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2006年12月5日
来年の2007年よりMotoGPに初参戦する事が予定されているイルモアが、チーム監督の就任を12月4日に公式に発表した。イルモアにとって初のMotoGPチームを指揮するのは、彼らのF1時代の母体であるコスワースのチーフ・エンジニアを今期まで務めたマイク・ジェーンズだ。
■マクウイリアムスの怪我により延期されたチーム監督の公表
実はマイク・ジェーンズは、先週のヘレスでのMotoGP合同テストの時から、既にイルモアのピットボックスで活動を開始していた。しかしながら、テスト3日目の木曜日に同チームのライダーを務めていたジェレミー・マクウイリアムスが高速走行中に転倒して大怪我を負った事から、マイク・ジェーンズの就任に関する発表は、マクウイリアムスの手術が終わる12月4日まで延期されたようだ。
■マクウイリアムスの状況
11月30日のヘレス合同テスト3日目の転倒で、左大腿骨と右鎖骨を骨折し、左指に重傷を負ったジェレミー・マクウイリアムスの手術は、昨日の12月4日に無事に終了し、マクウイリアムスは今週中には自宅に戻る事ができるという。
また、イギリスのロードレース・サイトであるMCNは、手術後のジェレミー・マクウイリアムスのコメントを掲載しており、「一刻も早くリハビリを開始して回復に専念したい」と述べているようだ。
■ライダーの発表は今週末
今回のマイク・ジェーンズのチーム監督就任の発表と同時にイルモアは、同チームのライダー・ラインナップの発表を、今週末までに行う事を表明している。
■2輪と4輪の壁?かつてのヤマハの悔しい経験
チームがこれまでF1のエンジン開発を行っていた関係上、F1での経験者が次々と集まるイルモアだが、MotoGPとF1の間をチームや人員が行き来するのは特に珍しい事ではない。
1960年代にホンダは、2輪グランプリの制覇の後でその技術者を含むメンバーがF1へのチャレンジを開始しており、現在でもF1とMotoGPのチーム間における技術者の交流は珍しくなさそうだ。
同様にヤマハは、1989年に鈴木亜久里選手をドライバーとするザクスピード・ヤマハ・チームとしてF1に初参戦を果たしている。過去のホンダのF1初年度以上に、ヤマハの初期のF1チャレンジは相当に苦しい結果となったのは周知の事実だが、これには色々と理由もあるようだ。
日本人特有の謙虚な「私たちは初心者です」という挨拶は、世界では裏目に出てしまう事が多い。当時から2輪グランプリでは世界制覇を達成し、ヤマハにとっては満を持してのF1参戦だったが、この挨拶を真に受けたチームは、最後までヤマハの意見をピットではあまり取り入れようとする姿勢を見せず、ヤマハの2輪グランプリで培ったレース現場でのノウハウは活かされる事がなかったようだ。こうして、ザクスピードは散々な成績で数シーズンを終える事になる。
当時のヤマハのF1エンジンが、他の強豪チームと比較してパワー不足だった事は、紛れもない事実だろう。しかしながら、豊富な2輪でのグランプリ経験を、4輪関係者に認めてもらえなかった事は、ヤマハにとっては何よりも悔しい経験だった筈だ。
■4輪フォーミュラのベテラン・エンジニアがMotoGPに
話を元に戻すと、2007年よりイルモアは、当時のホンダやヤマハとは逆の方向への挑戦を開始する訳だが、F1出身のイルモアが、どこまで2輪グランプリで活躍できるかは実際に興味のつきない所だ。
今回イルモアの監督に就任したマイク・ジェーンズはF1で15年の経験を持つ。彼はコスワースの技術責任者として、同社がエンジンを供給するウイリアムスやジャガー、およびレッドブル・レーシングなどの技術責任者を務めたベテランエンジニアであり、2007年はその手腕に2輪関係者からの注目が集まるだろう。
■エックル氏のイルモア入りの事実はなし
尚、当初ヨーロッパでは、今シーズンまでカワサキのチーム監督だったハラルド・エックル氏が、イルモアの2007年のチーム監督を務めると噂されていたが、今回の発表による限り、エックル氏がイルモアの運営に関わるという事実はないようだ。
イタリアのロードレース・サイトであるGPONEが11月30日に報じた内容によれば、カワサキが指摘したエックル氏の競合チーム(暗にイルモアを指すと見られている)への今シーズン中の関与に関して、エックル氏は「カワサキの声明文には本当に驚きました。弁護士にまかせているのであまりコメントはしたくありませんが、非常に残念で辛い事です。」と述べたという。
■マリオ・イリエン「決定は慎重に行った」
イルモアのチーム・オーナーであるマリオ・イリエンは、今回のマイク・ジェーンズのMotoGPチーム監督就任にあたり、以下のコメントを発表している。
「マイクがチームに加わるのを大変に嬉しく思います。彼は今までの豊富な経験をチームで発揮してくれると思いますし、彼が実際に活躍するのを見るのが楽しみです。」とイリエン。
「今回の決定に関しては、多くの噂が飛び交っていた事を知っていますが、私たちは後悔する事のないように、決断には時間をかける事にしました。私は忍耐とタイミングの必要性を常に痛いほど理解しているつもりです。このチームは私にとって全てにも勝るものですから、基本となる体制を可能な限り優れたものにしたかったんです。」
■マイク・ジェーンズ「今までの知識をMotoGPに活かすのが楽しみ」
先週のヘレスからイルモアのピットに加わった新監督のマイク・ジェーンズは、現在までのF1およびWRCやインディーなど、オンロードやオフロードを問わない豊富なモータースポーツ界での経験をMotoGPで活用できるのが楽しみだとコメントしている。
「15年間の私のモータースポーツ経歴を通し、この業界で著名な多くの方達と仕事をしてきました。また、オフロードとロードレースの両方のチャレンジも両立してきましたので、今回の任務も喜んで引き受けました。」とジェーンズ。
「何年もマリオの仕事ぶりには憧れてきましたので、彼と今回のような大冒険とも言えるプロジェクトに加われるのは感激です。この挑戦に足を踏み入れるのに躊躇など一切ありませんでした。」
「冬季のプレシーズンの残りを最大限に活用し、来年の非常に面白くなりそうな世界選手権に備えたいと思います。スポーツとして、MotoGPは多くのファンを喜ばせなければなりませんので、私が今までに培った他の高速レースの分野での知識も、これに貢献できるだろうと非常に楽しみにしています。」
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