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2006年2月21日
南アフリカのモータースポーツサイトであるwheel24が報じるところによると、南アフリカのGP招致委員会は、再び南アフリカにMotoGPを呼び戻すべく、先週スペインのマドリードにてDORNAスポーツの責任者と会見を行ったようだ。
■思い出深いパキサ・フリーウェイ
一昨年前まではMotoGPが開催されていた南アフリカ共和国のウエルコムに位置するパキサ・フリーウェイ・サーキットは、ある意味日本人にとっては思い出深いサーキットだろう。2002年に宇川徹選手がRC211Vでバレンティーノ・ロッシをファイナルラップで抑えて勝利したり、セテ・ジベルナウが加藤大治郎選手の#74を胸につけて勝利した最初のレースも2003年のウェルコムだった。
パキサは観戦施設は充実していたが、路面状態の悪さと気圧の低さから、あまりGPレースに適した場所とは思えなかった。たばこ広告が全面禁止という事もあり、スポンサーの受けも良くなかっただろう。
■南アフリカが国際レース招致に拘る理由
ご存知の通りウェルコムは05年シーズンの年間スケジュールからは外され、南アフリカでMotoGPが開催される事は当分ないと思われたが、MotoGPやF1等のグランプリ開催は外貨獲得の大きなチャンスであり、南アフリカとしてもそう簡単に諦められる話ではなかったようだ。
南アフリカは現在失業率の高さに苦しんでいる。潤っているのは一部の観光業者のみであり、雇用の捻出は国にとっての大きな課題だ。そこで考えたのが、F1とMotoGPの両方が開催できるサーキットの建設と、両レースの招致だ。前回紹介した裕福なカタールとは事情が大分異なるらしい。
wheel24によると、先日のDORNAスポーツとの会見では、現在建設が予定されているケープタウン・サーキットにF1招致が成功した場合には、MotoGPの開催も約束されるという結論に達したようだ。招致委員会は3年以内のMotoGP開催を目指す。
■4輪レースと2輪レースの両立
しかしながら、F1とMotoGPのフォーミュラレースを両方開催するサーキットは、4輪ドライバーと2輪ライダーの安全面を両立する事が重要となる。
一部のサーキットはランオフにグラベルのかわりにアスファルトを敷き詰め、F1を前提としたエスケープゾーンを設置して議論をよんだが、その他にも93年のイタリアGPでのウェイン・レイニーの事故のようにグラベルの質(固さ)がライダーのような生身の人間が転がる事を前提としていなかったりと、4輪との同時開催は2輪ライダーにとって不利な条件を生む印象がある。
この問題について、招致委員会は最新のテクノロジーをもって両方の安全面を確保するとしている。GP招致の責任者であるデイブ・ガントは、現在サーキットレイアウトをデザインしているティルケ社に、F1だけではなくMotoGP開催時の安全面を確保するよう申し入れを行っているようだ。ドイツのティルケ社は最近では上海サーキットとイスタンブールサーキットをデザインした会社としても有名だろう。セパン、カタルニア、ザクセン、ホッケンハイム、バーレーン、および最近の富士スピードウェイ改修もティルケ社の仕事だった。
■莫大な費用投資
失業問題を解決できていない南アフリカは、どのように近代サーキットを設立する費用を捻出するのだろうか。
ケープタウンサーキットは、ケープタウン国際空港の北東に位置する南アフリカ空軍基地に隣接した土地に建設される。土地の買収問題は現在も進行中だが、これが同意されれば空港西側はサーキット開発で産業が活性化し、雇用問題の解決や外貨獲得等の地域経済に大きな効果を生む。
MotoGPやF1が開催されれば、サーキット観戦を目的に南アフリカに訪れる環境客の数は毎年30万人に達すると言われている。南アフリカ共和国はヨーロッパとの時差があまり無く、ヨーロッパからケープタウンへの直行便もある為、レース好きの西欧人も気楽に訪れる。
問題は初期費用だが、ケープタウンサーキットの建設費用は7,500万ドル、日本円にしておよそ88億円だ。招致委員会はすでにこの9割の費用を確保しており、残りはレース開催時の毎年の資金援助を州政府とケープタウン市議会に求める事で解決しようとしている。今後の収益メリットや産業の発展を視野に入れれば、政府関係者もそう簡単にこの話を無視はできないだろう。
■白熱する世界各国のGP招致活動
MotoGP人気の過熱ぶりから、世界各国のサーキットが年間コースとしての招致活動を行い、現在は大変な競争率となっているらしい。年間のレース回数が増えれば1ファンとしては嬉しいが、各サーキットの安全面だけではなく、ライダーが休息できる余裕のあるスケジュール設定が今後のレース主催者側の課題となりそうだ。
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