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2008年1月14日
フェラーリF1チームは、毎年恒例となったマルボロ主催のプレス・スキー・ミーティングを、2輪ロードレースの最高峰であるMotoGPのドゥカティー・マルボロ・チームと今年も合同実施している。
■シェイクダウンテストの2日後、フェラーリのメンバーは雪山に移動
1月6日にプレスに対して2008年型マシンのF2008を初公開し、その翌日の7日には新車発表式典のあった専用テストコースにおいてキミ・ライコネンによるF2008のシェイクダウン・テストを実施したフェラーリF1チームの面々は、その2日後となる1月9日にはイタリアのスキー・リゾート地として知られるマドンナ・ディ・カンピリオの雪山に移動し、1月7日から現地入りしていたドゥカティー・チームのメンバーと合流した。
■初日はドメニカリ代表の記者会見とドゥカティー・チームとの合流
フェラーリF1チームにとってのスキー・ミーティング初日となった1月9日には、ジャン・トッドCEOに変わり2008年以降のフェラーリF1チームの責任者を務める事になったステファノ・ドメニカリ新代表がプレスとの会見場に姿を現し、昨年のマクラーレンとの騒動に関する質問を含むいくつかの内容に回答している。
■4輪と2輪の世界最高峰チャンピオンのツーショット
その後、昨年に初めてマルボロのスキー・ミーティングに参加した2007年度のF1世界チャンピオンであるキミ・ライコネンと同じく、今年が2度目のマドンナ・ディ・カンピリオとなった2007年度のMotoGP世界チャンピオンのケーシー・ストーナーは、雪の降り積もるゲレンデのイベント会場に同時に現れており、この4輪と2輪のモータースポーツにおける世界チャンピオンの貴重なツーショットを写真に納めようとするカメラマンやジャーナリストに、親睦を深めるフェラーリとドゥカティーの面々は取り囲まれている。
■2日目以降はライコネンとマッサの会見ならびに雪上レース
フェラーリが合流してから2日目の1月10日には、初日のドメニカリ代表の会見に引き続き、キミ・ライコネンとフェリペ・マッサの正ドライバー2名がジャーナリスたちの前に姿を現し、2008年シーズンに向けての抱負などについて2名の会見が行われた。
■ミハエル・シューマッハに戦いを挑む2名
記者会見の翌日の1月11日、ライコネンとマッサの正ドライバー2名はフィアットが1957年の名車を現代に蘇らせた2007年に発売の新型FIAT500に乗って雪上でのレースを披露しており、またその後2名は今年もフェラーリのマシン開発に関わる元F1連続チャンピオン、ミハエル・シューマッハとも雪上レースを楽しんでいる。
■フェラーリ代表、ステファノ・ドメニカリ氏へのインタビュー
ここでは、フェラーリの新代表となった1月9日のステファノ・ドメニカリへの会見の模様を紹介する。ドメニカリは昨年のスパイ事件や、昨年のマクラーレンのチームメイト間に生じたような問題の発生をフェラーリで防ぐにはどうすれば良いかなど、興味深い質問に回答している。その全文を以下に示す。
●チームの代表に就任した事で、ご自身のチームでの役割はどのように変わりますか。
ものすごく多くの責任が課せられたのは言うまでもありませんが、長年にわたり培ってきた精神力を活かし、明快なアプローチを持って集中的にそれらの仕事に取り組んでいきたいと思っています。
個人的な見解を述べれば、私は以前から何も変わっていませんし、これまでと同じ人間です。新しい任務を遂行していく中では、仕事が新しくなる分、少しばかり以前とは異なる動きも必要となるのは間違いありませんが、新しい責任を果たしていく過程でも私が信条としている部分は以前と何も変わりません。
チームの持つ価値観と原則は何一つ今までと変わりませんし、メンバーの一人一人が持つ人間性ならびに個性がそれらを決定づけるのです。これは私が自信を持っていえるチームの核となる考え方です。
●昨年に起きたようなスパイ事件から逃れるには、今後どうしていけば良いとお考えですか。
チームとフェラーリ社は、各個人の作業内容を含む会社の過去の資産や産業機密保全の強化に、一人一人のノウハウも活用しながら、多岐にわたる観点で取り組んできました。しかしながら、昨年の問題はそれらとは異なるものだった言えるでしょう。
ここでの話の焦点はある人物たちに向けられる事になります。任務と責任を課せられた誰かが組織の中でふざける事があれば、これらの取り組みは機能しなくなります。すなわち、これはわたしたちの価値観に対する裏切り行為の問題です。その日の忠誠心、ならびにこのスポーツに対する尊敬の念の問題ですから、それを防ぐ有効なシステムなど存在しません。
どんな組織に属する誰でも一度任務を与えられれば、その後は誠実さが必要とされますが、これはその人物自身が持つ価値観の問題に直結します。これは1つの課題であり、フェラーリはわたしたちのノウハウを守る機密保全の分野に多くの投資を行ってきましたが、この投資は今後も続けられます。機密上の安全性を失う事だけは確実に避けていきたい問題ですからね。
●2007年シーズンのマクラーレン内で発生したフェルナンド・アロンソとルイス・ハミルトンの関係悪化のような事態を、あなたならどう防ぎますか。
去年に限らず、ここ何年間のチームの好調さの最大の要因は、ドライバーたちの管理を正しく行ってきた事にあります。
ドライバーの精神面で言えば、彼らがそれぞれに最強でありたいと考えるのは当然の事ですし、それは間違った考え方ではありません。ですが、これはチームとしての方針という観点から見ればですが、昨年のフェリペは本当に素晴らしい仕事をしてくれたと言わねばなりません。
彼はチームの一員としてわたしたちの年間タイトル獲得の達成に向けて動きましたが、普通に考えて、あれは1人のドライバーとして簡単にできる事ではありませんでした。
ですから、これがフェラーリの強さの一因であると私は考える訳です。事実、わたしたちは常に内部ルールをドライバーと一緒になってうまく定義しており、この結果、全てのドライバーは優れたプロ意識を発揮してチームメイトと互いに尊重し合い、それぞれのニーズに合った動きをお互いに取る事ができているのです。また、当然そのニーズを先に勝ち取る必要はありますが、その意欲を持つ事はドライバーにとって正しい事ですよ。
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