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例年よりタイヤに冷たい今年のフィリップ島
インテリマーク編集部
2006年9月13日

今週の9月15日の金曜日より、年間シーズン全17戦の最後から4戦目であり、今年2度目の3連戦の真ん中に位置するオーストラリアGPが開催される。
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■慌ただしくフィリップ・アイランドへの移動を急ぐ各チーム

写真今回の3連戦は、ヨーロッパ以外の3ヶ国で次々と行われるために飛行機での連続した機材の移動が不可欠となり、各チームはレースへの準備に忙しい日々を過ごしている。まず最初の忙しい作業となるのが、前回のマレーシアのセパンから今週のオーストラリアのフィリップ・アイランドへの数日以内の移動、および機材の設置だ。

また、ヨーロッパからオーストラリアに直接移動するチームのメンバーもいるだろうが、この場合は時間的な負担が大きいようだ。ヨーロッパの各チームの拠点から直接現地に向かう場合の飛行機での移動時間は、約22時間かかる。

フィリップ・アイランドはヨーロッパとの時差は8時間と大きいが、日本との時差は1時間、前回のマレーシアとの時差は2時間と小さいため、3連戦の最初から参加している関係者にとっては、この期間中には大きな時差に苦しめられる事はない。

ここでは、オーストラリアGPが開催されるフィリップ・アイランドの特徴を紹介する。

■灼熱のセパンから春先のオーストラリアへ

セパンからフィリップ・アイランドに移動してまず各チームが初めに驚くのは、その気候の違いだという。先週のマレーシアでのレースは気温35度、路面温度は45度の中で行われたが、その日のフィリップ・アイランドは気温8度を記録していた。南半球に位置するオーストラリアは現在春に入ったところであり、亜熱帯のセパンとのその温度差は約30度近い。

■例年よりも路面温度が低い今年のオーストラリアGP

さらに、今年は通常のフィリップアイランドでのレース開催時期よりも1ヶ月早く、例年よりも気温が低い可能性がある。一般的に、レーシングタイヤは10度以上の路面温度から正常に機能すると言われており、今年のフィリップ・アイランドでは多くのメカニックやライダーがタイヤ選択に苦しむかもしれない。

■フィリップ・アイランドの歴史
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フィリップ・アイランドは、メルボルンから約130キロメートル南東に位置する島であり、この島の公道を使って初めてオートバイレースが行われたのは1920年だった。当時はこの島への移動手段は船しかなかったが、現在は橋や道路が整備されており、自動車などで直接乗り入れる事が可能になっている。

かつての公道コースが修復不能なほどに老朽化し、その代わりとして1980年代後半に建設された12のコーナーを持つ4,448キロメートルの新しいレース専用コースが、現在MotoGPで使われているフィリップ・アイランドのサーキットだ。

■世界GPのオーストラリア初開催を狙って改修

2輪の世界グランプリ開催を目的として改修された新コースが、世界グランプリを初めて誘致したのは1989年の事であり、当時の現地ファンの期待通りにオーストラリア人のワイン・ガードナーがその年は勝利を収めた。
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ガードナーは翌年にも勝利を収めているが、その年からオーストラリアGPはフィリップ・アイランドではなくシドニー側のイースタン・クリークに切り替えられている。フィリップ・アイランドにオーストラリアGPが再び戻ったのは1997年の事だ。

■最も強風が厳しい時期に行われるオーストラリアGP
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フィリップ・アイランドは、前回のセパン以上に多くのライダーが好むサーキットとして知られている。オーストラリアGPは毎年、現地の季節では春の早い時期にグランプリが行われるため、海からの強い季節風が走行中のライダーを襲う事でも有名だが、その程度の事でフィリップ・アイランドの魅力は衰えないという。ちなみに、強風はオーストラリアGPが開催される9月と10月が特に激しい。

■多くのライダーが愛するオートバイレースに適した美しいコース

フィリップ・アイランドは今や古いタイプのサーキットの一つであり、メイン・ストレートには、最近の多くのサーキットが持つような観戦用の巨大メイン・スタンドは存在しない。起伏のある緑の丘に囲まれたコースは、明るく輝く真っ青な海に面しており、路面のグレーはこれらの鮮やかな濃い緑や青と調和して、美しいサーキット全体の外観を作り出している。
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多くのライダーがフィリップ・アイランドを好む理由には、GPカレンダーの中で最も美しいとされる全景に加え、コース・レイアウトが非常にテクニカルであり、最近では数少なくなったオートバイレース向きのサーキットである事があげられる。

■マシン性能も重要だが、ライダーの技量はさらに重要

近年のF1誘致を最優先に作られたサーキットはF1の最高速度を前提に設計されたコースレイアウトが多く、エンジンパワーを中心としたマシン性能に勝敗が左右される事も少なくない。

それに対し、フィリップ・アイランドはオートバイで走っていてライダーが爽快に感じる多くの高速カーブを、ハードブレーキングが必要な少しの低速カーブで結ぶという、ライダーの技量を試すようなコースレイアウトになっており、腕に自信のあるライダーたちのチャレンジング精神を駆りたてるようだ。路面の起伏と走行ラインも変化に富んでいる。

全体的なコースレイアウトは非常にシンプルだ。長い下り坂からスタートした後は、最後まで連続した13個のコーナーが流れるように続き、再びコントロールラインのある下り坂のストレートに戻ってくる。見方によっては、先日アメリカGPが行われたラグナ・セカに近いタイプのサーキットと言えるだろう。

■激しい接近戦が期待できるフィリップ・アイランド

通常はあまり接近戦にはなりにくい傾向のあるMotoGPクラスでも、毎年のようにレース終盤まで見ごたえのある接近戦が展開されるのがオーストラリアGPの特徴だ。
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フィリップ・アイランドのラップレコードは、2005年に当時のテレフォニカ・モビスター・ホンダに所属していたマルコ・メランドリがレース中に記録した1分30秒332、予選のベストラップは昨年のポールシッターであるレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが記録した1分29秒337だ。
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2005年のレース結果は、優勝はゴロワーズ・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ、2位はニッキー・ヘイデン、3位はドゥカティーのカルロス・チェカが獲得している。ちなみに、この年にドゥカティーのロリス・カピロッシは初日のフリー・プラクティス1で転倒して肺の内部を出血するという大怪我を負い、残りのオーストラリアでのセッションは病院のベッドの上から観戦していた。


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