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2006年2月7日
2004年のカタールのレースを見て、「なんで鈴鹿に変わってこんな砂漠の最悪なコンディションのサーキットが選ばれたのか」と疑問に思った方も多いだろう。実際、2004年はドライにも関わらず9人がリタイアするサバイバルレースとなり、熱風の中でインタビューを受けるライダーたちの表情も困惑気味に見えた。熱帯の砂漠地域を経験した事のある方ならお分かり頂けると思うが、7月から10月の間に日陰のない道を軽く歩くだけでも生命に危険を感じる事がある。
グリッドに溜まった砂を決勝前の晩に掃除した事をセテのチームから主催者側に訴えられ、スターティング・グリッドを最後尾に下げられたバレンティーノ・ロッシが、お上品に育ったセテを精神的に叩きのめし始めたのも、思い起こせばあのレースだった。
君主制の裕福な国家に5800万ドル(約60億円)の費用を投じて砂漠の中に設立されたカタールのロサイル国際サーキットだが、2004年に滑りすぎると不評だった路面も2005年までに改善され、普通にタイムの出せるサーキットになったようだ。2006年には開催時期もやっと見直され、今月(2006年2月)のカタールでのテストにおける各ライダーのタイムを見ても、今年はレコードラインを外せば転倒というつまらないレースを見なくても済みそうだ。
話は変わるが、日本は海外の先進諸国と比較して、意見が分かれ賛否両論のある部分ではあるが、メディアの規制について甘い部分がある。最近はやっとポルノ的な画像が地上波のゴールデンタイムに流される事は少なくなったものの、コンビニには相変わらず陳列棚を区別する事なくその類の雑誌が無造作に並べられている。これは海外では、一部の空港内の書店を除いては、殆ど見る事のない光景だ。
ポルノの話はおいておくとして、昨年からこのサイトを閲覧頂いている方はもうすでに飽きていらっしゃるであろうたばこ広告の話についても同じ事が言える。レース車両にたばこ広告を禁じる先進諸国は増加傾向にあり、その中で自由にたばこブランドを車両にペイントできる日本は、たばこメーカーにとっては有り難い国だ。モーター・スポーツ自体をあまり国内ではテレビ中継しないのもその理由の一つだろう。
2004年以降、MotoGPを開催する上でのコースレイアウトの危険性が取りざたされ、日本の鈴鹿サーキットがMotoGPの年間コースから外される事になったが、この事態を受けてMotoGP主催陣は一つの問題を抱える事となった。その問題とは、当時も今も巨大スポンサーとしてレース界に君臨しているたばこメーカーが唱えていたこの主張である。
「16レース(当時)のうち最低でも6レースはたばこブランドのロゴを車両にペイントする事。」
日本での1レースが消滅する以上、貴重なたばこペイントの可能なレースも一つ減る事になる。年間コースに追加するサーキットは少しでもたばこ規制が甘い国家を選びたいDORNAにとって、たばこ広告規制が存在せず、しかも裕福な湾岸州は魅力的だったに違いない。
ちなみに2005年シーズン中に、たばこブランドロゴのペイントがマシンに許されたグランプリは全17戦中の11戦だった。
こうして2003年の6月、DORNAはカタール・モーター・アンド・モーターサイクル連盟(QMMF)と協定を結び、広範囲の冷房完備と外周に幅3メートルの人工芝を持つ全周5.4kmの近代的なロサイル国際サーキットが、協定から約1年後の7月9日にランディー・マモラによるドゥカティー・デスモセディチの走行と共にオープンした。
カタールと言ってすぐにこの国家を連想する人は日本では少ないかもしれないが、ドーハの悲劇と言えばサッカーファンならずともすぐにピンと来るだろう。カタールの首都ドーハは、カタールの国民の約半分が住むという都市だ。カタールの人口は僅か80万人であり、面積はほぼ日本の秋田県と同じ1万1千400平方メートルの土地を持つ。
カタールのガイドブックを鵜呑みにすれば、いかなる宗教の観光客でも温かく歓迎する国民性らしい。国民一人当たりの年収は世界でも最も裕福なレベルであり、20世紀は真珠産業で栄え、現在は世界最大の天然ガス保有率を誇る資源に恵まれた国だ。ゴルフスポットとしても有名であり、豪華な海鮮料理も20USドルほどで食べられるという。
余裕のある方は、4月のあまり暑くない時期に開催されるカタールGP観戦も悪くないかもしれない。
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