーのタイヤを選ぶ際に、ロッシ以外の誰かにブリヂストンを履かせる可能性は低くないだろう。
■ポンシャラル「高いレベルのライダーを確保」
最後に、TECH3ヤマハのチーム・オーナー兼監督を務めるエルベ・ポンシャラルの、今回のトスランド移籍決定に関する公式コメントを紹介する。
「ジェームスのように高いレベルのライダーを確保する事ができて本当に嬉しく、彼と一緒に仕事をできる事が大変に楽しみです。」とポンシャラル監督。
「ジェームスの獲得は、TECH3ヤマハにとってもMotoGP業界にとっても、北欧の注目を集める上で大変に大きな意味を持つものです。チーム全体がこの出来事に大変興奮していますし、彼が将来のチームの主要人物となる事は言うまでもないでしょう。」
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