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セパン合同テスト、初日は午後に豪雨
インテリマーク編集部
2006年11月16日

MotoGP2007年シーズンに向けての2度目の合同テストが、マレーシアのセパン・サーキットで初日を迎えた。

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(写真提供:motogp.com)

マレーシアでの合同テストはこの日の11月15日から17日までの3日間の日程で行われるが、1日目の午前はドライ状態が保たれたものの、午後はあいにくの豪雨となり、午前中のみの走行となったチームが殆どだったようだ。

■あいにくの天候となった初日のセパン

2006年シーズン中のグランプリでも豪雨に見舞われ、一部の配水管の問題からコースが洪水状態となり、予選がキャンセルされるという前代未聞の事態となったセパン・サーキットだが、今回のテストでも3コーナー付近が水に沈んでしまい、レイン・タイヤのテストすらできない状態だったという。

ワークス勢は午前中を使って多くの走り込みができたようだが、セパンから初めて800ccマシンを導入したサテライト・チームの多くは新型マシンの調整に時間をとられるなどして、1日目はバイクの感触を確かめる程度のテスト内容になった。
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■合同テスト1日目の走行結果

以下に、セパン合同テスト1日目の走行結果を示す。

990ccマシンでのタイム

  オリビエ・ジャック カワサキ・レーシング 2分04秒02(28周)

800ccマシンでのタイム

 1位)コーリン・エドワーズ キャメル・ヤマハ 2分03秒56(32周)
 2位)クリス・バーミューレン リズラ・スズキ 2分03秒95(21周)
 3位)ジョン・ホプキンス リズラ・スズキ 2分04秒06(36周)
 4位)ニッキー・ヘイデン レプソル・ホンダ 2分04秒60(30周)
 5位)トニ・エリアス グレッシーニ・ホンダ 2分05秒020(12周)
 6位)玉田誠 TECH3ヤマハ 2分05秒11(30周)
 7位)岡田忠之 ホンダ 2分05秒90(23周)
 8位)青木宣篤 リズラ・スズキ 2分06秒50(38周)
 9位)カルロス・チェカ LCRホンダ 2分10秒88(5周)


■レギュラー・ライダーが揃わない2度目の合同テスト

今回のセパンでの合同テストには、ヤマハ・ワークス、レプソル・ホンダ、リズラ・スズキ、カワサキ・レーシング、グレッシーニ・ホンダ、ホンダLCR、TECH3ヤマハの6チームが参加しているが、2名体制のチームのうちレギュラー・ライダー全員が揃ったのはリズラ・スズキの1チームのみとなっている。
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■ロッシがラリー参加の準備を進める中、エドワーズがトップタイム

ヤマハ・ワークスは、バレンティーノ・ロッシがWRC(世界ラリー選手権)のニュージーランド戦に参加のため、今回はコーリン・エドワーズと、ヤマハの800ccマシン開発を担当するテスト・ライダーの吉川和多留選手と藤原儀彦選手の3名が参加。

コーリン・エドワーズは路面コンディションが崩れる前の午前中に2回の軽いロングランを行い、この日のトップタイムである2分03秒56を記録している。ちなみに、今年の1月に行われたセパンでの合同テスト中にエドワーズが記録した自己ベストタイムは2分02秒00。この時のトップタイムは、先日引退を発表した当時ドゥカティーだったセテ・ジベルナウの2分01秒03。

■エドワーズ「マシン特性は少しおおらか」

午後に走れなかったのは残念だが、初日の目的は果たしたとコーリン・エドワーズは以下の通りコメントしている。

写真「天気についてはものすごく残念ですが、ほぼ今日の予定分の作業は終わらせることができました。」とエドワーズ

「今日の目標は新しいバイクに乗って数周走り、その全体的な感覚を確かめることでしたからね。同じタイヤ1本で15周と、別のもう1本で12周を走ってみて、かなりいい第一印象が得られました。今の段階でも、バイクの乗り味はすごくいいと思います。」

「明らかに出力の感じは異なりますが、それよりも何より、ちょっと全体的にまとまった感じがしますね。ナイフの先のような鋭さじゃなくて、少しおおらかになった感じがします。」

「バレンティーノが走っていた時のセッティングに大きな変更は加えていません。このコースの特性に少し合わせたのと、自分の乗り方に合うように微調整をしたくらいです。」

「明日はもう少しいい天気に恵まれたいですね。そうなれば本格的な作業にも入れますし、進むべき方向性も見えてくると思います。」

■バレンシアに続きリズラ・スズキ勢が2番手と3番手タイム
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リズラ・スズキチームは、レギュラー・ライダーであるジョン・ホプキンスクリス・バーミューレンが2名揃って参加し、スズキの開発ライダーである青木宣篤選手も前回のバレンシアに続いてそれに加わり、3人体制でのテスト走行を行った。

写真バレンシアでの合同テスト2日目と同様に、リズラ・スズキ勢はセパンの初日でもレギュラー・ライダーの2名がそれぞれに2番手タイムと3番手タイムを記録している。

2番手タイムを記録したクリス・バーミューレンは、初日のこの日は800ccエンジン用に開発中の新型シャシーを中心に調整し、天候が崩れる前にこの日の2番手タイムである2分03秒95を記録している。バーミューレンの今年の1月のセパンでの合同テスト(990cc)における自己ベストタイムは2分02秒30だった。

青木選手と共に800ccエンジンの調整を進め、大きな進展が得られたというジョン・ホプキンスは、バーミューレンに続く3番手タイムの2分04秒06を記録。ちなみに、ホプキンスの今年の1月のセパンでのタイムは2分02秒40。
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■ペドロサとメランドリは手術後の静養のために不参加

レプソル・ホンダは、ダニ・ペドロサが先週に彼の地元であるバルセロナの病院で腕上がりの手術を受けて静養中のため、2006年度年間チャンピオンのニッキー・ヘイデンと、HRCテストライダーである岡田忠之選手の2名が参加。

グレッシーニ・ホンダは、ダニ・ペドロサと同様にマルコ・メランドリも先週中に腕上がりの手術を受けているため今回のテストへの参加は見送り、トニ・エリアスのみがグレッシーニ・ホンダチームにとって初の800ccマシンでの走行を行っている。また、グレッシーニ・チームは前回のバレンシアでの2006年型990ccマシンを用いてのテストに引き続き、今回は800ccマシンにもブリヂストンタイヤを装着している。

なお、ペドロサとメランドリの手術は以前から予定されていたものであり、11月28日から行われる次回のヘレスでのテストには2名ともに参加する予定だ。

■ヘイデン「本当は雨の中も走りたかった」

初日の4番手タイムとなる2分04秒60を記録した新MotoGPチャンピオンであるレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンは、電気系トラブルに見舞われながらも精力的に30周回をこなしたが、雨の為に消化不良気味といった様子だ。

写真「今日は期待したほど作業のはかどる日じゃありませんでした。」とヘイデン

「走り始めてからすぐに小さな電気系のトラブルを抱えたんです。マッピングを一度変更したら問題がなくったので、すぐに走り続けたんですが、そこで雨が降り始めて今日の作業は終わりです。」

「本当はそこで何本かレインタイヤのテストをやりたかったんですが、3コーナーに水が溢れていて希望はかないませんでした。明日は今日の結果を元に、まだいくつか試すつもりです。残りの2日間はドライになって欲しいですね。」


■エリアス「250ccみたいで好み」

RC212V(800cc)にブリヂストンタイヤを初めて試したトニ・エリアスは、セパンでの初日からマシンに好感触を示し、この日の5番手タイムとなる2分05秒020を記録している。

エリアスは、RC212Vの持つ250ccマシンに近い特性が自分にあっていると感じているようだ。

写真「今日はあんまり自分たちにとってはいい日じゃありませんでしたね。天気が崩れてウェット路面になったので、3時間以上を無駄にしてしまいました。」とエリアス

「今回は全てが初めての経験ですし、雨が降るまでに12ラップしか走れなかったので、新世代のMotoGPマシンについて語るにはもう少し走り込みの時間が必要ですが、第一印象は良かったですよ。」

「990ccのRCVのように速度は出ませんが、動作は前のバイクよりも機敏ですね。方向転換がすごく素早くできますし、ライディング・ポジションはむしろ250ccの時に近い感じがして好みです。」

「タイヤも今回が(800ccでは)初めてのブリジストンですから、テストを始める時にはマシンやセッティングに関して以前の先入観を排除するように心掛けました。」

「今日は自分にとってもチームにとっても新しい事への第一歩です。だからみんなのやる気もすごいですよ。今言えるのは、自分たちが進むべき方向性をちゃんと見い出せるように、このテストでは可能な限り多くの周回を重ねなきゃいけないという事だけです。」

■TECH3の玉田選手は順調なスタート、ギュントーリは鎖骨を骨折

TECH3ヤマハからの参加ライダーは玉田誠選手の1名のみ。なお、チームメイトのシルバン・ギュントーリは同日にフランスで行われたプライベート・テストで990ccマシンのライディング中に転倒、鎖骨を骨折している。

2002年の全日本SB以来となるダンロップタイヤを履いた玉田選手は、初めて経験するヤマハの800ccマシンで、この日の6番手タイムとなる2分05秒11を記録している。

■チェカは幻となったポンス・チーム以来でのホンダ

1名ライダー体制のホンダLCRは、昨年末のホンダ・ポンスとしてのテスト参加の時以来となるミシュランを履いたホンダのマシンに、カルロス・チェカが初の800ccマシンでの走行を行っている。

初日の午前中はHRCの岡田選手によるマシンの慣らし走行が行われた為、この日のチェカは初のRC212Vで出力系のトラブルを抱えたまま5周しか走行する事ができず、タイムは2分10秒88に終わっている。

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(写真提供:motogp.com)

「今日は自分が走る前にタディー(HRCテストライダーの岡田忠之選手)がバイクの慣らし走行(shake down)を行わなければいけなかったので、自分たちがテストを始めたのはしばらくしてからです。」とチェカ

「自分で走れたのは雨が降るまでの5ラップのみです。ピットから何度も出たり入ったりを繰り返して、マシンを自分のライディング・スタイルにセッティングを合わせる最中でした。」

「まだ何もはっきりした事は言えません。ほんの少ししか走れてない上に、小さな出力系のトラブルもあったので、使えるデータが全く得られなかったんです。電気系をいじらなければ直らないようですが、それはHRCが解決してくれるでしょう。」

■カワサキのみ990ccマシンでのテスト、ド・ピュニエは欠席

写真カワサキ・レーシングオリビエ・ジャックのみが参加し、ランディー・ド・ピュニエは今回のセパンでの走行テストには参加していない。なお、初の合同テスト参加となったカワサキには800ccマシンのデビューが予想されていたが、ジャックは2006年型の990ccマシンで走行している。

今回のテストで990ccマシンによる走行を行ったのはカワサキ・レーシングチームのみだ。


■カワサキがエックル監督との2007年度契約を破棄

また、昨年までカワサキ・レーシングの監督を務めていたドイツ人のハラルド・エックル氏は、今回のテストに参加していないようだ。スペインのロードレースサイトであるDailymotos.comの11月15日の記事によれば、エックル氏はカワサキとの契約を2007年シーズンまで結んでいたが、カワサキはこの契約を破棄する方針を決定したという。

エックル氏がカワサキを離れる件については、彼の地元であるドイツのユーロスポーツでも報じられており、この中でエックル氏は「カワサキは私がイルモアに何らかの情報を流したと考えているようです。私はそのような裏切り行為について全く身に覚えがありませんが、今回の件はそれが理由です。」と述べている。

カワサキは、現在イルモアでマシンの設計を行っているエスキル・シュターとの契約を2005年度に終えており、今年はエックル氏を解雇するなど、以前から噂されている通り、マシンの開発のみならずレーシング・チームの運営母体を日本に集約する方向での動きが目立つようだ。


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