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日本GP チェカが転ばない理由
インテリマーク編集部
2006年9月25日

ダンロップ勢のエースライダーであるTECH3・ヤマハカルロス・チェカは、9月24日に栃木県のツインリンクもてぎで行われた日本グランプリの決勝レースを14位で終えた。
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■昨年に4位を獲得した時と同ペースで走行したチェカは14位

チェカは、日本GPの昨年と比較してのペースの上がり方に驚いている。昨年チェカはブリヂストンタイヤを履くドゥカティーのデスモセディチを駆り、1分49秒台の安定したペースでレースを戦い、4位を獲得している。
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今年はダンロップ・タイヤを履き、昨年と同様の49秒台を連発し、与えられたマシンとタイヤの条件下では最高の走りをレース中に見せたカルロス・チェカだったが、順位は昨年よりも10番手低い14位だ。
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■本当は飛躍的に進化しているダンロップ・タイヤ

写真他の多くのライダーが漏らしている通り、今年の日本GPではカピロッシをはじめとするトップライダーがレース中に47秒台を連発するという驚異的とも言えるペースで周回しており、シーズンを通してチェカとTECH3チームが仕上げたダンロップ・タイヤの飛躍的な進化度合いを、大きく目立たせる事はできなかったようだ。

実際は、開幕戦では5〜6周しかタイヤが持たず、シーズン序盤はタイヤの品質にむらがあり、レースウイーク中の成績が全く安定しなかった頃の事を考えれば、レースウイーク中にミシュラン・ユーザーやブリヂストン・ユーザーのタイムを上回り、トップ10入りをしても大きく騒がれなくなった現在のダンロップ・タイヤの性能には目を見張るものがある。今回のレース中のタイムにしてもそうだ。

■開発の効果が大きく現れるのは2007年以降か

しかしながら、チェカ以外の3名のダンロップ・ユーザーがシーズンを通して全く上昇気流に乗れないという意味不明の事実や、さらにブリヂストン・タイヤの飛躍的な進化とミシュランの極端なハイグリップ化が行われた2006年の中での評価という事もあり、正確な現在のダンロップ・タイヤの開発度合いは、来期の成績を改めて見てみない事には把握できないのかもしれない。
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2007年はマシンの排気量が800ccに引き下げられる事から、ミシュランのレース監督が以前にコメントしていたように、他のタイヤ・メーカーにとっても開発の方向性は不透明な状態だ。MotoGPクラスへの真剣な取り組みに遅れをとったダンロップの正念場は、まだ数年は続くのだろう。

■チェカが転ばない理由

昨年までは不本意な転倒も多く目立ったカルロス・チェカだが、今年は開幕戦のヘレスにおけるレースウイーク中の大きな転倒はあったものの、それほど目立ったクラッシュを今期はしていない。
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先ほどは他のライダーの低迷を「意味不明」と書いたが、考えようによってはそれなりの理由はありそうだ。ダンロップはチェカを中心にMotoGPクラスに向けてのタイヤ開発プロジェクトを今年は発足しており、チェカのライディング・スタイルに最も適したタイヤの設計がなされている筈だ。

チェカの要望を受け、タイヤ側面のグリップ力と剛性の強化を今年のダンロップは実現したが、この結果チェカは転ばなくなり、逆に他の3名のライダーのスタイルには適してないタイヤに仕上がっている可能性もある。いずれにしても、今のダンロップ・タイヤが「意図しないチェカ・スペシャル」に多かれ少なかれなっているのは否めない事実だ。

■昨年はエリソン・スペシャルか?

チェカのチームメイトのジェームス・エリソンが、今期は何度もチェカの走りを真似たり元の自分のスタイルに戻したりを繰り返し、結局現在までに成績を上げる事ができなかったばかりか、サーキットによっては昨年のWCMの時よりもタイムを落とした事を考えると、昨年のダンロップは、同胞のイギリス人ライダーであるジェームス・エリソンに適したタイヤを作っていた事も、あくまで推測のレベルだが、容易に想像はできる。
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余談だが、ブリヂストンタイヤから2005年にミシュランに履き替えた玉田誠選手に、そのシーズンの序盤は大きな転倒が相継いだ事からも、タイヤとライダーのライティング・スタイルの相性における重要性がうかがえる。

■チェカ「今年は技術的な制約との戦いだった」

昨日9月24日の日本GPを14位で終えたカルロス・チェカは、順位には満足できないものの、レース中の自身の走りそのものは満足できるものだったとコメントしている。

写真「あまり嬉しいとは言えませんが、ベストをつくす事ができたのには満足しています。」とチェカ

「結果が自分たちの期待通りとは言えないので、完全に満足する事はできないにしても、いい仕事ができた事には間違いありません。2日間で多くのタイヤをテストし、タイヤの選択には妥協せざるを得ない部分もありましたが、最終的にはそんなに悪い結果ではありませんでした。」

「今年は全体的にレースのペースが上がっていますね。おかげで自分たちの進歩をアピールする事が難しい状況です。」

「1分49秒台で最後まで走り切れたのは決して悪くありません。同じタイムで去年は走って4位がとれたんですから。ただ、ダンロップの開発にはもう少し時間が必要なのは事実です。」

「今回はスズキチームとレースを通してずっと一緒に走りました。何度も互いに抜き合いましたが、こっちのタイヤが減ってからは彼らについて行けなくなりました。自分にとってはバトルの多い面白いレースでした。」

「自分の心の中ではベストをつくす事ができたと思っています。基本的に走りの制約になっているのはテクニカルな部分の問題ですので、自分にとってはトレーニングにもなります。また、今回はホームで走っているのと同じくらい楽しめましたので、それもいい走りにつながりました。」

「今期が難しいシーズンになることは最初から分かっていましたし、当然ここでのレースも苦しい戦いになると思っていました。フィリップ・アイランドはその逆でしたね。あそこはいい結果を期待していたのに、レイン・タイヤが今ひとつでした。」

「今の自分たちの目標は改善を続ける事ですので、問題が発生するのも一概に悪い事とは言えません。色々な技術的な制約と戦う良い機会になりますし、問題を解消すると同時に、自分たちの学習にもなりますからね。」


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