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スペインGP決勝レースの内容とコバライネン事故後の状況
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インテリワン編集部
  2008年4月30日

2008年のF1グランプリ第4戦目となるスペインGPが4月27日の日曜日に決勝レースの日を迎えている。ここでは、決勝前日に地元スペインの英雄である2005年と2006年のF1チャンピオン、ルノーのフェルナンド・アロンソが予選で今期初の1列目となる2番グリッドを獲得し、その応援に13万2600人の観客が押し寄せたバルセロナのカタルニア・サーキットでの決勝レースの模様を、各ドライバーやレース関係者のコメントなどと合わせて紹介する。
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■上位のスターティング・グリッド、ポールポジションはライコネン

レース前日の4月26日(土)に行われた予選でポールポジションを獲得したのは、前々回のマレーシアとバーレーンでの過去2戦を優勝で飾り、オーストラリア開幕戦でのマシン・トラブルによる不調を一気に取り返した昨年度チャンピオンのフェラーリ、キミ・ライコネンだった。
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■ルノーのアロンソが1列目2番グリッドを獲得

ライコネンの隣となる2番グリッドを獲得したのは、昨年に引き続きややフェラーリやマクラーレン、BMWザウバーなどのライバルからマシン開発の面で遅れの目立ったルノーのマシンを、久しぶりに予選で1列目に送り込むという快挙を成し遂げた2006年のF1チャンピオン、今年からINGルノーF1チームに復帰した地元スペイン期待のフェルナンド・アロンソ。
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■マッサは3番グリッド、クビサは4番グリッド、マクラーレン勢は3列目

2列目3番グリッドはフェラーリのフェリペ・マッサ、2列目4番グリッドは前回のバーレーンGPではポールポジションからスタートして3位表彰台を獲得したBMWザウバーのロバート・クビサ、3列目5番グリッドは昨年度のランキング2位につけたボーダフォン・マクラーレン・メルセデスのルイス・ハミルトン、3列目6番グリッドはそのチームメイトのヘイキ・コバライネン。
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■ルノーはピケもQ3に進出し10番グリッドを確保

4列目7番グリッドはレッドブルのマーク・ウェバー、4列目8番グリッドはトヨタのヤルノ・トゥルーリ、5列目9番グリッドはバーレーンGP終了時点におけるランキングの2位につける好調BMWザウバーのニック・ハイドフェルド、5列目10番グリッドは前日の予選で初めてQ3進出を果たした今年のF1ルーキーであるルノーのネルソン・ピケが獲得している。
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予選中の状況と各ドライバーの予選後のコメントはこちらの記事を参照の事。


■レース開始、ホールショットはライコネン

4月27日スペイン現地時間の14時より、気温22度から24度、路面温度34度〜41度、湿度28%から40%という、グランプリ初日と2日目の気象条件とほぼ変わらない良好な晴天のドライ・コンディションの中、全66周回のスペインGP決勝レースがスタートした。
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■マッサがアロンソを交わして2番手に浮上

シグナルが消えると同時に好調なスタート・ダッシュを見せたのはフェラーリ勢とマクラーレン勢だ。ポールポジションからスタートしたフェラーリのキミ・ライコネンはそのままホールショットを奪い、2列目3番グリッドからスタートしたフェラーリのフェリペ・マッサはそれほど加速の伸びない2番グリッド・スタートのルノーのフェルナンド・アロンソの横に並びかけてチームメイトのライコネンの背後の2番手につける。
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■好スタートのハミルトンがアロンソの背後の4番手に

3列目5番グリッドからの猛加速を見せたマクラーレンのルイス・ハミルトンは1コーナーまでに4番グリッド・スタートのBMWザウバーのロバート・クビサの前を奪って3番手を行くアロンソの背後となる4番手に浮上。5番手となったクビサの背後にはマクラーレンのヘイキ・コバライネンが6番手つけて1コーナーを通過。
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コバライネンの後方にはBMWザウバーのニック・ハイドフェルドが7番手、レッドブルのマーク・ウェバーが8番手、トヨタのヤルノ・トゥルーリが9番手、ルノーのネルソン・ピケが10番手、ニコ・ロズベルグが11番手、ホンダのルーベンス・バリチェロが13番手、ホンダのジェンソン・バトンが14番手、15番手にはスタート直後にポジションを3つ落とす事になったウィリアムズの中嶋一貴選手が続く。


■1ラップ目にスーティルとベッテルがまたも接触、揃ってリタイア

先頭集団が走り抜けた後のオープニング・ラップの4コーナー、ここで今回のレース最初の接触事故が中嶋選手の背後で発生する。
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トヨタのティモ・グロックがレッドブルのデビッド・クルサードを交わして中嶋選手の背後となる16番手につけた直後、フォース・インディアのエイドリアン・スーティルも3コーナーを抜けた際に大きくコースをはみ出しながらクルサードの右イン側に並びかけたが、4コーナー手前でスーティルはクルサードの右側面に接触。

この時の衝撃でスーティルは制御を失ってコース上でスピンを起こし、その後方から4コーナーに進入しようとしていたトロ・ロッソのセバスチャン・ベッテルは、回転するスーティルに追突してしまう。
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■クルサード、グロック、佐藤選手も軽いダメージ

この事故の横を通り抜けたトヨタのグロックとスーパーアグリの佐藤琢磨選手はフロントウイングを軽く損傷したが、結局この事故でマシンに深刻なダメージを受けてリタイアする事になったのはスーティルとベッテルの2台のみだった。クルサードとグロック、ならびに佐藤選手の3台はマシンに軽いダメージは受けたものの、ピットストップを行う事なくそのままレースを続行。

■スーティル「もう1台を追い抜きたかった」
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前回のバーレーンGPと同様に、オープニング・ラップでまたもベッテルを巻き込む形でリタイアする事になったフォース・インディアのスーティルは「スタートがとてもうまくいき、4コーナーの進入でもう1台車を抜こうとしたが距離が近すぎてコーナーを曲がりきる事ができなかった。残念な週末の終わり方になってしまった」とコメント。

■ベッテル「スーティルの考えは甘すぎる」
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不調のレースウイークを再び最悪な形で終える事になったトロ・ロッソのセバスチャン・ベッテルは「自分にはどうする事もできなかった。スーティルの4コーナーでの追い越し方はあまりにも考えが甘すぎるとしか思えない。彼が他の車と接触した後でスピンしながら自分の方に向かってきた時には内側に逃げる事も可能だったかもしれないが、すでにスーパーアグリの車が背後から自分を追い抜きにかかってきていたので仕方がなかった。イスタンブールでは頑張りたい。今年はスタート時に事故に巻き込まれる事が多いので、新しい車なら後続集団の中で戦わなくても良くなる事を祈っている」と語った。


■レース再開直後の順位

ここでスーティルとベッテルの車がクレーンでコース外に運ばれる間はセーフティー・カーが導入され、3ラップ後にレースは再開。
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レース再開直後の4ラップ目の各ドライバーの順位は、先頭がライコネン、2番手がマッサ、3番手がアロンソ、4番手がハミルトン、5番手がロバート・クビサ、6番手がコバライネン、7番手がハイドフェルド、8番手がウェバー、9番手がトゥルーリ、10番手がピケ。
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11番手がロズベルグ、12番手がバリチェロ、13番手がジェンソン・バトン、14番手が中嶋選手、15番手がフォース・インディアのジャンカルロ・フィジケラ、16番手がクルサード、17番手がティモ・グロック、18番手がトロ・ロッソのセバスチャン・ブルデー、19番手がスーパーアグリのデビッドソン、20番手が佐藤選手。
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■ピケが単独ミスをしてコースオフ、この影響でマシンを壊すデビッドソン

ライコネンがマッサとの差をいきなり1.3秒まで広げた4ラップ目の中盤、ここでピケがミスをして左コーナーを曲がり切れずに単独コースアウト。順位を10番手から18番手にまで落とす失態を見せる。ここでピケはコース復帰時にグラベルをアスファルト上に多く持ち込み、その後にこの上を走行したスーパーアグリのアンソニー・デビッドソンはラジエーターに石があたり深刻なダメージを被ってしまう。
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■順位挽回を焦るピケとブルデーが接触、揃ってリタイア

続く7ラップ目、ここでこのレース2つ目となる事後が発生する。順位を落として焦るピケは10コーナーで17番手を走るブルデーのインを奪おうと試みるが、ブルデーはピケがやや強引に左イン側に並びかけた事に気がつかずにそのままコーナリングを開始。2台は激しく接触し、これによりブルデーは左のフロントサスペンションを破損、ピケも車に致命的なダメージを受け、2台は揃ってレースをリタイアした。

■ブルデー「追い抜けるような距離じゃなかった筈」
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ピケの存在には全く気がつかなかったと述べ、やや不愉快な面持ちのセバスチャン・ブルデーは「ビデオのリプレイを見るまでは何も言いたくはないが、自分が分かっているのはミラーを見た時にはネルソンは自分にアタックをしかけられるような場所にはいなかった事だけ。彼がこっちに接近していたとしても、追い抜きに入るには十分な距離じゃなかった。10コーナーに飛び込む時に自分はかなりブレーキを遅らせていたが、そこでハンドルを切ったら突然ピケが横に現れた」と事故の状況を説明。

■ピケ「リスクを冒してでも攻め込む必要があった」
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F1に参戦して初めてQ3にまで進出したにも関わらず、レースでは自分のミスでポジションを落とし、さらにその直後にブルデーと接触してレースをリタイアする事になったネルソン・ピケは「序盤にミスをしてコースオフしたが自力でレースには復帰する事ができた。そこからはリスクを冒してでも激しく攻め込もうと思った」とリタイア後にコメントした。


■マシンに不調をきたしたデビッドソンがリタイア
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ライコネンが2番手のマッサを2.5秒引き離した8ラップ目、スーパーアグリのデビッドソンはマシンの不調を訴えガレージに戻りリタイア。この原因についてデビッドソンは「ピケが(4ラップ目の)コースアウト後に多くのグラベルをコース上に持ち込んだので、その石がラジエーターにぶつかり大きなダメージを受けてしまった。スタートはうまくいったし車の感触も良かったので、こんな序盤にレースをリタイアする事になったのは本当に残念」と説明した。


■アロンソが最初のピットストップ
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5台が早々とリタイアしてコース上の車が17台となった16ラップ目、ここで3番手を走行していたアロンソが最初のピットストップを実施。燃料補給とタイヤ交換を行いラップ上の11番手としてコースに復帰。

■2番手のマッサが先頭のライコネンよりも先にタイヤ交換

さらに3周が経過した19ラップ目、先頭のライコネンから3.5秒以上の差を開かれた2番手のマッサがライコネンよりも先にピットストップ。コースには3番手のポジションから復帰した。
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続く20ラップ目にはついに先頭のライコネンもピットストップ。他にもウェバー、トゥルーリ、そして佐藤選手もピットストップを行い、ここでの見かけ上のトップは、まだ一度もタイヤ交換を行っていないルイス・ハミルトンとなる。


■上位のドライバーが次々とピットストップを開始する中で大事故が発生

21ラップ目にはハミルトンとクビサもピットストップを実施し、コバライネンとハイドフェルドを除き上位を争うドライバーの全てがピットストップを行った後の22ラップ目、ここで深刻な大事故が発生してしまう。
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■コバライネンがタイヤの空気圧を一瞬にして失いバリアに正面から激突

9コーナーの高速右カーブに時速240キロメートルの速度で差し掛かったコバライネンの車の左フロントが突然破裂。タイヤは圧力を一気に失い、コバライネンはコーナリングする事もできずに真っすぐにグラベルを抜けてその先にあるタイヤバリアにほぼ正面から激突。車はリア部分を残してタイヤの中に埋まり、フロント部分は50センチほど潰れてなくなった。
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■正面衝突時の速度は130km/h、27Gの衝撃を受けたコバライネン

衝突時の速度は時速130キロメートル、そこで27Gの衝撃を一気に受けたコバライネンは完全に意識を失っており、コースマーシャルなどが慎重に車の中からコバライネンを助けだそうと試みるが、車は完全にタイヤバリアに埋まり、残ったフロント部分の先端はその奥のフェンスにまで完全に到達してくさび状に潰れていた事から救出作業は難航した。


■ピットストップのタイミングと事故が重なった不運のハイドフェルド

この間、コースには再びセーフティーカーが導入されたが、燃料がすでに底を付いていたハイドフェルドは、仕方なくルール違反となるセーフティーカー導入中の給油を敢行。後に10秒間のピットストップ・ペナルティーを喰らう事になってしまう。
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■ハイドフェルド「給油しなければガス欠」

これについて、この時には実質の5番手につけていたハイドフェルドは「最初のピットストップとセーフティーカー導入のタイミングが重なってしまい不運だった。その前の周回でピットレーン入り口を通過した時にピット・ストップのサインをもらったばかりだった。燃料をセーブして持ちこたえようとはしたが、最終的にはコース上にガス欠で停車するか、あえてペナルティーを受けるかの2つの選択肢しかなくなってしまった」と今回の不運を説明している。


■意識を取り戻したコバライネン、外傷や骨折はなし

幸い、車の中から救出されたコバライネンは意識を取り戻し、担架に括り付けられて運ばれながらも観衆に向けて手をあげて無事をアピール。最悪な事態を予想しこわばった表情を見せていたレース関係者の顔に安堵の笑顔が戻った。
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■ロン・デニス代表「頭部CTスキャンの結果は良好」

今回のコバライネンのショッキングな事故の原因とコバライネンの容態についてマクラーレン・チームのロン・デニス代表は、コバライネンがヘリコプターでカタルニアの病院に搬送された直後に「彼の無事を報告できて嬉しい。ヘイキは病院で検査を受けた結果どこにも骨折は見つかっておらず、頭部のCTスキャンの結果も良好であり、数日後には完全に回復できるとの事。事故の原因はまだ定かではないが、データによると事故の直前にタイヤが圧力を一瞬のうちに失っている。まだ事故原因を特定できる段階ではないが、恐らくホイール・リムの故障がパンクの引き金になったのではないかと思う」と説明。

■ウィットマーシュCEO「ホイールリムの内側に何らかの破片?」

写真また、このレース翌日には、マクラーレンCEOのマーティン・ウィットマーシュがさらに詳細な説明をこれに加えている。ウィットマーシュCEOは「ヘイキは頭部の全体をCTスキャンによる精密検査を受けたが、どこにも外傷や内出血の疑いは見つかっていない。彼は一時的に意識を失ったがその場で回復しており、これは大変に嬉しいニュースだった。事故の原因についてはホイールリムの故障が左フロントタイヤのパンクを一瞬にして引き起こしたと現在は考えている。リムの内側に何かの破片が入った可能性があるが、これについては現在も調査中。ホイールそのものは新品だったが、構造設計上に何らか問題があるとは思わない。破片が原因とする説についてもまだ実際のところは分からないので、この問題についての回答は後日改めて行う予定」と述べ、今後の調査後に改めて事故原因についての詳しい発表を行う旨を示した。

■シャシーの潰れ方は安全対策の想定通り

さらにウィットマーシュCEOは、破壊された車の状況とドライバーの安全対策についても説明している。「車は完全に破壊されており、シャシーのフロント部分が折れ曲がっていた。実際に見るまでは、なくなった先端部分はバリアの中に隠れているだけだと思っていた。シャシーのフロント部は45センチから50センチくらいの範囲が潰れてしまったが、車体が全て想定通りの機能を発揮して非常に大きな衝撃を吸収したおかげで、ヘイキは身体の怪我を免れる事ができた。また、救急スタッフやFIAの医療チームのサーキット内での仕事ぶりも大変に素晴らしく、安全に彼を車の中から救出し、その後の処置も的確だった」とウィットマーシュCEO。


■コバライネン「事故当時の事は何も覚えていない」

なお、幸い深刻な怪我を一切負わなかったコバライネンは、レース翌日にマクラーレンの広報を通じて、以下のコメントを収容されたカタルニアの病院内で発表している。事故の事は全く覚えていないとコバライネンは語る。
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「まだ軽い頭痛と首に硬直感が残るが、気分はそれほど悪くないし、トルコに向けて一刻も早く体調を戻したいと思っている。事故が発生した時の事は何一つ記憶にないが、サーキットの救急スタッフとFIAの医療チーム、ならびに病院の医師の方たちの努力には心から感謝の気持ちを伝えたい。事故の原因についてはさらなる調査の結果を待つ必要はあるが、モノコックが大きな衝撃を受けても無事だったという事実が今回の最も重要な点と言える。これはボーダフォン・マクラーレン・メルセデス関係者全員のおかげだと思っている」とコバライネン。


■セーフティーカー導入中、ピットレーン内でフィジケラとバリチェロが接触
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まだセーフティーカー導入中の25ラップ目、ここでピットレーンがオープンされ、バリチェロ、バトン、中嶋選手、フィジケラ、クルサード、グロックがピットストップを実施するが、ここでピットから出発した直後のバリチェロにフィジケラがピットレーン内で接触。この事故によりバリチェロはフロント部に大きなダメージを受けるが、バリチェロは為す術なくフロントノーズが外れそうな状態のままでコースに復帰してしまう。
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■バリチェロはフロントノーズを引きずりながら走行

バリチェロはなんとかタイヤに食い込もうとするフロントノーズを振り払おうと慎重な走りを見せるが、結局フロントノーズは完全に外れて車両の下に食い込み、これが原因でマシンに致命的なダメージを被ったバリチェロはレースの続行を断念、ガレージに戻りリタイアした。

■結局リタイアとなったバリチェロ「本当にがっかり・・・」

ピット内に戻ってから車を降りて、一度は被った帽子を投げ捨てて荒れるバリチェロは、「今日は車の調子が良かったのでピットレーンでのフィジケラとの一件には本当にがっかり。チームがトラフィックに気をつけるように指示してくれたので高速用レーンから外れて走行していたら、フィジケラが追い抜いてきてこっちのフロントウイングをかすめながら曲がってピットボックスに入っていった。今日はいいポイントが稼げそうだったのに本当に残念」とコメント。
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■レースは再開、ハイドフェルドに想定通りのペナルティー

コバライネンの無事が確認され、セーフティーカーがコースから外れてレースが最下位した29ラップ目、ここでハイドフェルドに予期した通りのピットストップ・ペナルティーが提示され、一気にポジションを5番手から最後尾の16番手に後退してしまう。
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■アロンソの車がエンジンブロー
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このハイドフェルドの後退によりアロンソは5番手に浮上したが、35ラップ目に3コーナーからの加速に入ろうとしたアロンソの車のエンジンから突如エンジンブロー、即座に走行を諦めたアロンソは白煙を巻き上げる車をコース脇に寄せ、そのままリタイアした。

■アロンソ「今後はレースが楽しめそう」
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出火したマシンから慌てて降りたアロンソは、予選の好調な走りでルノー・チームに久しぶりの1列目をプレゼントし、最後はメカニカル・トラブルに終わったスペインGPの内容について「今週は甘さと苦さの両方を味わう事になった。車の競争力は高くなっているし、フェラーリやBMWとも戦えたので、これは今後に向けてのいい兆候だと言えるだろう。またこれでレースを楽しめるようになると思うし、次戦以降も上位を狙えるようになる事を願っている。完走できなかったのは残念だが、自分の予想以上にチームの競争力が上がっていた事は嬉しい驚きだった」との感想を述べ、ルノーの復調の兆しに期待感を示している。


■36ラップ目の順位
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バリチェロとアロンソがレースをリタイアし、コース上に残る14台の車の殆どが1回目のタイヤ交換と燃料補給を終えた36ラップ目の順位は、先頭からライコネン、2番手にマッサ、3番手にハミルトン、4番手にクビサ、5番手にウェバー、6番手にトゥルーリ、7番手にロズベルグ、8番手に中嶋選手、9番手に佐藤選手、10番手にフィジケラ、11番手にバトン、12番手にクルサード、13番手にグロック、14番手にはペナルティーのピットストップを終えたハイドフェルドが続いた。
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■9番手につけていた佐藤選手がピット作業の遅れにより大きくタイムロス

9番手に浮上していた佐藤選手はここで早めに2度目のピットストップを行うが、クルーの作業が難航して5秒近く余分にタイムを失い、最後尾の14番手に後退。


■ロズベルグもエンジンブロー「7位が狙えただけに残念」
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42ラップ目には7位を走行していたロズベルグのマシンが最終コーナーを抜けたところでエンジン・ブロー。レースの続行を断念し、白煙を吹くマシンから降りたロズベルグは、初日と2日目には不調だった今回のレースウイークを振り返り「今回は新しいエアロパッケージを持ち込んだが、プラクティスの時にはセッティングの方向性を誤ってしまった。レースまでに一貴のセッティングに近づける事でだいぶ改善され、激しく攻め込む事ができるようになり嬉しかった。レース中は好調に走る事ができていたし、仮に最後にヤルノを交わすことができていなかったとしても7位完走は狙えたと思うので、最後の出来事は本当に残念だった」と説明した。
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■44ラップ目以降に2度目のピットストップラッシュ

中嶋選手が7番手を走る44ラップ目、8番手を走行していたフィジケラが2度目のピットストップを実施し、フィジケラは12番手からコースイン。
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ハイドフェルドが3度目のピットストップを終えた翌周の45ラップ目以降は上位集団の2度目のピットストップが続き、2番手のマッサ、5番手のウェバー、6番手のトゥルーリが46ラップ目、先頭のライコネン、3番手のハミルトンと4番手のクビサが47ラップ目にピットストップを実施。ライコネンは2番手のマッサから1.9秒、3番手のハミルトンからは5秒の差を開いてトップのポジションを維持したままコースに復帰した。
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51ラップ目にはバトンに背後からプレッシャーを与えられながら7番手を走行していた中嶋選手、ならびにトヨタのグロックが2度目のピットストップ。
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■クルサードとグロックが接触、2台は揃って大きく順位を後退

11番手のフィジケラを12番手のハイドフェルドが必死に追い続ける54ラップ目、2度目のピットストップを終えてのアウトラップ中だったクルサードのイン側を4コーナーの左カーブで狙った9番手のグロックが、そこでハンドルを切ったクルサードと接触。この事故によりグロックはフロントウイングを失い、クルサードは左のリアタイヤが外れた事から、この2台は揃ってピットストップを実施。
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■グロック「クルサードはアウトラップ中の低速走行だった」

11番手からコースに復帰したグロックは「彼はアウトラップ中で低速走行をしていたのに外側から自分の前に戻ってきた。彼は少し隙間を空けて走行していたが、突然インを閉めてきたので互いに接触する事になってしまった」とこの接触について説明。
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■クルサード「グロックが近くに迫っていたのは知っていた」

最後尾の13番手からコースに復帰する事になったクルサードは「ピットストップからコースに復帰後、4コーナーから5コーナーにかけて防衛的な走行ラインを走っていたが、その時にグロックの姿がすぐ近くに迫っている事は知っていた。そこで彼がリアに衝突してきたので、タイヤがパンクしてしまった」とコメント。
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■トヨタが大きなミス、グロックではなくトゥルーリにピットストップの指示

ここで好調に7番手を走行していたトヨタのトゥルーリに対し、突如ピットから無線でピットに戻るよう指令が飛ぶ。慌ててトゥルーリはピットに戻るが、実はこの指示はクルサードと接触してフロントウイングを破損したグロックに与えられるべき内容だった事がその後に判明。このチームの致命的なミスにより、トゥルーリはポジションを1つ落として8番手に後退してしまった。
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■トゥルーリ「貴重な2ポイントを失った」

この件についてトゥルーリは「チームのミスにより無線でピットに呼び戻されてしまった。こういう事も起こり得る事態だが、おかげで貴重な2ポイントを今日は失う事になってしまった。あそこまでは好調に走れていたし、車の性能を最大限に活用してウェバーとの接近戦を演じている最中だった」とコメント。
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■山科代表「大きなミスだった・・・」

トヨタのチーム代表を務める山科忠氏は今回のミスについて「あのミスは大きかった。ティモの衝突時にチーム内に混乱があり、ヤルノが間違った指示を受ける結果となってしまった。今回の事態を分析し、2度と同じようなミスが発生しないように心がけたい」と説明。
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■レース終盤56ラップ目の順位
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全ドライバーが予定の全てのピットストップを終えた56ラップ目開始時点の順位は、先頭がライコネン、2番手はマッサ、3番手がハミルトン、4番手がクビサ、5番手がウェバー、6番手がバトン、7番手が中嶋選手、8番手がトゥルーリ、9番手がハイドフェルド、10番手がフェジケラ、11番手がグロック、12番手が佐藤選手、13番手がクルサード。
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■残り4周のところでクルサードが佐藤選手をパス

キミ・ライコネンがトップを走り続け、他の車の順位もほぼ確定する中、この後も佐藤選手は必死にクルサードの背後からの執拗な攻撃をかわしながら12番手のポジションを守り抜こうとするが、残り4周の63ラップ目にクルサードに交わされて佐藤選手は最後尾の13番手に後退した。


■優勝はポール・トゥ・ウインのキミ・ライコネン
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こうして全ての車の順位が確定し、最終ラップの最終コーナーをトップのまま抜けてスペインGPを制したのは、メカニカル・トラブルに泣いた開幕戦を除く全てのレースで表彰台を獲得し、今回のカタルニアではポール・トゥ・ウインを決め、マレーシアに続き今年2度目の勝利を手にしたフェラーリのキミ・ライコネンだった。

■ライコネン「これ以上に素晴らしい結果はない」
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「これ以上にいい結果は難しい。昨日はポール、今日は優勝、そして2位はフェリペだしね。これでコンストラクターズとドライバーズの両方のランキングでトップに立てたし満足。スタートは完璧とは言えなかったが、トップを守るには十分なものだったし、その後はレースをコントロールできるように頑張った。2回のセーフティー・カー導入は事態を若干難しくしたが、最後までトップの座を失う事はなかった。車はハンドリングもバランスも素晴らしい状態だった。ヘイキの事故については、彼が無事だと聞いて喜んでいる。それが何よりも重要な事だからね」とライコネン。
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■ドメニカリ代表「今後も気を抜かずに頑張り続ける」

バーレーンに続く今年2度目となるフェラーリのワンツー・フィニッシュを喜ぶフェラーリのステファノ・ドメニカリ代表は「この最高の結果に本当に満足している。今後も細心の注意を怠らずにこの調子を維持しなければいけない。今年はライバルたちも非常に強いので、些細な事で簡単に結果は変わってしまうからね」と述べ、今回の勝利には満足しながらも、今後の戦いに向けての新たなる気構えを示している。
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■2位はマッサ、3位はハミルトン、4位はクビサ

フェラーリのフェリペ・マッサは前回のバーレーンでの優勝に引き続き今年2度目の表彰台となる2位を獲得。ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスのルイス・ハミルトンは開幕戦の優勝に続く今年2度目の表彰台となる3位でチェッカーを受けた。今期好調のBMWザウバーのロバート・クビサは惜しくも連続表彰台を逃して4位となった。

■マッサ「常に優勝できる訳ではない」
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今期最高位の2位を獲得したマッサは「この8ポイントは非常に重要。2週間前のバーレーンでは優勝できたが、常にあの時のような勝利が得られる訳ではない。スタートの時はアロンソを交わしてキミに接近できたが、彼より先にピットストップしなければいけない事は分かっていたので、彼の前に出る事は今回難しかった。だから今日は自分の最大限の結果を残せる事ができたと思う」とコメント。

■ハミルトン「フェラーリの近くで戦える事が分かり嬉しい」
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また、不調の過去2戦を終えて今回は再び表彰台に復帰する事ができた3位のルイス・ハミルトンは「まず何よりヘイキが無事だと聞いて本当に喜んでいる。バリアに埋まっている車がヘイキだと聞かされた時には驚いたが、ロン(デニス代表)がすぐに無線で彼が無事だと教えてくれたので本当に安心する事ができた。今回は表彰台に戻る事ができて嬉しい。ものすごく激しい攻めの走りを続けてフェラーリの2台についていこうと頑張った。今日はいいレースができたと思うが、まだいくつかの分野に改善すべき点がある。いずれにしても、フェラーリの近くで戦える事が分かったので気分がいい。トルコでは通常通りヘイキが戦いに復帰できる事を願っている」と述べ、今回のレース内容とコバライネンの無事を喜ぶコメントを残した。
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■クビサ「トップとの差は5秒のみ」

今回は4位でレースを終えたBMWザウバーのロバート・クビサは「レースは終始いいペースで走れていた。残念ながらスタートでポジションを落としたが、いずれにしてもトップとの差は5秒しかない。もし昨日の時点で誰かがこの差を予想していたとしても、多分信じられなかったと思う。あと、ヘイキが無事でいてくれる事を願っている。彼の車はすごく不自然な場所にとまっていた。FIAは車の安全面に関して大変な努力を続けてくれているので、彼らには本当に感謝したいと思う」とコメント。
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■日本勢、中嶋選手はポイント獲得、佐藤選手は13位完走

日本勢では、ウィリアムズの中嶋選手は今回7位に入賞して開幕戦に続く2度目のポイントを獲得、資金難の問題からF1参戦継続が危ぶまれているスーパーアグリの佐藤琢磨選手は13位完走を成し遂げた。
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■中嶋選手「改めて大きな一歩が踏み出せた」

中嶋選手は「いいレースができたと思う。今回はポイントを獲得できたのが重要だった。スタートはうまくいったが、すぐにバトンに背後に捕まってしまい、そこでポジションを落としたのは残念だったが、最終的なレースの結果には満足しているし、このレースで大きな一歩がまた踏み出せた。まだ改善すべき点は多分にあるが、参戦初年度の序盤4レースで5ポイントは悪くない滑り出しと言える」と、今回のレース内容に満足感を示すコメントを残した。
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■佐藤選手「最後までフロントノーズを交換せずに走行」

13位完走の佐藤選手は「厳しいレースだったが楽しむ事はできた。スタートはまあまあ上手くいったし、数台の車を交わす事ができていた。序盤に何台かの車が自分の方に迫ってきた時には避けきる事ができず、フロントノーズを失い車のバランスに悪影響が生じたが、見た目は大丈夫そうだったのでチームの判断によりレースの最後までそのまま走り続けた。レースの中盤に順位を9番手にまで上げる事ができた時には最高の気分だったし、今週チームのスタッフはこの難しい状況の中で本当に良く頑張ってくれたので、彼らのためにも、また自分たちを応援してくれている人たちのためにも本当に良かったと思う。この勢いを今後も維持できる事を祈っている」とレース後に語っている。
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■スペインGP決勝レース結果

以下に、気温は22度から24度、路面温度は34度から41度、湿度は28%から40%のドライ・コンディションの中で行われたスペインGP決勝レースの結果を示す。
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1) キミ・ライコネン FIN フェラーリ F2008 1:38:19.051(66周)
2) フェリペ・マッサ BRA フェラーリ F2008 1:38:22.279(66周)
3) ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン・メルセデス MP4-23 1:38:23.238(66周)
4) ロバート・クビサ POL BMWザウバー F1.08 1:38:24.745(66周)
5) マーク・ウェバー AUS レッドブル RB4 1:38:54.989(66周)
6) ジェンソン・バトン GBR ホンダ RA108 1:39:12.061(66周)
7) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ FW30 1:39:17.295(66周)
8) ヤルノ・トゥルーリ ITA トヨタ TF108 1:39:18.486(66周)
9) ニック・ハイドフェルド GER BMWザウバー F1.08 1:39:22.124(66周)
10) ジャンカルロ・フィジケラ ITA フォース・インディア VJM01 1:38:28.846(65周)
11) ティモ・グロック GER トヨタ TF108 1:38:33.054(65周)
12) デビッド・クルサード GBR レッドブル RB4 1:39:09.241(65周)
13) 佐藤琢磨 JPN スーパーアグリF1 SA08A 1:39:24.965(65周)
-) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ FW30 1:03:48.346(41周)
-) フェルナンド・アロンソ ESP ルノー R28 53:55.739(34周)
-) ルーベンス・バリチェロ BRA ホンダ RA108 54:20.731(34周)
-) ヘイキ・コバライネン FIN マクラーレン・メルセデス MP4-23 31:09.659(21周)
-) アンソニー・デビッドソン GBR スーパーアグリF1 SA08A 13:42.022(8周)
-) セバスチャン・ブルデー FRA トロ・ロッソ STR2B 12:26.355(7周)
-) ネルソン・ピケ BRA ルノー R28 10:37.331(6周)
-) セバスチャン・ベッテル GER トロ・ロッソ STR2B -(0周)
-) エイドリアン・スーティル GER フォース・インディア VJM01 -(0周)


■スペインGP終了後のポイントランキング
写真
スペインGP終了後のポイントランキングは以下に示す通り。

ドライバーズ・ランキング

1) キミ・ライコネン [FIN] [フェラーリ] 29
2) ルイス・ハミルトン [GBR] [マクラーレン・メルセデス] 20
3) ロバート・クビサ [POL] [BMWザウバー] 19
4) フェリペ・マッサ [BRA] [フェラーリ] 18
5) ニック・ハイドフェルド [GER] [BMWザウバー] 16
6) ヘイキ・コバライネン [FIN] [マクラーレン・メルセデス] 14
7) ヤルノ・トゥルーリ [ITA] [トヨタ] 9
8) マーク・ウェバー [AUS] [レッドブル] 8
9) ニコ・ロズベルグ [GER] [ウィリアムズ] 7
10) フェルナンド・アロンソ [ESP] [ルノー] 6
11) 中嶋一貴 [JPN] [ウィリアムズ] 5
12) ジェンソン・バトン [GBR] [ホンダ] 3
13) セバスチャン・ブルデー [FRA] [トロ・ロッソ] 2

コンストラクターズ・ランキング
写真
1) フェラーリ 47
2) BMWザウバー 35
3) マクラーレン・メルセデス 34
4) ウィリアムズ 12
5) トヨタ 9
6) レッドブル 8
7) ルノー 6
8) ホンダ 3
9) トロ・ロッソ 2

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