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2006年7月17日
先日のドイツGPにおけるケーシー・ストーナーのレース欠場判断について、ホンダLCRのチーム責任者であるルーチョ・チェッキネロは「理解しがたい処置」として不満の声明を発表している。
ホンダLCRのケーシー・ストーナーは、ドイツGP決勝日の午前のウォームアップ中に、ザクセンリンクのコース後半にある高速右コーナーの入り口で転倒し、マシンと共に高速で路面を滑りながらグラベルに突入し、その後にしばらく転がってから停止した。ストーナーは特に大きなダメージを受けた様子はなく、その場で立ち上がり自分の足でピットに向かおうとしている。
大変な高速走行中であった事は確かだが、明らかにアッセンでのバレンティーノ・ロッシの大きな転倒などと比較すれば、ライダーがたたきつけられるような印象は少ない転倒シーンであり、この後ストーナーはケムニッツの病院でレントゲンなどの医療チェックを受けているが、全く異常は見つからず、ストーナー本人も何も自覚的な異常が見られないと主張していた。
しかしながら、ホンダLCRの公式リリースによれば、ザクセンリンクのチーフドクターは、ケーシー・ストーナーが転倒時に意識を失った可能性をかたくなに否定せず、脳震盪によるレースへの影響を懸念し、一切ストーナーにレース出場への許可を出さなかったようだ。
最後までその医師と掛け合ったチーム監督であるルーチョ・チェッキネロは、以下の怒りのコメントを発表し、レース出場の決断はFIMの指定する医師により、どこのサーキットでも同じレベルの医療判断がなされるべきだと主張した。
「IRTAの委員会メンバーとして、今回のような最終決定は、どのグランプリでもFIM指定の医療機関によりなされるルールを設ける事を進言したい。」とチェッキネロ。
「FIAがすでにF1の世界で制定しているシステムと同じようにするべきです。20年間レースの世界にかかわってきましたが、このサーキットのチーフドクターの柔軟性を欠く物事の進め方がいまだに納得できません。ケーシーは『決して』意識を失ったりはしていませんし、転倒後に病院で精密検査を受けた後も何一つ問題はなかった事が明らかにされていました。」
ちなみに、クラウディオ・コスタ医師の献身的な治療で有名なクリニカ・モバイル(移動病院)は、レース出場への最終決定権などの権限を持つ「病院」ではなく、イベント主催者や各サーキットのチーフドクターへの協力者という位置づけが取られている善意の医療機関だ。
ライダーはクリニカ・モバイルの利用を義務づけられている訳ではなく、各サーキットのチーフ・ドクターが所属する診療所が、ライダーにとっての第1の医療機関となる。ライダーがクリニカ・モバイルを訪れるのは、個人の意志(希望)によるものだ。また、クリニカ・モバイルは全ての診療内容を地元のチーフドクターに提出する義務を負っている。
チーフ・ドクターとクリニカ・モバイルの医療判断が異なる場合に、もしライダーがクリニカ・モバイルの方針に従う場合は、ライダーは「チーフ・ドクターとは異なる治療方針を個人的に選択した」という署名をしなければならない。
尚、今回のようなレース出場に関する決定権はクリニカ・モバイルにはないため、コスタ医師などのクリニカ・モバイルの判断を地元のチーフドクターが尊重しない場合には、ドイツGPでホンダLCRが直面したような事態も発生する。
医療免許は各国により異なり、現在はレース開催地の医師がMotoGPチーフドクターとしての任命(ライセンス)をFIMから受ける形が取られている。
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