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2008年8月20日
2日間の日程で開催されたブルノ合同テストは、8月19日に最終日を迎えた。2日目は、フィアット・ヤマハ、ドゥカティー、スズキ、カワサキ、グレッシーニ・ホンダの5チームが参加し、レギュラーライダー9名、テストライダー2名の合計11名が走行した。なお、レプソル・ホンダ、JiR、LCR、アリーチェの4チームは初日のみでテストを終了しており、この日のテストには参加していない。
2日目も参加しているチーム内では、カワサキのジョン・ホプキンス、ヤマハtech3のコーリン・エドワーズ、グレッシーニのアレックス・デ・アンジェリスがこの日は走行を行わなかった。カワサキ・レーシング・チームの発表によれば、初日に5周回のみ走行したホプキンスは先週のレースウィーク初日の転倒により胸の筋肉を痛めた事から、その時点で息を吸うのが辛くなっていた様子だ。この事からホプキンス2日目の走行を取りやめ、初日はオリビエ・ジャックがマシンを使用したために走行できなかったアンソニー・ウエストがこの日には走行している。
■ブルノ合同テスト2日目の走行結果
ブルノ合同テスト初日の走行結果、および2日間の総合結果を各ライダーの自己ベスト順に示す。この日の走行条件は気温26度、路面温度38度、湿度50%のドライ・コンディションだった。なお、トップのストーナーは予選タイヤを装着して今回のタイムを記録、ブルノのベストラップレコードである1分56秒191を0.336秒上回った。尚、ストーナーのこの日のレースタイヤでのベストタイムは、予選タイヤでのタイムと0.049秒しか違わない1分55秒904だった。
●2日目の走行結果
1) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分55秒855(40周)
2) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分56秒613(66周)
3) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキMotoGP GSV-R 1分57秒132(63周)
4) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキMotoGP GSV-R 1分57秒483(66周)
5) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分57秒559(65周)
6) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分57秒600(32周)
7) ニッコロ・カネパ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分57秒639(71周)
8) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハTech3 YZR-M1 1分58秒007(60周)
9) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分58秒483(46周)
10) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分58秒927(31周)
11) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分59秒010(65周)
●2日間の総合結果
1) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分55秒855
2) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分56秒613
3) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキMotoGP GSV-R 1分57秒132
4) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分57秒457
5) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキMotoGP GSV-R 1分57秒483
6) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分57秒559
7) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分57秒600
8) ニッコロ・カネパ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分57秒639
9) コーリン・エドワーズ USA ヤマハTech3 YZR-M1 1分57秒756
10) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分57秒826
11) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分57秒859
12) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハTech3 YZR-M1 1分58秒007
13) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分58秒325
14) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分58秒483
15) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダLCR RC212V 1分58秒568
16) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分59秒010
17) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分59秒067
18) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiRチーム・スコット RC212V 1分59秒172
19) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分00秒414
20) 岡田忠之 JPN レプソル・ホンダ・チーム RC212V 2分00秒735
■各チームのテスト内容、新マシンの調整にはさらなる時間の必要な中野選手
合同テスト2日目の内容を発表している各チームの状況は以下の通り。
ドゥカティーのケーシー・ストーナーはテスト初日に仕上げたマシンのセッティングに大満足しており、レースタイヤを使った連続走行では1分56秒前半のラップタイムを維持していた。また、今回総合トップタイムを記録したブリヂストンの新型予選タイヤでは、それほど限界まで攻め込むような走りはしていないとストーナーはコメントしている。来期のカワサキへの移籍を表明したチームメイトのマルコ・メランドリは、2日目に入り初日以上のセッティング改善が進まなかった事から正午にはテストを切り上げたが、初日に行ったセッティング作業には満足できた様子だ。
フィアット・ヤマハ(BS)のバレンティーノ・ロッシは、初日に引き続き新しい電子制御系のテストと一般的なマシンのセッティング改善、ならびにブリヂストンタイヤの新型テストを実施した。今回の電子制御系の調整を通してロッシは加速時のマシン性能に一部改善が得られた事をコメントしている。新しいブリヂストンタイヤの感想としては、コーナリング時の機敏性と安定性が向上したとの印象を持った様子だ。
初日はミシュランのフロントタイヤのテストを実施していたフィアット・ヤマハ(MI)のホルヘ・ロレンソは、2日目はリアタイヤのテストに集中している。先週のレースウイーク中に比べれば全体的に良い兆候が得られたとロレンソはテストを終えてコメントしており、チーム監督のダニエーレ・ロマノーリは2日目に試したタイヤにはいくつかの面で進歩が見られたので、次戦のミサノにはそのタイヤを提供して欲しいとミシュランに対して要望を述べている。
カワサキ・レーシング・チームはこの2日目の内容をまとめて発表しているが、初日のホプキンスは先にも記した通り胸の痛みのために実質的なテストはできていない。初日のオリビエ・ジャックはマシンのバランス改善と安定性の向上を目的としたセッティングの調整から着手し、チェコGPから導入した改良型エンジンと新型シャシーの評価を実施、2日目は新型のスイングアームと新型の電子制御系パーツを試している。また、2日目からテストでの走行を開始したウエストは、以前にはうまく走れなかった他のライダーが使用しているブリヂストンのフロントタイヤを装着し、それに合わせたマシンのセッティングを試み、最終的にはライディング・スタイルの改善も含めて良好な結果を得る事ができたという。
ホンダ勢の中では唯一の2日間連続のテストとなったサンカルロ・ホンダ・グレッシーニの中野真矢選手は、初日に引き続きワークスマシンのセッティングの微調整を継続し、さらなる進歩を得る事はできた様子だが、バイクへの理解はまだ完全には深まっていないとコメントしており、自身のライディング・スタイルを新マシンに合わせるための時間が不足している事をテスト後に述べている。中野選手はこの2日目には2種類の新型タイヤをブリヂストンのエンジニアと共にテストしており、全体的に今回のブルノ合同テストの内容には満足できた様子だ。
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