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2007年10月21日
初日の不安定な天候とは異なり、F1グランプリの最終戦が行われているブラジルのインテルラゴス・サーキットは、2日目の10月20日には朝から良好なドライ・コンディションに恵まれている(初日の内容はこちらの記事を参照の事)。
今年からアスファルトが新しくなった路面は、2日目の午前にはグリップレベルが初日と比べて改善されており、路面に好感触を抱く多くのドライバーはマシンのバランス・セッティングが順調に進んだ事を喜んでいたが、午後には路面温度の変化などから思い通りにグリップを得られないドライバーが続出し、予選では予想外に苦しむチームが多かったようだ。
ここでは、気温が30度を超え、路面温度が60度まで上昇した午後の予選の内容を紹介する。
■予選結果と内容など
以下に、F1グランプリ最終戦、ブラジルGPのQ1からQ3までの各予選の結果を示す。
■第1予選(Q1)
Q1の結果は以下の通り。Q2への進出が決定したのは上位の16名。
1) フェリペ・マッサ BRA フェラーリ 1分12秒303(4周)
2) フェルナンド・アロンソ ESP マクラーレン・メルセデス 1分12秒895(6周)
3) キミ・ライコネン FIN フェラーリ 1分13秒016(4周)
4) ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン・メルセデス 1分13秒033(3周)
5) マーク・ウェバー AUS レッドブル 1分13秒081(6周)
6) ロバート・クビサ POL BMWザウバー 1分13秒085(7周)
7) デビッド・クルサード GBR レッドブル 1分13秒264(6周)
8) ヤルノ・トゥルーリ ITA トヨタ 1分13秒470(7周)
9) ニック・ハイドフェルド GER BMWザウバー 1分13秒472(6周)
10) ジャンカルロ・フィジケラ ITA ルノー 1分13秒482(6周)
11) ビタントニオ・リウッツィ ITA トロ・ロッソ 1分13秒607(6周)
12) ルーベンス・バリチェロ BRA ホンダ 1分13秒661(6周)
13) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ 1分13秒707(6周)
14) ラルフ・シューマッハ GER トヨタ 1分13秒767(6周)
15) セバスチャン・ベッテル GER トロ・ロッソ 1分13秒853(6周)
16) ジェンソン・バトン GBR ホンダ 1分14秒054(6周)
17) ヘイキ・コバライネン FIN ルノー 1分14秒078(7周)
18) 佐藤琢磨 JPN スーパーアグリF1 1分14秒098(6周)
19) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ 1分14秒417(6周)
20) アンソニー・デビッドソン GBR スーパーアグリF1 1分14秒596(6周)
21) エイドリアン・スーティル GER スパイカー 1分15秒217(3周)
22) 山本左近 JPN スパイカー 1分15秒487(6周)
■日本勢3名はQ2進出ならず
今回のQ1では日本勢の3名がそろって敗退し、Q2への進出はならなかった。
■佐藤選手「アウトラップの混雑がタイムアタックに影響」
この段階で9列目18番グリッドが確定したスーパーアグリの佐藤琢磨選手は、「厳しい予選になった。午前のフリー・プラクティスの時から路面状況の変化が激しくて、すごく滑りやすくスライドばかりしていた。予選は1回目の走行は比較的好調でタイムを伸ばす事ができると思っていたが、残念ながらアウトラップの時にコースが混んでいてタイムアタックの時にタイムが伸びず、コンマゼロ何秒かという僅差でQ2進出はならなかった」とコメント。
■中嶋選手「明日はニコのデータを活用して改善に努める」
F1ドライバーとしての初めての予選をQ1で終え、10列目19番グリッドが確定したウィリアムズの中嶋一貴選手は「今日は難しかった。理由は分からないが、予選に入ってから午前のプラクティスの時と車の感触が変わってしまい、おまけに数回ミスを犯した事で残念な予選結果となってしまった」と述べており、明日に向けてはチームメイトのニコ・ロズベルグのセッティング状況などを参照して改善に努めたいとしている。
■山本選手「セッティングの変更がレースで効果を発揮する筈」
また、最後尾となる22番グリッドという結果に終わったスパイカーの山本左近選手は「予選はとにかく残念な結果だった。グリップのレベルが思っていたよりも低く、予選とレースに向けてはセッティングを変更したが、1ラップのアタックではあまり効果を発揮しなかった。その点は非常に残念だが、セッティングの変更内容はレースで本来の効果が出る筈なので、ベストを尽くして今シーズンを終わりたい」と予選後に述べた。
■第2予選(Q2)
Q2の結果は以下の通り。Q3への進出が決定したのは上位の10名。
1) キミ・ライコネン FIN フェラーリ 1分12秒161(3周)
2) ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン・メルセデス 1分12秒296(3周)
3) フェリペ・マッサ BRA フェラーリ 1分12秒374(3周)
4) フェルナンド・アロンソ ESP マクラーレン・メルセデス 1分12秒637(3周)
5) ロバート・クビサ POL BMWザウバー 1分12秒641(3周)
6) マーク・ウェバー AUS レッドブル 1分12秒683(6周)
7) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ 1分12秒752(6周)
8) ヤルノ・トゥルーリ ITA トヨタ 1分12秒832(6周)
9) デビッド・クルサード GBR レッドブル 1分12秒846(6周)
10) ニック・ハイドフェルド GER BMWザウバー 1分12秒888(6周)
11) ルーベンス・バリチェロ BRA ホンダ 1分12秒932(6周)
12) ジャンカルロ・フィジケラ ITA ルノー 1分12秒968(6周)
13) セバスチャン・ベッテル GER トロ・ロッソ 1分13秒058(6周)
14) ビタントニオ・リウッツィ ITA トロ・ロッソ 1分13秒251(6周)
15) ラルフ・シューマッハ GER トヨタ 1分13秒315(6周)
16) ジェンソン・バトン GBR ホンダ 1分13秒469(6周)
■午後の路面コンディションの変化に苦しむドライバー
今回のQ2で敗退したドライバーの多くは、午前のフリー・プラクティスで好調だったマシンのバランスが午後の路面コンディションの変化により悪影響を受けたとしている。
■バリチェロ「午後に車が暴れる挙動を見せるようになった」
11番グリッドが確定した地元ブラジル出身のドライバー、ホンダのルーベンス・バリチェロは「週末を通して好調だったので非常に嬉しいが、最終予選に通過できなかったのは悔しい。午前は車の調子は良かったが、午後に入ってからは挙動がすこし暴れすぎる感じになり、タイムをロスしてしまった」と、地元観衆の前で最終予選に辿り着けなかった事を残念がっている。
■フィジケラ「これが今日の限界」
12番グリッドが確定したルノーのジャンカルロ・フィジケラは「午後は限界ぎりぎりまで攻めたので、今日はこれが最大限の結果だった。路面が滑りやすくてグリップが低い状況だったので完璧な周回をするのは難しかったが、これだけ僅差でQ3進出を逃した事は残念」とコメント。
■前回のレースで好調だったトロ・ロッソの2名
また、中国GPでの好成績から、ブラジルに向けても自信を示していたトロ・ロッソの2名は、今回の予選ではセバスチャン・ベッテルが13番グリッド、リウッツィが14番グリッドを獲得している。ベッテルは「マシンが今回も進化しているのは明らか。午前は難しいセッションだったが、タイヤの空気圧などを調整して最終的にはいい状態になった。明日は両方のタイヤがソフトなので面白いレースになると思う。特にスーパー・ソフトで走る時が楽しみ」とマシンの改善状況にほぼ満足しているが、リウッツィの方は「午後のセッションがすごく良かったので今回の予選結果にはあまり満足できない。Q1は良かったがQ2はアンダーステアに苦しんだ。午後の路面状況の変化がマシンのバランスに影響を与えたんだと思う」とコメントしており、あまり納得ができていない様子だ。
■ラルフ・シューマッハ「ここは追い抜きは難しくない」
F1グランプリからの引退は否定しているものの、少なくとも今回のブラジル戦でトヨタを離れる事が決定しているラルフ・シューマッハは、今回獲得した15番グリッドについて「車の状態は十分悪くない状態だが、自分の思い通りに予選が進まなかった事については残念。あまりいいグリッドは得られなかったが、レースでどこまでやれるか頑張ってみる。ここは追い抜きは難しくないので、レース中に順位を挽回する事は可能だと思う」とコメント。
■バトン「レースウイークを通して不調」
16番グリッドが確定したホンダのジェンソン・バトンは「「レースウイークを通してペースが上がらず、予選もあまり思い通りにはいかなかった。一貫してグリップ不足に悩まされ、それをセッティングで改善する事はできなかった」と、最終戦でもマシンの不調に苦しんでいる事を明かしている。
■第3予選(Q3)
Q3の結果は以下の通り。
1) フェリペ・マッサ BRA フェラーリ 1分11秒931(13周)
2) ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン・メルセデス 1分12秒082(13周)
3) キミ・ライコネン FIN フェラーリ 1分12秒322(13周)
4) フェルナンド・アロンソ ESP マクラーレン・メルセデス 1分12秒356(13周)
5) マーク・ウェバー AUS レッドブル 1分12秒928(12周)
6) ニック・ハイドフェルド GER BMWザウバー 1分13秒081(12周)
7) ロバート・クビサ POL BMWザウバー 1分13秒129(13周)
8) ヤルノ・トゥルーリ ITA トヨタ 1分13秒195(12周)
9) デビッド・クルサード GBR レッドブル 1分13秒272(12周)
10) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ 1分13秒477(12周)
■ポールポジションは地元のマッサが獲得
シーズン最後の予選となるQ3で今期通算6回目のポールポジションを獲得したのは、地元ブラジル出身のフェリペ・マッサだった。フェラーリとしての今期の予選でのポールポジション獲得回数はキミ・ライコネンの3回と合わせて9回目だ。
マッサは今回の最終戦では自身のレース優勝を狙う事よりも、チームメイトのライコネンの年間タイトル獲得を優先し、2番グリッドに抑えた宿敵マクラーレンのルイス・ハミルトン、ならびに4番グリッドのフェルナンド・アロンソを意識しての戦いになるとしている。
■フェラーリ:ジャン・トッド代表「キミの年間優勝を諦めない」
フェラーリ・チームの代表を務めるジャン・トッドは今回の予選を終えて「フェリペはフェラーリに今期9回目のポールポジションをもたらしてくれた。キミの最後のアタックは若干難しい状況にあったが、それでも3番グリッドなら明日のレースに向けて問題ないだろう。今期はライバルとの激しい僅差のバトルが展開された特別な1年になった。私たちの全員がブラジルGPの結果の重要さを理解しているので、最終ラップが終わる直前までキミのドライバーズ・タイトルをかけて全力で戦いたい。フェリペは今シーズンを通しては素晴らしい活躍を見せ、常にフェラーリを熱狂的に応戦してくれるブラジルの地元観衆の前でもポールを獲得してくれた」とコメントし、マクラーレンのハミルトンとの7ポイント差を覆す逆転勝利の可能性を最後まで諦めない姿勢を示している。
■マクラーレン:ロン・デニス代表「予選の戦略は計画通り」
また、2番グリッドを獲得したルイス・ハミルトンが所属するマクラーレンのロン・デニス代表は「フェルナンドとルイスの両方が予選で素晴らしい活躍を見せてくれた。燃料を使い果たせるように最後の追加周回をどちらのドライバーも行ったが、これは計画通りに実にうまくいった。マッサのポールは地元観衆には素晴らしい出来事だが、自分たちはこれからレースに集中してチームのどちらかのドライバーの年間タイトルを狙う」と述べ、ポイントリーダーのハミルトンと、それを4ポイント差で追うランキング2位のアロンソのどちらかの年間タイトルを確実に決めたい構えだ。
■全予選結果(全ドライバーのグリッド順)と上位6名のコメント
以下に、今回のブラジルGP2日目の予選で確定した全グリッド順と、上位3列の6名のドライバーのコメントを示す。
1) フェリペ・マッサ BRA フェラーリ 1分11秒931(13周)
2) ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン・メルセデス 1分12秒082(13周)
3) キミ・ライコネン FIN フェラーリ 1分12秒322(13周)
4) フェルナンド・アロンソ ESP マクラーレン・メルセデス 1分12秒356(13周)
5) マーク・ウェバー AUS レッドブル 1分12秒928(12周)
6) ニック・ハイドフェルド GER BMWザウバー 1分13秒081(12周)
7) ロバート・クビサ POL BMWザウバー 1分13秒129(13周)
8) ヤルノ・トゥルーリ ITA トヨタ 1分13秒195(12周)
9) デビッド・クルサード GBR レッドブル 1分13秒272(12周)
10) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ 1分13秒477(12周)
11) ルーベンス・バリチェロ BRA ホンダ 1分12秒932(6周)
12) ジャンカルロ・フィジケラ ITA ルノー 1分12秒968(6周)
13) セバスチャン・ベッテル GER トロ・ロッソ 1分13秒058(6周)
14) ビタントニオ・リウッツィ ITA トロ・ロッソ 1分13秒251(6周)
15) ラルフ・シューマッハ GER トヨタ 1分13秒315(6周)
16) ジェンソン・バトン GBR ホンダ 1分13秒469(6周)
17) ヘイキ・コバライネン FIN ルノー 1分14秒078(7周)
18) 佐藤琢磨 JPN スーパーアグリF1 1分14秒098(6周)
19) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ 1分14秒417(6周)
20) アンソニー・デビッドソン GBR スーパーアグリF1 1分14秒596(6周)
21) エイドリアン・スーティル GER スパイカー 1分15秒217(3周)
22) 山本左近 JPN スパイカー 1分15秒487(6周)
■1列目
●ポールポジション)フェリペ・マッサ BRA フェラーリ
地元の自分のファンの前でまたポールポジションが取れて本当に嬉しいですね。スタンドで祝福してくれた大勢のファンに愛を感じました。本当に素晴らしい瞬間でした。
車は本当に高いレベルに仕上がりましたし、その性能を最大限に引き出して走る事もできたと思います。
明日は勝ちたいですね。ただ、どんな形であろうと自分のチームがドライバーズ・タイトルを獲得できるように協力する事だけは間違いありません。自分の勝利のためだけに戦えない事を残念に思いますが、いずれにしても今シーズンは素晴らしい1年を過ごす事ができました。
●2番グリッド)ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン
最後のアタックはすごくうまくいったのでポールポジションも可能だと思っていました。
全体を通して見れば今回の予選には満足しています。車の調子は良かったし、とても気分良く走る事ができました。すごく僅差の緊張感のある予選でしたが、最後の燃料消費のための周回がうまくいくように、チームはとてもうまく作業を進めてくれたと思います。
明日に向けてはすごく自信がありますし、リラックスができています。それに年間タイトルを勝ち取るにはどうすればいいかも分かっているつもりです。自分の目標はレースに勝つことではなく、年間タイトルですからね。
■2列目
●3番グリッド)キミ・ライコネン FIN フェラーリ
もちろんポールポジションを取れるにこした事はありませんが、軽量化戦略を今回は取った事を考えれば、3番グリッドは決して悪い成績じゃありませんし、明日のレースに向けてはいいポジションだと思います。
最後のタイムアタックはハミルトンのせいで貴重なタイムを4コーナーでロスしました。それについては非常に残念ですが、人を責めたところで何か変わる訳じゃありませんからね。
自分のタイトルの可能性はレースの最後まで維持できると思っています。
●4番グリッド)フェルナンド・アロンソ ESP マクラーレン
1列目を狙っていたんですがそれはだめでした。
予選の最中に車のセッティング変更を何回か行いましたが、残念ながら思い通りの効果を得る事ができなかったので、今のマシンにはあまり自信を持つ事ができていません。
ただ、中国では長いレースの中で色々な事が起きたので、明日がどうなるかは、実際に戦ってみて様子を見ていくつもりです。
■3列目
●5番グリッド)マーク・ウェバー AUS レッドブル
いい予選でした。明日はタイヤが勝敗を左右するレースになるでしょうね。面白いレースになると思います。どちらの車も好調でしたから、レースウイークを通して高いレベルの戦いをする事ができました。
ここまでのところ特に問題はないので、後は明日にどこまでやれるかだけです。
●6番グリッド)ニック・ハイドフェルド GER BMWザウバー
本当にすごく嬉しいです。最後から2回目のタイムアタックも悪い出来ではありませんでしたが、最後の周回はさらに素晴らしかったですね。
第2予選(Q2)では危うくトップ10から外れるところでしたが、これは6コーナーでほとんどスピンに近いような滑り方をしたのが原因です。
最後の予選に入ってからは、車のセッティングの方向性を間違えたという感触をすぐに抱きました。いつもはうまく仕上がるんですが、今回は例外でしたね。でも、終盤には車の感触がまた良くなったんです。おそらく路面コンディションの変化に助けられたんだと思います。
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