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ジャック「フル参戦を決して諦めなかった」
インテリマーク編集部
2007年2月14日

2005年シーズン、怪我をした当時カワサキのレギュラー・ライダーだったアレックス・ホフマンの代役として走った土砂降りの中国GPにおいて、最終ラップまでにトップのバレンティーノ・ロッシの背後に迫るという異次元の追い上げを見せ、カワサキの現時点におけるMotoGP史上最高位となった2位表彰台を獲得したオリビエ・ジャックは、今シーズンからカワサキのレギュラー・ライダーとしてMotoGPクラスに復帰を果たす。
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■衝撃的だったスポット参戦でのカワサキデビューから2年

オリビエ・ジャックが表彰台に立つ姿をテレビで見て震え上がったというアレックス・ホフマンがプラマック・ダンティーンチームに移籍した昨年の2006年、カワサキに認められたオリビエ・ジャックは同チームのテストライダーとして1年を過ごし、晴れて今年は同郷のフランス人ライダーであるカワサキ2年目のランディー・ド・ピュニエと共に、今年から排気量が800ccに引き下げられたMotoGPクラスを戦う。

オリビエ・ジャックは2000年の250ccクラスにおいて、当時TECH3ヤマハのチームメイトであり親友の中野真矢選手とシーズン最終戦で熾烈なタイトル争いを見せ、最終ラップのコントロールライン上の僅差で中野選手を破り、世界チャンピオンの座を獲得している。優勝直後にオリビエ・ジャックがコメントした「シンヤが開発したマシンのおかげ」という言葉は、多くのファンの胸を打った。
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■オリビエ・ジャック、インタビュー

2003年以来となるMotoGPでのレギュラーライダー復帰をカワサキから果たすオリビエ・ジャックのインタビューを、先日のランディー・ド・ピュニエのインタビューに引き続きカワサキ・レーシング・チームが公開している。ここでは、テストライダー時代から現在までの心境を語ったジャックのそのコメント全文を紹介したい。
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カワサキでの2年間のテストライダーの経験の後で、2007年シーズンからレギュラー・ライダーとしてレースに復帰しないかと言われた時、あなたはどんな反応を見せましたか。

夢が叶った!って感じでしたね。とにかく驚いたってのが正直なところです。もちろん嬉しい驚きですよ。

実のところ、2006年シーズンもカワサキからレースに参戦したいと思っていましたが、チームは自分ではなく若いライダーを選びました。その理由は良く理解していましたけどね。2005年シーズンが終わった時の自分の走りは決して優れているとは言えませんでした。だからカワサキが将来を見越して若手と契約したのにも納得がいきます。

でも、今回の契約は、まるで自分のレース人生が新しく始まったようにさえ感じていますね。

あなたは2006年シーズンはテストライダーとしてカワサキの中に残りましたね。その時はMotoGPにレギュラーライダーとして復帰する事を諦めていなかったんですか。

まったく諦めていませんでした。ただ、テストライダーのポジションを獲得できたのは、すごく面白い経験を積むいい機会になったので幸運だったと思います。レースに出られないのは少し退屈に感じ始めていましたけど。

昨シーズンの最後に中野真矢がカワサキを離れると知った時、もしチャンスがあれば自分を走らせて欲しいとチームには話しました。とにかくレースがしたかったんです。

ようするに、あなたはレギュラーライダーに復帰する事への意欲を常に持っていた訳ですね。

ええ。レースに戻る事への意欲は常に強く持っていました。それと、カワサキと一緒に走りたいという気持ちも大きかったんです。彼らのMotoGPでの仕事の進め方には本当に好感が持てますから。

おまけにカワサキはMotoGPの世界ではまだ若いチームですし、プロジェクトそのものも新しいですから、800ccレギュレーションが始まったばかりの今はすごく面白い時だと思います。

250ccクラスの時に一緒だったメンバーと働けるのも魅力的ですし、それに自分を信じてくれる依田一郎監督の事も好きです。若いグランプリチームで働けるのは本当に楽しいですよ。

カワサキでの過去のテストライダーと開発ライダーの経験は、今後のレースで役に立ちそうですか。

はい。あの経験は自分にとって有利な状況を生むでしょうね。バイクのテクニカル面における開発の方向性を深く理解できた事は、今後必ず役に立ちます。


800ccになった新しいMotoGPクラスにどんな印象をお持ちでしょうか。

今回のMotoGPの新ルールは気に入っていますし、わくわくさせられるものがあります。

ライディング・スタイルについてはどうでしょう。800ccマシンは以前の990ccマシンと比べて大きく違いますか。
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それほど以前と比べてライディング・スタイルが大きく変わるとは思っていません。最初に800ccマシンが姿を現した時、やたら250ccマシンのスタイルと比較する傾向にありましたが、あまり意味のない事だと思います。

多くのライダーが250ccを例に出したのは、990ccと比べて800ccマシンはパワーが落ちる事が理由のひとつでしょうが、今後そういう話の展開はなくなるでしょう。

800ccになったNinja ZX-RRの性能と、今年のカワサキのチームについてはどのようにお考えですか。

性能は高いと思いますよ。多くの人たちを驚かせる事になるでしょうね。最初にテストで800ccのNinja ZX-RRに乗った時、その時点ですでにいいバイクだと思っていました。また、冬季テストのメニューの中でも今シーズンに向けていいベースを開発していますしね。

ここまで特に大きな問題もありません。ただ、レースに関しての予想はいつも難しいです。特に開幕前にライバルとの比較は簡単にはできません。ひとつ確実なのは、今後も頑張って改善作業を続けて、より性能を高めていく事だけです。

新しい800ccマシンは電子制御の影響力が以前のパワフルな900ccマシンよりも少なくなるようですが、それはライダーにどんな影響を与えますか。

正しいですね。おそらく1つ考えられるのは、各メーカーのマシン性能の差が小さくなる事です。また、ライダーの観点からみれば、電子制御の影響範囲が少なくなると、乗り手の操作がマシンの挙動に対してより大きな影響を与える事になります。特にレースの終盤ですね。


今年のあなたのチームメイトはMotoGPの新しいスター、ランディー・ド・ピュニエですね。彼もフランス人ですが、この純フランス人ペアについてはどのようにお考えですか。

自分にとっては素晴らしい状況になったと思います。ランディーとは良い関係にありますし、最近も日本で一緒に楽しい時間を過ごしたばかりです。
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サーキットでは強力かつとてもプロフェッショナルな協力体制が組めると思いますよ。お互いのバイクの状態について話し合い、情報を交換しあう事で互いのスピードを上げていけるんです。和やかな雰囲気でね。これは重要な事ですよ。

何か今シーズンに向けて準備を進めてきましたか。

MotoGPのレギュラーに戻れると分かった瞬間から、冬休みを通してトレーニングに励みました。この機会を利用して自分のカワサキへの信頼を形にして証明したいと思っています。

主にジムに通って体力トレーニングを行いました。他の多くのライダーと違ってバイク(自転車含む)はトレーニングに使わないんです。モトクロスとかスーパーモタードなんかにも乗りません。2輪に乗るのはグランプリシーズンだけで十分ですからね。

長くて大変なプレシーズンもMotoGPシーズンの一部だと思いますが、テストとレースでは取り組み方に大きな違いがありますか。

テスト中は経験を活用するという感じです。チームとも普段とは異なるスタイルで作業を進めたりして、バイクの性能を最大限に引き出すために時間をできる限り使います。

レースウイーク中は1日にサーキットを2時間しか使えませんので、とにかく速いタイムを出す事に集中してレースに備えます。こっちの方がきつい時間ですよ。

あなたは長いグランプリ生活と、2000年の250ccクラスでの優勝といった輝かしい経歴をお持ちですが、個人的に一番印象に残っているのはいつ頃でしょうか。

2005年の中国GPは特別な思い出です。カワサキとも経験を共にできましたしね。あれは豪雨になったウェットレースでしたが、MotoGPにおける今のカワサキの史上最高位である2位を獲得したんです。
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あれをきっかけに、カワサキのレギュラーライダーとして契約できた今回もまた最高の瞬間でしたね。

2007年は全18戦となり、かつてない長期間のGPシーズンになりますが、このスケジュールについてはどう思われますか。

それについてはシーズンが終わってから答えたいと思いますが、ただ、すごく忙しくなるのは間違いないでしょうね!


オートバイレースはここまでのあなたの人生そのものですが、もしプロのライダーになっていなかったらどんな道を歩んでいたと思いますか。

寿司を握っていたかったですね。日本食が大好きなんです。ただ、何らかの形でこのスポーツの世界に足を踏み入れていたとは思います。チームのテクニカル分野かなんかでしょうけど。

今のご自宅はロンドンだとお聞きしましたが、どんな街ですか。

ロンドンはすごく面白いところですよ。冬はめちゃくちゃ冷えますけどね。あそこにはいい寿司屋があるんですよ。友達と良くいくクラブなんかもあります。

他にも観光客向けのエリアから外れた場所にポートベロ(アンティーク・マーケット)みたいなところや劇場があったりして、楽しめるスポットがたくさんあるんです。僕はコメディーが結構好きなんですよ。

家はチェルシーのキングス・ロード沿いにあるスローン・ストリート地域ですが、あそこも常に何か面白い事ができる場所です。

今年はヘルメットのデザインを新しくされましたが、何か特別な意味があるんでしょうか。

いえ、特には・・・別に大きな意味はないんですが、自分のデザイナーと一緒に話し合って、今シーズンは何か今までとは全然違うようなイメージにしたいねって事になっただけです。

2007シーズンに向けての目標があれば教えてください。

自分とカワサキのNinja ZX-RRから最大限の力を引き出して、自分のトップレベルの走りでレースを戦う事だけです。それさえできれば、今シーズン中にいい結果が得られる筈ですからね。


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