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2008年5月6日
スポンサー難による財政面の問題から2008年に入ってからは合同テストなどへの参加活動を休止したものの、開幕直前にはヨーロッパの自動車企業体からの財政援助に関する交渉が進み、希望を持って今シーズンも3年目となるF1参戦をオーストラリア開幕戦から開始するに至ったスーパーアグリF1チームだが、同チームは5月6日、F1でのレース活動から全面的に撤退する事を正式に発表した。
■開幕戦には無事に出場、その後マグマとの交渉が決裂
かつてスポンサー契約を結んでいたSSユナイテッド・グループの契約不履行が発生してからは深刻な財政難に陥り、今シーズンへのF1参戦が危ぶまれていたスーパーアグリF1チームは、今年の開幕4日前には自動車業界ビジネスを支援するヨーロッパの企業体であるマグマ・グループによるスポンサー提携の交渉が進んでいる事を発表、3月10日のF1オーストラリア開幕戦には無事に姿を見せたが、その翌戦のマレーシアGPが終了した後の4月16日はマグマ・グループとの交渉が決裂した事を正式発表していた。
■再び出場が危ぶまれた第3戦目は乗り切ったが・・・
この事から、スーパーアグリF1チームは第3戦目となるバーレーンGPからのレース出場が再び危ぶまれたがこれには無事に出場、続く第4戦目となる今週末の5月9日に初日を迎えるトルコGP以降の出場に向けては、ドイツの自動車会社であるバイグル・グループとの交渉が大詰めに入っている事を5月2日に発表し、F1での活動継続に向けての意欲を改めてアピールしていた。
■トルコGPに向けて一時期は楽観的な見方も
バイグル・グループのCEOであるフランツ-ジョセフ・バイグルは、この当時の会見の中でスーパーアグリのチーム存続のために経済援助を行う意向を正式表明しており、この事からスーパーアグリのF1参戦継続の見通しは明るいと一部では報道され、実際にチームは今週末のトルコGP参戦に向けて機材やスタッフなどをイスタンブール・サーキットに送り込んでいる。
■トルコに到着してもイスタンブール・サーキットからは閉め出し
しかしながら、autosports.comが5月4日に報じたところによると、これまでにチームの財政面での救済活動を続けてきたホンダ・レーシングのCEOを務めるニック・フライは、スーパーアグリのトルコGPへの出場に関してはまだゴーサインが出せないとの旨を正式にF1運営側に対して伝えており、この結果、今週に入り現地に到着したスーパーアグリF1チームの車両はイスタンブール・サーキット内への進入が許可されず、サーキット外側での待機状態が数日間続いていたという。
■チームはついにF1からの撤退を表明
詳細な見解は定かではないが、結局の所は現在までのスーパーアグリF1チームとバイグル・グループの交渉内容が、チームがF1での活動を今後も継続する上で十分に現実的と言える内容ではないとホンダ・レーシング側が最終判断を下したとの見方が強く、この流れを受けて、スーパーアグリF1チームはついにそのF1での2年4ヶ月間の活動に終止符を打つ事となった。
2006年シーズンよりF1フル参戦を開始したスーパーアグリF1チームのここまでの成績は、初出場から数えて22戦目となる2007年のスペインGPにおいてチーム設立時からのドライバーである佐藤琢磨選手が初のポイントを獲得、昨年はコンストラクターズの年間総合ランキング9位につけ、財政的な問題から機材やパーツが整わなかった今年の2008年には、佐藤琢磨選手が4戦目となる前回のスペインGPまでに3戦連続の完走、チームメイトのアンソニー・デビッドソンは2回の完走を記録していた。
■鈴木亜久里代表「結論はF1からの完全撤退」
今回のスーパーアグリF1チームのF1撤退発表の中で、チーム代表の鈴木亜久里選手は各国のメディアに向けて以下のコメントを発表している。
「F1チームのオーナーになるという私の夢を実現するために、FIAフォーミュラワン世界選手権にグリッド確保の申請を行ったのは2005年の11月でした。それ以来、私は2年間と4ヶ月の間、スーパーアグリF1チームとしての参戦を続けて参りましたが、残念ながら今日をもってチームはその活動を中止する事になります」と鈴木亜久里代表。
「チームはここまでに自動車メーカーからの支援を受ける多くのチームと戦い続け、22戦目には初のポイントを獲得する事に成功し、その年である2007年のコンストラクターズの年間総合ランキングは9位を獲得しました」
「しかしながら、パートナー契約を結んでいたSSユナイテッド・グループ社の協定違反による財源の損失から、その後すぐにチームは財政難に陥る事となりました。また、外部メーカー製のシャシー利用に関するルールの変更(2010年からカスタマーシャシーの使用は禁止)など、そういったチームを取り巻く環境の変化も、パートナー探しを行うわたしたちの活動範囲に影響を与えています」
「その後しばらくはホンダの援助により、何とかチームを存続させる事ができていましたが、今後もF1を取り巻く現状の中で活動を続けていく事への見通しが立たなくなり、その結果、選手権からの撤退という結論に至りました」
「ホンダとブリヂストン、ならびにスポンサーの方々に深い感謝の気持ちを伝えるとともに、過去数年間の様々な状況の中で助言を下さった全ての方々、常に意欲を高く保ち全力を尽くしてくれたチームスタッフの全員、難しい状況にもかかわらず常に限界まで攻め込んで戦ってくれたアンソニー・デビッドソン、チーム設立の初期段階から共に活動し、いつも激しく戦ってチームをリードしてくれた佐藤琢磨選手、そして最後に、ここまで変わらぬ厚い応援を頂いた世界中の全てのファンの方に心から御礼を申し上げます」
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