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2008年SBKカタール開幕戦、レース1とレース2の内容と結果 |
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2008年2月24日
SBK(世界スーパーバイク選手権)が、カタールのロサイル国際サーキットにて2月23日に2008年シーズンの開幕ラウンドを迎えている。ここでは、ドーハ近郊の砂漠に位置するロサイル国際サーキットにて行われた晴天のSBK開幕ラウンドにおけるレース1とレース2の結果を紹介する。
■SBKカタール開幕戦レース1
2008年度SBKの開幕レースとなったこの日のレース1は、気温24度、路面温度37度、湿度30%のドライ・コンディションの中で行われた。
■好調なスタートダッシュを見せるスズキのノイキルヒナー
レース開始と同時に勢いよく1コーナーに先頭で飛び込んだのは、1列目4番グリッドからの良好なスタートダッシュを見せたチーム・アルスター・スズキのマックス・ノイキルヒナーだった。
■先頭のスズキを追うヤマハの芳賀選手とコーサー
ノイキルヒナーの背後にはポールポジションからスタートしたヤマハ・イタリアのトロイ・コーサーと2列目6番グリッドからスタートした芳賀紀行選手のヤマハ勢2名、その背後にやや遅れて1列目3番グリッドからスタートしたステリルガルダ・ゴーイレブンのマックス・ビアッジが続く。
■ドゥカティー・サテライトの2名も好調、それを追うワークスのベイリス
4番手を行くビアッジからさらに間隔を空けて、2番グリッドからスタートした同じくステリルガルダ・ゴーイレブンのルーベン・ザウス、3列目11番グリッドからスタートしたチーム・スズキ・アルスターのフォンシ・ニエト、2列目8番グリッドからスタートしたチーム・スズキ・アルスターの加賀山就臣選手、2列目9番グリッドからスタートしたハンスプリー・テンケイト・ホンダのカルロス・チェカが続いた。
■芳賀選手の背後に迫るビアッジ
レースの序盤は完全にノイキルヒナーがリードを奪い、2番手のコーサーと3番手の芳賀選手のヤマハ・イタリア・コンビがそれを追う中、徐々にその背後にはビアッジが迫る。
■玉田選手はマシン・トラブル、ビアッジにミスを誘発されて転倒した芳賀選手は25番手に
カワサキの玉田選手がマシンにテクニカル・トラブルを抱えてレースをリタイアした6ラップ目、ビアッジのややクロス気味の強引な追い抜きにフロントタイヤをぶつけられた事に怒って左手のこぶしをあげた芳賀選手は、続く右コーナーで左手をあげたままマシンのバランスを崩すミスを犯しアスファルト上に転倒。辛うじて怪我は免れた芳賀選手は後続のマシンを避けるべくグラベルにマシンを待避、その後すぐにコースに復帰するが芳賀選手の順位は一気に25番手まで後退してしまう。
この件について芳賀選手は「レースの序盤は良かったのに今日はついてない。ビアッジにフロントタイヤをひっかけられたが、その後に何とも言えないミスを犯してしまった」とコメント。また、転倒時に手首を痛めてその後レース2に影響が出た事も芳賀選手は明かしている。
■砂煙を巻き上げるミスを数回繰り返すベイリス
その後は逃げ続ける先頭のノイキルヒナーにコーサー、ビアッジ、ベイリスの3台が追いついてトップ集団はこの4台となり、レース中盤の8ラップ目には激しい追い上げを見せたベイリスが3台を交わして一時的にトップに立つが、直後にベイリスはコーナーを曲がりきれずにコース脇の砂地にはみ出し犯し再び4番手に後退。
同じ頃、タイヤの続かなくなったコーサーを交わして2番手に浮上したビアッジは、そのまま先頭のノイキルヒナーの背後からプレッシャーを与え続けて12ラップ目の開始までにトップに躍り出る。
■体調の悪いノイキルヒナーがペースダウン
タイヤが滑り出した事と、レースウイーク中にこじらせた風邪の影響で気分が悪くなりペースの続かなくなったノイキルヒナーが後退を開始する中、ベイリスはノイキルヒナーとコーサーの2台を順番に交わして2番手に浮上、先頭に立ったビアッジの背後にゆっくりと迫る。
■開幕優勝争いはビアッジとベイリスの2台に
レース残り4周の14ラップ目、トップ争いは先頭のビアッジとそれを追うベイリスに絞られ、その背後にはフロントタイヤのグリップが下がり攻めの走りができない3番手のコーサー、さらに遅れて4番手にはザウス、5番手に後退したノイキルヒナーの背後の6番手には今回のレース1がSBKデビュー戦となるハンスプリー・テンケイト・ホンダのカルロス・チェカが迫った。
■命運を分けた最終コーナー
最終ラップの18ラップ目、ビアッジがベイリスを抑えて開幕勝利を飾るかえに見えた最終コーナー直前、ベイリスが鋭い加速を見せてビアッジの前に出て最終コーナーに向かい、慌てたビアッジはベイリスに並びかけて先に最終コーナーの進入を奪うが、やや大回りになり加速が伸びない。
■2008年度第1レースの勝利者はベイリス
先頭に立ったドゥカティーのトロイ・ベイリスは加速しないステリルガルダのマックス・ビアッジを振り返り確認しながら最終ストレートに向かい、必死に追い上げるビアッジを0.396秒差に抑えてSBK2008年シーズン最初のチェッカーを受けた。ビアッジは惜しくも2位、そこから1.5秒遅れての3位表彰台はトロイ・コーサーが獲得した。
■ベイリス「先頭集団に追いつくまでに時間がかかった」
後半に怒濤の追い上げを見せて2008年度SBK最初の勝利者になったベイリスは以下の通りコメントしている。
「チームにとっては期待通りの素晴らしいシーズンの幕開けになりましたね!」とベイリス。
「今回の結果には全体を通してものすごく満足です。スタートがあまりうまくいかずに先頭集団に追いつくまでに時間がかかってしまい、最後の8周はビアッジとのちょっとしたバトルになりましたが、小さなミスを何回か犯したにもかかわらずすごく快適に走れて優勝できました」
■ビアッジ「フロントタイヤが終わってしまった」
チェッカー目前でベイリスに開幕勝利を奪われたビアッジは、悔しい心中を以下の通り語った。
「素晴らしいレースでした。最終ラップだけは望み通りとはいきませんでしたけどね。最終コーナーでベイリスを交わそうとしたんですがフロントタイヤが終わっていてだめでした」とビアッジ。
■日本勢のレース1の結果
日本勢のレース1の結果は、レース後半はチャタリングに悩まされ続けたというチーム・スズキ・アルスターの加賀山就職選手が7位、6ラップ目に転倒したヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手はその後に追い上げを見せてポイント圏内の14位、YZFヤマハの中冨伸一選手は21位、SBKデビュー戦をハンスプリー・テンケイト・ホンダの清成龍一選手は22位、アルト・エボリューション・ホンダの青山周平選手は完走者最後尾の25位で終え、6ラップ目にピットインした玉田選手はレース1をリタイアする結果となった。
●SBKカタール開幕戦レース1の結果
以下にSBKラウンド1、カタール開幕戦レース1の全結果を示す。
1) トロイ・ベイリス AUS ドゥカティ・ゼロックス・チーム Ducati 1098 F08
2) マックス・ビアッジ ITA ステリルガルダ・ゴー・イレブン Ducati 1098 RS 08 +0秒396
3) トロイ・コーサー AUS ヤマハ・モーター・イタリア WSB Yamaha YZF R1 +1秒878
4) ルーベン・ザウス ESP ステリルガルダ・ゴー・イレブン Ducati 1098 RS 08 +4秒487
5) マックス・ノイキルヒナー GER チーム・アルスター・スズキ Suzuki GSX-R 1000 K8 +7秒505
6) カルロス・チェカ ESP ハンスプリー・テンケイト・ホンダ Honda CBR 1000RR +9秒639
7) フォンシ・ニエト ESP チーム・スズキ・アルスター Suzuki GSX-R 1000 K8 +9秒725
8) 加賀山就臣 JPN チーム・スズキ・アルスター Suzuki GSX-R 1000 K8 +19秒537
9) ミッシェル・ファブリツィオ ITA ドゥカティ・ゼロックス・チーム Ducati 1098 F08 +23秒156
10) ヤコブ・シュムルツ CZE Guandalini Racing by Grifo's Ducati 1098 F08 +24秒429
11) ロベルト・ロルフォ ITA ハンスプリー・ホンダ・アルセア Honda CBR 1000RR +27秒595
12) ケナン・ソフォグル TUR ハンスプリー・テンケイト・ホンダJr Honda CBR 1000RR +27秒979
13) グレゴリオ・ラビラ ESP ベント-アクシア VK ホンダ Honda CBR 1000RR +28秒237
14) 芳賀紀行 JPN ヤマハ・モーター・イタリア WSB Yamaha YZF R1 +30秒205
15) レジス・ラコーニ FRA カワサキ・PSG-1・コルセ Kawasaki ZX 10R +31秒882
16) ロレンツォ・ランチ ITA R.G.チーム Ducati 1098 RS 08 +32秒067
17) カール・マガリッジ AUS D.F レーシング Honda CBR 1000RR +40秒745
18) アイルトン・バドビーニ ITA チーム・ペデルチーニ Kawasaki ZX 10R +41秒280
19) ビットリオ・イアンヌッツォ ITA チーム・ペデルチーニ Kawasaki ZX 10R +41秒333
20) セバスチャン・ジンバート FRA ヤマハ・フランス Ipone GMT 94 Yamaha YZF R1 +41秒743
21) 中冨伸一 JPN YZFヤマハ Yamaha YZF R1 +43秒183
22) 清成龍一 JPN ハンスプリー・テンケイト・ホンダ Honda CBR 1000RR +43秒569
23) ダビデ・チェカ ESP ヤマハ・フランス Ipone GMT 94 Yamaha YZF R1 +43秒892
24) ラッセル・ホランド AUS D.F レーシング Honda CBR 1000RR +50秒380
25) 青山周平 JPN アルト・エボルーション・ホンダ・スーパーバイク Honda CBR 1000RR +1分12秒884
DNF) ルカ・モレリ ITA アルト・エボルーション・ホンダ・スーパーバイク Honda CBR 1000RR (12周走行)
DNF) ロイック・ナポレオン FRA グリリーニPBRチーム Yamaha YZF R1 (12周走行)
DNF) 玉田誠 JPN カワサキ・PSG-1・コルセ Kawasaki ZX 10R (5周走行)
■SBKカタール開幕戦レース2
晴天のロサイル国際サーキットはその後も気象条件に大きな変化はなく、気温は22度、路面温度は36度、湿度は30%の中でのレース2開始となった。なお、公式発表では路面温度がレース1の時と大差はない事になっているが、実際はレース中の大半は5度ほど低かった様子であり、多くのライダーがレース1の時よりもよりも柔らかめのタイヤを選択している。
■鋭い1コーナー進入でホールショットを奪うコーサー、続く芳賀選手
レース2開始直後の1コーナーでホールショットを奪ったのはヤマハ・イタリアのトロイ・コーサー、他のバイクをすり抜けるようにしてその2番手に続いたのはコーサーのチームメイトの芳賀紀行選手だった。
■ヤマハ勢の背後にストレート加速が好調のニエト、それを追うステリルガルダ勢
群衆から抜け出すヤマハの2名の真後ろには、昨年はカワサキで目立った活躍を見せたチーム・スズキ・アルスター1年目のフォンシ・ニエト、ステルリガルダのマックス・ビアッジとそのチームメイトのルーベン・ザウスが迫り、その上位5名からやや遅れての6番手にはレース1を制したドゥカティーのトロイ・ベイリス、7番手にはSBK参戦1年目となる昨年度のWSSチャンピオン、ハンスプリー・テンケイト・ホンダのケナン・ソフォグルが続いた。
■追い抜きに入った加賀山選手がカルロス・チェカと接触し転倒
このオープニング・ラップ中、8番手付近からの追い抜きにかかった加賀山就臣選手はカルロス・チェカと接触、激しく転倒してグラベルに飛び込んでいる。ここで逃げ場を失ったチェカはグラベル内に一度逃げた事から青山周平選手の背後となる26番手付近に順位を落としたもののレースには復帰したが、転倒した加賀山選手は左の鎖骨を強打しレースをリタイアした。
■加賀山選手は左鎖骨に骨折の疑い
この後すぐに加賀山選手はサーキット内の医療センターに運ばれて鎖骨のレントゲン検査を受けており、骨折の可能性が浮上した事からそのまま近くの病院に搬送されてさらなる精密検査を受けている。
■先頭はヤマハの2台、背後で4番手をがむしゃらに奪い合うビアッジとザウス
レース2の序盤はコーサーと芳賀選手のヤマハ・イタリア・コンビがワンツー・フォーメーションのまま快走、やや間隔を空けて3番手のニエト、さらに少し遅れて4番手を争うステルリガルダ・コンビのビアッジとザウスの計5台がトップ集団を形成した。
ヤマハの2台が落ち着いたトップ争いを見せる中、ステルリガルダの2名は敵同士のように激しく4番手のポジションをコーナーの度に奪い合う。
■タイヤ交換と序盤のブレーキングミスが災いしたノイキルヒナー
ちなみにレース1では大半の周回をトップで過ごすという活躍を見せたチーム・アルスター・スズキのマックス・ノイキルヒナーは、レース2に向けてタイヤをより柔らかめのものに変更した事が災いしてグリップが得られなくなり、同時に序盤のブレーキング・ミスなどもたたってこのレースでは10番手付近を走行、トップ集団との距離を縮める事ができない。ノイキルヒナーの背後には玉田選手とヤコブ・シュムルツがつける。
■ヤマハの2台が中盤に揃って後退を開始
レース中盤の9ラップ目に入ると突如リアに大きなチャタリングが発生してペースの続かなくなった芳賀選手がニエトとビアッジに交わされて4番手に後退、そこから立て続けにザウス、ベイリス、ドゥカティー・ワークス1年目のファブリツィオにも交わされて7番手まで後退してしまう。また、ここでトップに立っていたコーサーもペースを極端に落として10ラップ目にはビアッジ、ザウス、ニエト、ベイリス、の4台に交わされ5番手に後退。
■落胆するコーサー「昨日はスーパーポールを決めたのに」
コーサーはこのペースダウンについて「レース2ではタイヤを他のライダーと同じものに変更したが、良くなるどころか状況が悪化し、グリップが全然なくなりレースどころではなくなってしまった。昨日はスーパーポールを取ったのに本当にがっかりだが、今言えるのは自分たちには間違いなく速さはあるという事くらい」と述べ、その落胆ぶりを示した。
■先頭のビアッジを追うベイリス、その2台を交わしたザウスがトップに浮上
ビアッジとザウスのステリルガルダ勢がワンツー体制を形成した11ラップ目、ベイリスはこれに割り込む形でザウスを交わして2番手に浮上し先頭のビアッジの背後を追うが、13ラップ目にはザウスがベイリスとビアッジを順に交わしてトップに浮上。
■タイヤが完全に終わった中冨選手がピットイン
ここで先頭のザウスと2番手のビアッジが再びステリルガルダのワンツー体制を形成し、ベイリスは3番手に立ったニエトにも交わされて4番手にポジションを下げた。同じ頃、YZFヤマハの中冨選手はピットインしてレース続行を断念。
■玉田選手が12番手に浮上、ニエトはビアッジを交わして2番手に
23番グリッドからスタートしたカワサキPSG-1の玉田誠選手が12番手に浮上した残り5周の14ラップ目、ここでニエトはビアッジを交わして2番手にポジションを上げる。この時点の上位の順位は先頭がザウス、2番手がニエト、3番手がビアッジ、4番手がベイリス、5番手がファブリツィオ。
コーサーはファブリツィオから大きく離されて6番手、昨年度を限りにドゥカティー・ワークスを離れる事になったR.G.チームのロレンツォ・ランチが7番手、後退を続ける芳賀選手は8番手を走行。
■ニエトがザウスを交わしてトップに
後退する芳賀選手の背後に玉田選手が迫った残り3周、ザウスを交わしたニエトはついにトップに立ち、残り2周の17ラップ目に入ると後続2番手のザウスと3番手のビアッジを好調に引き離していく。ビアッジの後方では4番手を行くベイリスの背後にファブリツィオが迫るが、ベイリスはすぐさまこれを抑えてポジションをキープ。
■ニエトがSBK初勝利、ザウスは2位を獲得しスペイン人のワンツー表彰台
ザウスは最終ラップで激しい追い上げを見せ、先頭のニエトとの距離を一気に縮めて最終コーナーではニエトの真後ろに迫るが、レース2で最初のチェッカーを受けたのは最後のストレートで伸びの良い加速を見せたチーム・スズキ・アルスターのフォンシ・ニエトだった。ステリルガルダ・ゴーイレブンのルーベン・ザウスは0.3秒差の2位、そこから1秒遅れたビアッジは2戦連続の表彰台となる3位を獲得した。
レース1で開幕勝利を飾ったドゥカティーのトロイ・ベイリスは表彰台を逃し4位、そのチームメイトのミッシェル・ファブリツィオは5位を獲得。
■ニエト「レースでの勝利は1993年以来!」
今回のレース2でSBK移籍後初の勝利を手にしたフォンシ・ニエトは、その喜びを以下の通り表現している。
「SBKでは初めての勝利です。以前にレースで優勝したのは1993年のドニントンですから、あれからもう随分時間がたちました。今日のスズキ・アルスターのバイクがドゥカティーより速かったのは事実ですが、今回は何よりも自分との戦いでしたね」とニエト。
「両方のレースを通して同じセッティングのバイクで走りましたが、レース1ではトラクション・コントロールの調整があまりコースに合ってなくてレース2の時よりも乗りにくかったんです。2つのレースはたった5度の温度差でしたが、それだけでバイクの感触は随分違いました」
「レース2ではできる限りバイクとタイヤを節約するよう心がけましたが、それが強い走りと勝利につながったんでしょうね。スズキとチームのメンバー、ならびに過去数年間の自分を信じて応援し続けてくれた人たちに心から感謝の気持ちを伝えたいと思います」
「自分が勝てるなんて思っていなかった人が多いのは知っていますが、今日はその考えが間違いだと証明する事ができましたね!」
■ザウス「最後は2番手キープに頭を切り換えた」
レース2を惜しくも2位で終えたザウスは、最後は無理をしない事に決めたと語る。
「スタートはだめでしたが、先頭集団のところまでポジションを挽回し、最後は優勝争いでした。随所にすごいバトルのあるものすごいレースでした」とザウス。
「最終ラップはタイヤにものすごく厳しい戦いになり、ストレートで自分より速いニエトを食い止める事はできませんでした。最終コーナーで抜き返す事は可能だったかもしれませんが、リスクが大きかったので2位のポジションをキープする方を選びました。シーズンの開幕はいい結果で終わりたいですからね」
■日本勢のレース2の結果とコメント
日本勢では、レース2においてポイントを獲得したのは低いグリッド位置から12位まで追い上げたカワサキPSG-1の玉田誠選手と13位に終わったヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手の2名。
■玉田選手「レースウイークの最後をいい形で終える事ができた」
カワサキの新型マシンの調子がまだ完全とは言えなかった苦しい今回のレースウイークをレース2の好調な走りで締めくくった玉田選手は「レースウイークの最後をいい形で終える事はできたと思う。初日と2日目、それに今日の午前中もひどいチャタリングに苦しんだが、レースに入ってからはだいぶ収まった。レース1ではテクニカル・トラブルに見舞われたがレース2ではスタートもうまくいったし、平均ラップタイムもそれほど悪くなかった」と、今後に期待を示すコメントを残した。ちなみにチームはレースウイーク2日目の時点で「マシンが本格的に性能を発揮するのは次週のフィリップ・アイランドから」と述べていた。
■芳賀選手「今は手首が痛む」
レース2を終えた芳賀選手は「トロイ(コーサー)の後ろについて温存策をとっていたら9ラップ目にリアがチャタリングを抱えてしまい、次の周回ではさらにそれがひどくなった。その後はマシンが暴れてグリップもなくなり、攻め込んで走る事ができなくなった。今は手首が痛むので、次回のレースまでにしっかり静養したい」とコメント。
■清成選手「今回はライダー(自分)の遅さも敗因」
レース2を19位で終えたハンスプリー・テンケイト・ホンダの清成龍一選手は「いいセッティングを見つけるのが難しく、タイヤにも若干問題を抱えていたが、ライダーの自分が十分に速くないのも原因。カルロスやチェカとは異なるセッティグで走ったが、全ての分野において小さな問題が発生しており、速く走れなかった」と、今後に向けての課題をコメントしている。
■青山選手「250ccと異なる点が多く経験が必要」
また、レース2を22位で終えたアルト・エボリューション・ホンダの青山周平選手は「このクラスはすごく難しい。バイクは250ccと比べて挙動が大きく暴れやすい上に速度も速い。マシンのセッティングもタイヤ選びも難しいので、それらの理解を深めるためにもっと経験を積まなければならない」と、昨年まで乗っていた2ストローク250ccマシンからSBKマシンへの乗り換えの難しさをその感想としてコメントした。
■中冨選手「カタールは変なサーキット」
なお、オープニングラップ中に転倒して負傷したチーム・スズキ・アルスターの加賀山就職選手と、同じくオープニングラップ中の目前の事故を避けてグラベルに逃げたYZFヤマハの中冨真一選手の2名は、レース2を揃ってリタイアに終わっている。レース2ではタイヤが終わってしまい自らピットインした中冨選手は「レース1はタイヤ選択がうまくいかず、どうしようもなかった。レース2ではスタートは良かったがコースから外れざるを得ない状況となり残念だった。いずれにしてもここは変わったサーキットだと思う」と述べた。
●SBKカタール開幕戦レース2の結果
以下にSBKラウンド1、カタール開幕戦レース2の全結果を示す。
1) フォンシ・ニエト ESP チーム・スズキ・アルスター Suzuki GSX-R 1000 K8
2) ルーベン・ザウス ESP ステリルガルダ・ゴー・イレブン Ducati 1098 RS 08 +0秒301
3) マックス・ビアッジ ITA ステリルガルダ・ゴー・イレブン Ducati 1098 RS 08 +1秒321
4) トロイ・ベイリス AUS ドゥカティ・ゼロックス・チーム Ducati 1098 F08 +6秒452
5) ミッシェル・ファブリツィオ ITA ドゥカティ・ゼロックス・チーム Ducati 1098 F08 +7秒627
6) ロレンツォ・ランチ ITA R.G.チーム Ducati 1098 RS 08 +9秒117
7) トロイ・コーサー AUS ヤマハ・モーター・イタリア WSB Yamaha YZF R1 +10秒806
8) マックス・ノイキルヒナー GER チーム・アルスター・スズキ Suzuki GSX-R 1000 K8 +11秒661
9) ヤコブ・シュムルツ CZE Guandalini Racing by Grifo's Ducati 1098 F08 +13秒269
10) ケナン・ソフォグル TUR ハンスプリー・テンケイト・ホンダJr Honda CBR 1000RR +14秒563
11) カルロス・チェカ ESP ハンスプリー・テンケイト・ホンダ Honda CBR 1000RR +15秒953
12) 玉田誠 JPN カワサキ・PSG-1・コルセ Kawasaki ZX 10R +16秒748
13) 芳賀紀行 JPN ヤマハ・モーター・イタリア WSB Yamaha YZF R1 +18秒356
14) グレゴリオ・ラビラ ESP ベント-アクシア VK ホンダ Honda CBR 1000RR +26秒311
15) ロベルト・ロルフォ ITA ハンスプリー・ホンダ・アルセア Honda CBR 1000RR +26秒560
16) レジス・ラコーニ FRA カワサキ・PSG-1・コルセ Kawasaki ZX 10R +26秒683
17) アイルトン・バドビーニ ITA チーム・ペデルチーニ Kawasaki ZX 10R +26秒821
18) セバスチャン・ジンバート FRA ヤマハ・フランス Ipone GMT 94 Yamaha YZF R1 +28秒650
19) 清成龍一 JPN ハンスプリー・テンケイト・ホンダ Honda CBR 1000RR +33秒150
20) カール・マガリッジ AUS D.F レーシング Honda CBR 1000RR +36秒656
21) ラッセル・ホランド AUS D.F レーシング Honda CBR 1000RR +42秒633
22) 青山周平 JPN アルト・エボルーション・ホンダ・スーパーバイク Honda CBR 1000RR +55秒352
DNF) ビットリオ・イアンヌッツォ ITA チーム・ペデルチーニ Kawasaki ZX 10R (17周走行)
DNF) 中冨伸一 JPN YZFヤマハ Yamaha YZF R1 (11周走行)
DNF) ロイック・ナポレオン FRA グリリーニPBRチーム Yamaha YZF R1 (9周走行)
DNF) ダビデ・チェカ ESP ヤマハ・フランス Ipone GMT 94 Yamaha YZF R1 (8周走行)
DNF) ルカ・モレリ ITA アルト・エボルーション・ホンダ・スーパーバイク Honda CBR 1000RR (4周走行)
DNF) 加賀山就臣 JPN チーム・スズキ・アルスター Suzuki GSX-R 1000 K8 (0周走行)
■SBK第1ラウンド終了時点のポイントランキング
SBK開幕ラウンドとなったカタールでの2レース終了時点のポイントランキングを以下に示す。
1) トロイ・ベイリス [AUS] [ドゥカティ] 38
2) マックス・ビアッジ [ITA] [ドゥカティ] 36
3) フォンシ・ニエト [ESP] [スズキ] 34
4) ルーベン・ザウス [ESP] [ドゥカティ] 33
5) トロイ・コーサー [AUS] [ヤマハ] 25
6) マックス・ノイキルヒナー [GER] [スズキ] 19
7) ミッシェル・ファブリツィオ [ITA] [ドゥカティ] 18
8) カルロス・チェカ [ESP] [ホンダ] 15
9) ヤコブ・シュムルツ [CZE] [ドゥカティ] 13
10) ロレンツォ・ランチ [ITA] [ドゥカティ] 10
11) ケナン・ソフォグル [TUR] [ホンダ] 10
12) 加賀山就臣 [JPN] [スズキ] 8
13) ロベルト・ロルフォ [ITA] [ホンダ] 6
14) 芳賀紀行 [JPN] [ヤマハ] 5
15) グレゴリオ・ラビラ [ESP] [ホンダ] 5
16) 玉田誠 [JPN] [カワサキ] 4
17) レジス・ラコーニ [FRA] [カワサキ] 1
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