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2006年2月8日 ShoppingOn編集部
経済的な理由からダンロップタイヤを履く事になり、昨年までの同タイヤの戦績からTECH3の今期を心配する声も多かったが、カルロス・チェカの合流したカタール合同テストでのTECH3の躍進振りに安心したファンも多いと思う。ここではヤマハがリリースしたTECH3メンバーのカタールテスト終了後のインタビューを紹介したい。
ビアッジとホンダ間の衝突から端を発したキャメルという巨大スポンサー消失問題により、ホンダポンスチームが2006年のMotoGP参戦を断念するに至ったのはご存知の通りである。この影響を受け、今シーズンはホンダポンスで走る事を予定していたカルロス・チェカは年末に完全にシートを失い、誰もが彼のMotoGP引退を想像した。
しかしながら、周りの心配に関係なくチェカ本人は自身のMotoGPキャリアの継続をひたすら信じて活動を続けてきたようだ。今回の彼のカタールでのタイムは正に信念の走りによるものだろう。
「YZR-M1にはミシュラン」と最後まで言い続けた彼だが、一旦ダンロップタイヤの開発を引き受けると決意した後の彼の意気込みは凄い。本日1分56秒95を記録したチェカは以下の通りコメントした。
「今回最初のテストでは多くの進展が見られ、本当に満足のいくものになりました。今は現実をしっかりと見据える事が大切です。現時点ではタイミングも良く、物事に集中して仕事ができます。」
「最も集中して作業をしなければならない部分はやはりタイヤです。今回の状況下においてもタイヤはしっかりと機能しましたし、特にフロントまわりがうまくセッティングできた事を嬉しく思っています。ただ、リアにはまだ多くの作業は残ります。セパンでは可能な限りの時間を費やして、リアタイヤに一番良いセッティングを探す必要があります。」
「ヤマハとダンロップ、並びに私にこの機会を下さった全ての皆さんに対して、心から感謝を申し上げたいと思います。1月の私はあまり良くない状態に陥り、ここに戻ってくるまでには大変な戦いを続けなければなりませんでした。」
「そして、私はここに戻るチャンスを得る事ができて本当に幸いでした。今年のM1は過去に私が経験したヤマハのマシンの中では最高の出来であり、胸が高鳴ります。」
「セパンに移動しても同じ方向性を持って作業をする必要があります。誰もがラップタイムの比較や他のチームとの競争力に興味を奪われがちですが、今の私たちに必要なのはタイムではありません。仕事は始まりましたしたが、まだまだ多くの課題があります。現段階では先に急ぎすぎる事は禁物であり、開発に集中すべきです。」
「私自身の進退問題はこれで解決しましたので、後は今シーズンの活動内容のみ考えていきたいです。」
チェカの開発にかける意気込みは相当のものだ。また、頼もしいチームメイトを持つ事になった昨年はWCMでマシン性能に悩まされたジェームス・エリソンだが、彼は多くの事をチェカから学んだようだ。本日1分58秒98のタイムを記録したエリソンは以下の通り語った。チェカからは間違いなく良い刺激を受けている。
「私の進歩はなんだか遅く思えてきました。少し自分のスタイルを変えていかなければと思っているのですが今はまだこの状態です。とにかくチェカがチームに来てくれた事は最高ですよ。彼の後ろを走るだけでいくつかの事を学べるんです。ライン取りやリアブレーキの使い方は本当に参考になります。」
「初日と二日目の朝までは大きな壁にぶち当たっている感じでしたが、ようやく乗り越えられました。最初よりもタイムを2秒縮める事ができましたし、先にも述べましたがチェカやバレンティーノの後ろを少し走るだけで、自分の変えなければいけないライディングスタイルが見えてくるんです。」
「今はコーナリングをそこまで速くしようとはしていませんが、バイクのパワーが自然に引っ張ってくれる感じになっています。このサーキットでタイヤの調子はとても良くなりましたから、前回のセパンまでとは段違いに開発も進んだと思います。昨年はこのサーキットで異なる二つのタイヤを気に入っていたのですが、今回ダンロップはその二つの特性をひとつにブレンドしたタイヤを持ち込んでくれました。」
「実はセパンには戻りたくないと思っていたのですが、今日の結果で大きく気が変わりました。安定性も増していますので、フロントのホイール径を増しても調子が良くなりました。セパンに戻って進歩を試せば面白い事になるでしょうね。」
昨年まではチェカやロッシの後ろについて走る事など殆どできなかったエリソンに取って、今の境遇は弥が上でも前向きになるだろう。恐らくエリソンの今回のタイムアップはチェカ無しではありえなかった筈だ。
この前向きな二人のライダーを抱えて最も嬉しいのは、温情派で知られるチームオーナーのエルベ・ポンシャラルだろう。TECH3ゴロワーズヤマハ時代に現カワサキの中野真矢選手を、やはりチームのスポンサーがらみの問題から泣く泣く手放して以来、なかなか戦績をあげられていないポンシャラルだけに、今回の二人のライダーの躍進振りは嬉しくて仕方がないという様子だ。
「全て最高のテストでしたね。設備もコースも優れたここにテストに来て正解でした。今年のレースで想定されるコンディションに近いし、みんなが協力的でした。」
「今回最大のニュースはカルロスを加えてやっと2人ライダー体制のチームになった事です。良い3日間でしたね。カルロスの最初のダンロップでの走りは誰が想像していたよりも凄かったですね。勇気がわいてきますよ。」
「今日は3台のヤマハが全体をリードするタイムを出せて嬉しく思います。カルロスは既にマシンを乗りこなしていて速いし、ジェームスもこの3日間で着実に成長しました。」
「簡単にはいかないと思いますが、次のセパンは楽しみです。とにかく今後に期待です。繰り返しになりますが、ヤマハとダンロップ、および今回の体制実現に向けて力を貸してくださった全ての皆さんに心から御礼を申し上げます。」
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