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2007年1月13日
今年のMotoGPのストーブリーグは例年と比較してスムーズに各シートが決まり、残るはキャメルがスポンサー活動から撤退した後のヤマハ・ワークスのメイン・スポンサー発表のみとなった。1月22日から解禁される冬季テストまでには何らかの発表がヤマハからあると予想されていたが、現在のところ特にそれに関して大きな動きはない。
■年末はIT企業数社が噂されたヤマハの新スポンサー
ヨーロッパの各メディアが年末に報じたヤマハの新スポンサーに関する噂では、2005年末にホンダと決別したスペインの電話会社である「テレフォニカ・モビスター」のMotoGP復帰や、2006年からバレンティーノ・ロッシの個人スポンサーを務めているイタリアのインターネット・サービス・プロバイダーである「ファースト・ウェブ」、および、ヨーロッパの携帯電話会社である「ボーダフォン」などが、ヤマハ・ワークスをスポンサー支援するのではないかと予想されていた。
■去年のスポンサー発表はちょうど1年前
昨年のヤマハが、マックス・ビアッジ問題でホンダと決別したキャメルとのスポンサー提携を発表したのは今日から1年前の事だが、MotoGPの冬季テスト解禁を10日後に控えた現時点においても、2007年のヤマハ・ワークスのメイン・スポンサーに関する情報は一切公表されていない。
■ブリビオ監督「安売りはしたくない」
今年はIT企業のハンスプリーのMotoGP進出などもあり、2006年のヤマハとゴロワーズが決別した直後のような「たばこスポンサー離れ」によるMotoGP界全体のスポンサー難という話はないが、今回は逆にどこと提携を結ぶべきかをヤマハは決断しかねているとの噂もある。
イタリアのロードレースサイトであるRACINGWORLD.IT(www.racingworld.it)は、1月12日にヤマハ・ワークスのチーム監督であるダビデ・ブリビオのコメントを掲載しているので、以下にその内容の一部を引用する。
「キャメルがスポンサーを離れて以来、私たちはいくつかの会社と来期のスポンサー契約について話し合っています。」とブリビオ監督。
「スポンサーの決定は重要な話ですから、早急の決断が必要な状況と言えます。すでに今日までに何ヶ月にも及ぶ交渉を繰り返してきましたからね。」
「ただ、自分たちをあまり安売りしたくはないんです。」
■ゴロワーズとの闘争以降、スポンサー選択に慎重なヤマハ
2003年からの3年間にヤマハ・ワークスは、ゴロワーズやフォルツナを所有するスペインの巨大たばこ会社であるアルタディスに、チーム運営やライダー選択に関する権限に大きく関与された時期があると噂される。
この流れの中、ヤマハは2005年末にゴロワーズとの交渉を一方的に打ち切る形でアルタディスとの決別を発表しており、直後にゴロワーズは弁護団を通して抗議声明と警告を発したが、ヤマハはその警告に応じる事なく、ゴロワーズの競合ブランドであるキャメルとのスポンサー提携を1年前に発表した。
両者の論争が法廷闘争にまで発展した事はまだ記憶に新しいが、ヤマハだけではなく殆どのバイクメーカーは、チーム運営や方針にスポンサーが大きく関与し、口出しされる事を当然の事ながら嫌う傾向にある。
■メーカーサイドは強気?
2ストローク500ccの技術がGPの世界のものでしかなくなった90年代後半とは異なり、市場に技術を反映できる4ストロークのMotoGP時代となってからは、メーカーはGP活動費用を研究開発投資として自前で負担する事が可能となり、一昔前と比べて強気の姿勢がとれるようになったのかもしれない。
ブリビオ監督が言う「安売りしたくない」というコメントは、過去の経験からスポンサーとの事前交渉は慎重に行っておきたいという、ヤマハ側の意向がうかがえる内容と言えるだろう。
■最新の噂ではビールとアパレルも
RACINGWORLD.ITは、ヤマハワークスのスポンサー候補のヨーロッパにおける最新の噂として、冒頭にも述べたテレフォニカ・モビスターとF1の公式スポンサーを務めているビール会社のFoster's、ならびに2006年シーズンにアッセンTTと日本GPでのメインスポンサーだったイタリアのアパレル会社であるA-Styleの3社をあげている。
仮にテレフォニカ・モビスターかFoster'sにスポンサー決まれば、ヤマハ・ワークスは1年ぶりに青色のマシンに戻るが、A-Styleになれば昨年と同様に黄色のマシンとなる。いずれにしても、ヤマハからの最終的なスポンサー発表は、そう遠い日ではなさそうだ。
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