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2007年6月23日
昨日の6月22日より、MotoGPの2007年シーズン第8戦となるイギリスGPが、ダビーシャー地区の緑豊かなシャーウッドの森のすぐ側に位置するドニントン・パーク・サーキットで初日のセッションを迎えた。
この日は終日生憎の雨模様となり、各クラスの全ての走行にウェット・セッション宣言がなされている。この事から、もともと年間シーズンの中で最も滑りやすいアスファルトで知られるドニントンの路面は、低い温度と水たまりによりさらにグリップが低下し、初日から多くのライダーがマシンのコントロールを失ってグラベルに飛び込んでいる。
ここでは、午前と午後にフリー・プラクティスが行われたイギリスGP初日のMotoGPクラスの状況をお伝えする。
■終日フルウェットとなった1日目
MotoGPクラス午前のフリー・プラクティス1(FP1)は、気温14度、路面温度18度、湿度は96%という、各ライダーのハンドルを握る手がかじかむ寒い大雨の中で行われた。FP1終了間近にいったん雨は弱まり、走行ラインの一部は乾き始めたようだが、午後のフリー・プラクティス2(FP2)開始時に再び雨は強まり、気温は14度、路面温度は午前から1度下がり17度、湿度は97%という、終日を通して天気予報通りのフルウェット・セッションとなっている。
ちなみに、昨年のレースウイーク中の路面温度は50度だった。
■不安定な雨量により午後のタイムは伸び悩み
午後に雨が強まって路面温度が下がった事や、レインタイヤの耐久性をテストする多くのライダーが終日を通して1セットのタイヤで走った事などから、この日は総合トップタイムを記録したライダーを含む9名のライダーが午後に午前の自己ベストタイムを上回る事ができていない。
■3日間を通しての悪天候が予想される今年のイギリスGP
なお、この雨はレースウイークの3日間を通して続く事が予想されており、2日目の予選や最終日のレースがドライ・セッションに恵まれる可能性は極めて低い状況だという。
■転倒者の情報:ロッシが腕を打撲
ドニントンの滑りやすい路面に苦しみ、1日目は多くのライダーがコースアウトしてグラベルに飛び込んでいるが、特に目立った転倒者はFP1開始直後の走行2周目に転んだリズラ・スズキのクリス・バーミューレンと、同じく午前の序盤に転倒したフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシだった。
バーミューレンは特に怪我を負わなかったが、ロッシは腕には打撲の跡が残り、少し腫れている状態だという。なお、ロッシはその後すぐにセカンドバイクに乗り換えてセッションを続行している事から、特に深刻なダメージを受けた訳ではないが、1日目は最後までマシンのセッティングが見つからずに苦しんだ様子だ。
■初日の走りが注目された好調のアンソニー・ウェスト
この日からカワサキのライダーとしての正式な活動を開始し、6年ぶりに最高峰クラスのレギュラー・ライダーとして復帰する事になり多くの注目を集めたアンソニー・ウェストは、午前のセッションのタイムシート上ではいきなり8番手に名前を刻み、その実力を示している。
■MotoGPクラス1日目の総合順位
以下に、初日のMotoGPクラスのFP1とFP2を通しての総合順位を示す。
1) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP7 1分43秒749
2) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分43秒781
3) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分43秒870
4) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分44秒302
5) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分44秒371
6) コーリン・エドワーズ USA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分44秒445
7) アンソニー・ウェスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分44秒498
8) ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分44秒716
9) マルコ・メランドリ ITA ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分45秒684
10) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分45秒718
11) アレックス・バロス BRA プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 1分45秒774
12) アレックス・ホフマン GER プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 1分46秒254
13) トニ・エリアス SPA ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分46秒777
14) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP7 1分46秒811
15) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 1分46秒926
16) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 1分47秒027
17) カーチス・ロバーツ USA チーム・ロバーツ KR212V 1分48秒464
18) シルバン・ギュントーリ FRA ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分49秒604
19) 玉田誠 JPN ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分51秒864
■FP1と総合のトップはストーナー、FP2のトップはペドロサ
セッション終盤にはハーフウェットの状態に近くなった午前のFP1はドゥカティーのケーシー・ストーナーがこの日の総合トップタイム、2番手タイムをレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが記録し、洪水状態に近いフルウェットとなったFP2ではダニ・ペドロサがトップ、2番手タイムをニッキー・ヘイデンが記録した。
■完全なウェットではややミシュランが優位?
午後に午前のFP1のタイムを更新できなかったライダーは、ストーナー、ヘイデン、ド・ピュニエ、バロス、ホフマン、エリアス、チェカ、ギュントーリ、玉田選手の9名であり、完全なフルウェット状態の場合にはややミシュラン勢が好調と言えるかもしれない。また、初日のブリヂストン勢はあまりタイヤの選択肢に恵まれておらず、終日を通して同じタイヤで走るライダーが続出している。
■各チームやライダーの状況
以下に、初日の各チームの状況や、走行後のライダーや関係者のコメントを紹介する。
■ドゥカティー、ロングストレートに関係なくトップタイム
ドゥカティー・マルボロの2名は、揃って1セットのウェットタイヤしかこの日は装着していないが、最後までタイヤは新品のような状態に保たれており、ブリヂストンの今期のウェットタイヤの耐久性には満足した様子だ。
■ストーナー「世界選手権のコースには適していないのでは?」
午前と総合のトップタイムを記録したのは、現在のポイントリーダーであるケーシー・ストーナーだった。今期のストーナーはロングストレートの有無に関係なく、どんなサーキットでもレースウイーク中は常に上位につけている。なお、ストーナーはドニントン・パークの悪名高いアスファルトにご立腹の様子だ。
「今日は誰もが一番ソフトなレインタイヤで走り込んだと思う。今日は一日中同じタイヤで走り続けたが、最後まで新品みたいだった。」とストーナー。
「他のイギリスのコースはウェットでもここまで悪い状態にはならない。ちょっと馬鹿げてるというか、スピードの出る世界選手権にこのコースを選ぶのは少し間違っている気がする。再舗装の後、ウェットの状態が余計に悪くなったのですごく危ない。」
「明日はもう少し硬めのタイヤを試してみて大丈夫か試し、コンマ何秒か削れるようにしたい。ウェットのセッティングに関してはムジェロですでに改善を進めていたが、今回はリアに荷重がもっと楽にかけられるようにジオメトリの変更を行った。おかげでここのウェットでも自信を持って走れている。」
「日曜がウェットでもドライでも、全員が同じ条件で走るのだから関係ない。ただ、このサーキットの現状を考えると、誰にとってもドライの方がいいのは明らか。」
■カピロッシ「まだバイクの挙動が攻撃的すぎる」
また、ストーナーのチームメイトのロリス・カピロッシは、午前中は新エンジンのセッティングにトラブルを抱え、午後には改善を進める事はできたものの、初日の総合順位は14番手と伸び悩んだが、タイヤの耐久性には自信を示している。
「今朝はひどい状態で、エンジンのセッティングにトラブルが発生して正しいセッティングが見つけられなかった。午後は電子制御系のセッティングを変えて少しましになったが、まだ正しい状態とは言えない。バイクの挙動がまだ攻撃的すぎてうまく乗れないので、データを調べて原因を究明する必要がある。」とカピロッシ。
「ここで使いたいようなレインタイヤが今日はあまりなかったので、午前と午後には同じタイヤを履き続けた。まだ完璧と言える感触ではないが、耐久性の面で問題がないのは今日の結果を見れば明らか。」
「午前はかなり不安な状態だったが、完全に満足はできないにしても、好感触が持てるようにはなった。雨の路面だとここはいつも滑りやすいが、まだそれほど激しく雨が降ってはいないのでコントロールに問題はない。」
■新型シャシーを導入し、揃って好調のレプソル・ホンダ勢
午後のFP2で上位トップ2を独占したレプソル・ホンダ勢は、初日のドニントンに好感触を得る事ができたようだ。ニッキー・ヘイデンとダニ・ペドロサの2名は、この日のミシュランのウェットタイヤには満足している様子だ。
■ヘイデン「かじかんだ指も気にならない」
カタルーニャで好感触を得た新型シャシーをマシンに導入し、午前と午後の両方で2番手タイムを記録したニッキー・ヘイデンは、久しぶりに上位で終えたセッションに満足げだ。
「寒くて滑るし外はひどいウェットだったが、楽しんで走れたのは去年のバレンシア以来だと思う。だからかじかんだ指についても、特に文句を言う気にはならない。」とヘイデン。
「路面状況は少し変わりやすく、雨が激しい時とそうじゃない時があったが、全体的に自分のバイクは雨でも感触が良くて好印象が持てる。まだコーナーの進入と中間付近には細かい点で調整は必要だが、コーナー出口ではいいトラクション得られているし、ミシュランの調子がすごくいいから脱出加速についても申し分ない。」
「雨が激しくなった時の状態をもう少し良くしたいが、全体的にバイクもタイやも好調で今日は楽しめた。明日以降については、まずは天候を確認してから考えたい。今週はいいスタートがきれたので、仮にドライになってもこの調子を維持したい。」
■ペドロサ「雨での走りが上達した」
午後のFP2ではトップタイムを記録し、総合では3番手タイムを記録したダニ・ペドロサは、ムジェロでの雨のレース以来、苦手だったウェット・コンディションでも速く走れるようになった事を非常に喜んでいる。
「今年は雨の中での走りが上達したと思うし、それは以前からの目標だったので今回のウェット・セッションでトップに立てたのは本当にいい事だと思う。」とペドロサ。
「今日は終日雨になったので、2時間のセッションを通してレイン用のいいセッティングを探る事ができたし、バイクの感触も良かったので非常に有意義だった。今回みたいに完全なウェットなら、セッティングやタイヤに必要な事を学べるので嬉しい。ハーフドライとかで周回ごとに路面状況が変わるよりはずっといいし、そういう意味では安定した路面だった。」
「今回のレースウイークはいいスタートが切れたが、まだ先は長いし、明日はどういうコンディションになるかも分からないので、集中力を切らさずに行きたい。」
■初日の結果に満足のカワサキ
ランディー・ド・ピュニエのチームメイトとして、アンソニー・ウェストを新たにレギュラー・メンバーに加えた新生カワサキは、イギリスGPの初日の内容には大きな満足が得られた様子だ。ド・ピュニエは総合4番手タイムを午前に記録し、新メンバーのウェストはMotoGPクラスのデビュー初日を午前には8番手、午後には5番手、総合では7番手という高位置で飾っている。
■金子技術監督「アンソニーの走りに感銘を受けた」
カワサキ・レーシング・チームのテクニカル・マネージャーである金子直也氏は、「雨のレースに向けてのいいセッティング作業ができたと思う。ただ、明日の状況は分からないし、ドライのセッティングは試していないのでまだ確認は必要。」と、ウェットレースに向けての作業は順調に進んだとしながらも、天候の見極めについてはまだ慎重な姿勢を見せている。
マシンの調整内容について金子氏は「スロットルがもっと正確でマイルドな特性を持つように調整した。その他にはエンジン・マッピングやタイヤまわりの作業を行っている」と語った。
また、各ライダーの調子については「アンソニーの初回の走りには感銘を受けた。彼は一貫して速いし、ピットに戻るたびにセッティングの改善も進んでいた。ランディーはひざにあまり負担をかけるべきではないが、彼がどう乗り切るかを見守りたい。チームは今日の内容にとても満足している。」と金子氏は述べ、初日の結果には高い満足度が得られたとしている。
■ド・ピュニエ「ひざは痛むがバイクには満足」
左ひざの簡単な手術を先週の火曜日に受け、まだ体調は8割程度だというランディー・ド・ピュニエは、ブリヂストンのレインタイヤ選びとエンジン・マッピングの調整を行う中で、初日のセッションを総合4番手で終えている。
「視界が悪く良くないコース状況だったが、バイクについては満足できている。感触が良く、自信が得られた。」とド・ピュニエ。
「今日はタイヤとエンジン・マッピングに関する作業を中心に行ったが、このサーキットではこの分野が一番重要だと思う。ひざはまだ痛むが、ザクセンリンクまでには完治できると思う。明日は今日の作業をさらに続けて、特にタイヤ選びに集中したい。」
■ウェスト「スタッフが自分の好みを理解してくれている」
デビュー初日はマシンを自分のライディング・スタイルに合わせる事から始めながら、午後のタイムシート上の5番手につけたアンソニー・ウェストは、カワサキのスタッフとの仕事に安心感が得られたとしている。
「午前はリアまわりにいくつか問題を抱えたが、現時点ではかなり改善できている。両方のセッションを通してタイヤを使い込むにつれ、リアの感触が良くなってきたのは奇妙な感じだった。新しいタイヤを履けばもっとトラクションが得られて速く走れると思う。」とウェスト。
「すごく満足できているし、今日はすごく楽しい1日になった。午前は雨だから心配だったが、実際は特に問題もなく、チームの仕事にも好印象が持てた。スタッフは自分の望みを分かってくれている感じだった。今日は色々な事を試し、なにが自分には合って、なにが合わないかを確認しながら、短い時間に多くのテストを行う事ができた。」
■リズラ・スズキ「ブリヂストンにはもっとも安上がりな1日」
リズラ・スズキの2名のライダーは、他の多くのブリヂストン勢と同じく、この日はタイヤを1セットのみしか使用しなかった。
リズラ・スズキのチーム監督であるポール・デニングは「ジョンもクリスも2回のセッションを通して同じタイヤしか履いてないから、ブリヂストンにとってはリズラスズキと仕事した中で最も安上がりな1日だったんじゃないだろうか」とコメントしている。
また、デニング監督は「ここでは新世代の800ccGSV-Rが古い990ccマシンよりもかなり速いタイムを出せると思うので、ドライの時間が少しでもあると嬉しい」と述べ、テクニカルなドニントンとリズラ・スズキの新マシンの相性に自信を示した。
■バーミューレン「もっといい天気なら良かったのに」
総合5番手タイムを記録したクリス・バーミューレンは、この日の午前のセッションの走行2周目に転倒しており、終日を通して変わりやすいウェットの路面状況には若干苦しんだという。
「ドニントンに戻れて嬉しい。数年間はイギリスの国内選手権で戦っていたし、住んでいた事もあるから、ここは第2のホーム。ただ、こんな気象条件じゃなければもっと良かった!」とバーミューレン。
「今日の走行条件はあまり良くなかった。終日雨だし、路面のコンディションも変わりやすかったでので安定したラップタイムを刻むのには苦労した。チームがシャシーのセッティング作業を頑張ってくれたので改善は進んだが、週末の残りがどんな天候になるかは今後も注意しなきゃいけない」
■ホプキンス「今日は激しく攻めるのを控えた」
初日の総合8番手タイムを記録したジョン・ホプキンスは転倒のリスクを避け、激しく攻める事は控えながら、雨の中での限界点を探りながらの作業を行い、満足のいく結果が得られたとしている。
「雨にしてはうまくいった1日だと思う」とホプキンス。
「今回は連続周回を重ねる事と、新しいブリヂストンタイヤを試す事に集中したいと思っていたが、そのどちらもいい感じで進んだ。ただ、今日はあまり激しくは攻めていない。ミスを犯しやすい状況だったし、初日の雨のフリー・プラクティスでタイムを出すよりも日曜日のレースの方が重要だから。それに、雨でもドライでも、もっといい順位につける事は分かっている。」
「明日もまだ何点か試す事があるし、もっとコースに出て走りたくて仕方がない。ここでGSV-R800がどのくらい力を発揮できるかも楽しみ。」
■フィアット・ヤマハ、喜ぶエドワーズと初日は苦しんだロッシ
午前中はバレンティーノ・ロッシの転倒など、ウェット用のセッティングが思うように進まずに若干苦しんだ様子のフィアット・ヤマハ・チームだが、午後にはコーリン・エドワーズがFP2の4番手タイムを記録した事から、翌日の作業に向けての自信は持つ事ができたようだ。
フィアット・ヤマハのチーム監督のダビデ・ブリビオは「コーリンは午後に改善が進んだ。最近の彼は辛い状況にいたので、自信回復のいいチャンスだったと思う。バレンティーノは今日は苦しんだが、今晩はコーリンと同じ方向性にマシンを色々調整するので、明日はその効果が得られると思う」とコメント。
■エドワーズ「ミシュランに大感謝」
ここ何戦かはレースでリアタイヤが滑る問題を抱え、低迷を続けていたコーリン・エドワーズだが、この日の午後にミシュランが持ち込んだ何らかの解決策のおかげで、午前中のタイムを突然5秒も上回る事に成功し、初日の総合6番手タイムを記録した。
「午後はもっと攻めて走りたかったが、コンマ数秒のためにグラベルでは割に合わないので、力は明日のために温存しようと思った」とエドワーズ。
「午前は終盤に路面が乾いてきた時にタイムが数秒落ちたし、正しい方向に進んでいない事は分かっていた。でも、午後にはミシュランが取っておきの秘策を出してきて、突然5秒もタイムを縮める事ができた。過去何戦かは何を試してもだめだったのに、今日はその小さな変更だけで安心して速く走れるようになった。解決策を持ってきてくれたミシュランとチームの頑張りに感謝したい。」
■ロッシ「エドワーズから聞いた秘策を明日は試す」
午前中の序盤に転倒し、終日を通して正しいシャシーバランスとタイヤの組み合わせが見つからず、1日目を総合10番手タイムで終えたバレンティーノ・ロッシは、翌日はエドワーズが試して成功したミシュランの解決策を試す構えだ。
「この路面状況だとこのコースはグリップがしっかり得られないから走るのが難しい。午前は序盤に転んだが、少し腕が腫れたくらいで幸い大した事はなかった。今日は少し硬すぎるタイヤを選んでいたと思う。正直、まともなセッティングで走れたのは2〜3周程度だった。」とロッシ。
「午後もやはりグリップがあまり得られなかったが、コーリンが速く走れたので明日には期待が持てる。彼から色々聞いたので、明日はそれを試してみるつもり。改善できる点はいくつかあるし、全体的な状況は悪くないと思う。今日は完璧とは言えなかったが、まだいい方向に進める筈。」
■グレッシーニ・ホンダはシャシーのセッティングに集中
水しぶきの中、グレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリとトニ・エリアスは、1日目はウェット用のシャシーとサスペンションのセッティングに集中しながら、ブリヂストンのウェットタイヤの評価を進めている。
■メランドリ「以前のセッティングに戻したら速くなった」
バイクのセッティングに集中し、初日の総合9番手タイムを記録したメランドリは、午後には午前のタイムを3秒削る事に成功している。
「今日は難しい1日だった。ルマンのセッティングを最初に試したが、路面状況が全然違ったので使えなかった。路面はすごく滑りやすくて走るのが困難だった。」とメランドリ。
「午後には以前にウェットで試した事がある標準のシャシーセッティングに戻し、午前の自己ベストを3秒縮める事ができた。ただ、コースの前半区間は速く走れているのに最終区間では苦しんでいるので、まだやるべき事は多い。マシンの出力が激しすぎる感じなので、その部分を明日は改善したい。」
■エリアス「今は苦しい状態」
午後にはタイムを更新する事ができず、初日のセッションを総合13番手で終えたトニ・エリアスは「コースが本当に滑りやすかった。全然気分良く乗れていない。トップからは3秒も離されているのでとても満足とは言えない状態。今は苦しい状況だが、このままシャシーとサスペンションのセッティングを続けてマシンをこのサーキットの特性に合わせていきたい」とコメント。
■プラマック・ダンティーン
プラマック・ダンティーンのアレックス・バロスとアレックス・ホフマンは、2名揃ってこの日はバイクからあまりいい感触が得られていない様子だ。
■バロス「コーナリング速度が得られない」
初日の総合11番手タイムを記録したアレックス・バロスは、「午後にはマシンの感触が改善されたがタイムが良くないので満足できない。タイムはもっと縮められると思うし、乗りやすくもできる筈だが、まだ最良の改善策が見つかっていない。ブレーキングはいいが、コーナリング時にタイムを落としている。第2区間と第3区間が安定して走れていない。ただ、明日はもっと改善できる自信はある」とコメント。
■ホフマン「今回も問題はリアまわりの感触」
バロスに次ぐ総合12番手となったアレックス・ホフマンは、ここ最近のレースウイークと同様に、今回もリアまわりの感触に納得が得られないという。
「苦しんでいるのはバイクのリアまわりの感触。あまり安定しないし、コーナーで速度が上げられない。今までとは異なる解決策も試したが、自分の思い通りのラップタイムが出せないので満足できなかった。」とホフマン。
「明日は走行時間を最大限に利用して予選とレースに向けてのセッティングを探りたい。ここはロングストレートがないので、予選でいい順位を確保しておく必要がありそう。」
■コニカミノルタ・ホンダ
初日の総合15番手となったコニカミノルタ・ホンダの中野選手は、この日はミシュランの4本のリアタイヤを試しており、翌日はフロント・サスペンションの調整と、フロントタイヤの選択を行う予定だ。
■中野選手「フロントに少しチャタリング」
ウェットでもフロントにチャタリングを少し抱えている中野選手は、2日目はコーナー進入時のマシンの感触を改善したいとしている。
「路面状況はあまり良くないが、天気予報によればレースウイークを通して同じような走行条件になりそうなので、少なくとも2日目とレース当日の状況を把握する事はできる。」と中野選手。
「まだフロントまわりにチャタリングが出ているが、それほど悪い状況ではない。もう少し最終区間の9、10、11コーナーのブレーキングでマシンの安定性が得られるようにしたいし、明日はコーナー進入時の感触がもっと良くなるように作業を続けたい」
■ベルナルデッレ「最重要課題はフロントの接地感の向上」
コニカミノルタ・ホンダの技術責任者であるジュリオ・ベルナルデッレは、イギリスGPでの作業の方向性を以下の通りコメントしている。
「今日はサスペンションの作業に集中し、4本のリアタイヤを試したが午後のウェット路面で好感触が得られたので、レースが今日と同じ路面条件ならタイヤの選択には自信が持てる」とベルナルデッレ。
「シンヤ(中野選手)が自信を持ってコーナーに進入できない状態なので、明日は今日とは違うフロントタイヤを試し、フロントフォークのセッティングにもいくらか変更を加える予定。フロントの接地感をシンヤのために改善する事が明日の最重要課題。」
「気象条件は良くないが、それでもレースウイークを通してフルウェットならセッションごとに路面コンディションの変化を気にしなくてもいいので嬉しい」
■カタルーニャに引き続きセッティングに苦しむホンダLCR
前回のカタルーニャからセッティングに激しく苦しみだしたホンダLCRのカルロス・チェカは、今回も改善の方向性が見つけられずに苦しみ、イギリスGP初日を総合16番手で終えている。
■チェカ「ここは雨だとどのサーキットよりも滑る」
この日はシャシー・バランスとタイヤ側面のグリップ不足に苦しんだというチェカは「雨だとここのサーキットは本当に路面がつるつる。多分他のどのサーキットよりも滑りやすいと思う。レースも今日と同じようなコンディションになりそうだから、全てのデータを分析して解決策を見つけたい。今日は1台のマシンに集中して作業を行ったが、フロントの接地感が全く得られていない。」と述べており、前回のカタルーニャと同様に難しい状況に陥っている事を明かしている。
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