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2006年12月15日
今年の2006年シーズンは、MotoGP990ccクラスで始めてバレンティーノ・ロッシ以外の王者が誕生するという、波乱と白熱の1年だった。
■800cc化を目前にロッシとヘイデンが抱える憂うつ
間近に迫った来年の2007年より、MotoGP最高峰クラスのバイクの排気量は990ccから800ccに引き下げられるが、これに関して、990cc最後の年にロッシからチャンピオンの座を奪い取る事に成功したニッキー・ヘイデンと、800ccクラスの初年度に再びチャンピオンに返り咲くつもりのバレンティーノ・ロッシは、揃って同じ懸念を抱いているという。
その懸念とは、ダニ・ペドロサと800ccバイクの相性の良さだ。ヘイデンとロッシの両名は、来シーズンのタイトル争いのライバルとしてお互いの名前を挙げる事なく、揃ってダニ・ペドロサを「最強の敵」として警戒している。
■990ccの大柄なマシンでも速かったペドロサ
体重が47kgしかなく、身長が小柄なペドロサは、彼にとってはポジション設定に困る程の大きなバイクのRC211V(990ccマシン)を初年度とは思えない走りでスムーズに乗りこなし、ルーキー・イヤーの最後の2戦目までタイトル争いに絡むという、天才ライダーと呼ばれるに相応しい適応能力をまるで当然の如く世界に見せつけた。
小排気量クラスで無敵を誇ったその走りにとって、唯一の足かせとなるのが最高峰クラスにおける大排気量マシンのサイズや重量だと心配された時期もある。実際に2006年初頭のプレシーズン中には、本人も「問題は体力がレースで持つか」と述べ、体力的に長時間走行が厳しいかもしれないという印象をコメントしていた。
しかしながら、ペドロサは最高峰クラスのデビューイヤーとなった2006年シーズン開幕戦のヘレスではいきなり2位表彰台を獲得し、4戦目の中国では早々と最高峰クラスでの初優勝を決めている。最終的には、初年度を通して2回の優勝を含む8回の表彰台を獲得するというルーキーらしからぬ活躍をその小さな身体で披露し、強豪ひしめくMotoGPクラスのレギュラー・ライダーたちを圧倒して1年を終えている。
■800ccマシンはさらにペドロサを速くするか?
これでもし、ペドロサの体格に合うバイクが与えられたらどうなるだろうか。
ヘイデンやロッシが初年度以上のペドロサの活躍を心配するのも無理はない。250ccクラスで無敵を誇ったペドロサに、来年は250ccマシンにサイズや乗り味が近く、コーナーの攻め方も比較的それに近いと噂される800ccマシンが手渡されるのだ。しかも990ccマシンと重量がほぼ変わらない車体に190cc減の排気量ではストレート加速が非力となり、間違いなく体重の軽さが優位性を生む事だろう。
事実、先月末にヘレスで行われた今年最後のMotoGPクラス合同テストでは、ダニ・ペドロサはホンダの800ccマシンであるRC212Vを駆り、ヤマハの800ccマシンでタイムアタックをしたバレンティーノ・ロッシを2番手に抑え、トップタイムを記録して1年を締めくくっている。
■ロッシ「ダニは最強の敵になる」
英国のユーロスポーツ(www.eurosport.co.uk)は、12月6日にバレンティーノ・ロッシのコメントを掲載している。以下にその内容を引用する。
「来年はペドロサがすごく強くなりますよ。彼はすでに多くの経験を積みましたからね。」とロッシ。
「彼が最強のライバルになるでしょうね。ただ、これはもう以前から分かり切っていた事です。今度のバイクは彼のサイズにとても合っていますし、彼を叩くのは至難の業でしょう。来年の彼の存在は危険(he will be dangerous)ですよ。」
■ヘイデン「自分も体重を落とさないとダニは叩けない」
また、晴れて今シーズンの年間チャンピオンとなったニッキー・ヘイデンも、来年最も警戒しなければならないライダーの名前として、チームメイトのダニ・ペドロサの名前を上げている。英国のロードレース・サイトであるMCN(www.motorcyclenews.com)が、12月12日にヘイデンのコメントを以下の通り紹介している。
「彼は最初っから速かったんですよ。」とヘイデン。
「990ccであれだけ強いんですから、当然さらに強くなるでしょうね。彼の体格が有利に働くのは間違いありませんし、得意の250ccに近いマシンですから楽に乗りこなす筈です。」
「僕も体重を2〜3キロは落とさなきゃダメだと思います。バイクが小さくてもそれほど苦労はしないと思いますが、少なくともダニを叩くのは楽じゃないですね。」
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