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小排気量クラス、増加するKTMマシンと激減する日本製マシン |
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2007年12月20日
オーストリアに本社を持つ欧州のオートバイメーカーであり、これまではオフロード分野でのレース活動に重点を置いてきた事でも知られるKTMは、来年の2008年シーズンからはMotoGP小排気量クラス(125ccと250cc)へのマシン供給量を増やし、ロードレースでの活動範囲を今後飛躍的に拡大していく方針を12月19日に公式発表した。
ここでは、台数が増加するKTMマシンを中心とした小排気量クラス内の動きと日本製マシンの減少状況、ならびにFIMが公開した2008年度のMotoGP全カテゴリの暫定ライダーリストを紹介する。
■ロードレース分野へのより本格的な参入意欲をKTMが表明
2007年シーズンはMotoGP125ccクラスと250ccクラスの2カテゴリにそれぞれワークスチームを置き、それぞれに3台と2台の合計5台のファクトリー・マシンで戦ってきたKTMは、来年の2008年シーズンからは250ccのワークス・チームに2台、125ccのワークス・チームに1台の合計3台のファクトリー・マシンを用意し、それ以外の3チームにも125ccマシンを6台、250ccマシンを1台供給する事を12月19日に正式に発表している。
これにより、2008年シーズンは合計3名の250ccライダーと、合計7名の125ccライダーが、KTMのマシンで小排気量クラスを戦う事が決定した。ちなみにKTMがグランプリの250ccクラスに初登場したのは現カワサキのアンソニー・ウエストを起用してスポット参戦を果たした2年前の2005年シーズン、250ccフル参戦は青山博一選手を起用した昨年の2006年が初年度となる。
■ロードレース市場の拡大を狙うKTM
今回の発表に際し、KTMモーター・スポーツの責任者であるヴィンフリート・ケルシュハッグル(写真上)は、この動きはKTMがロードバイク市場の拡大を狙う上で重要なものだとして以下の通りコメントしている。
「私たちは常に『レースで戦える事』を信条としている事では有名ですが、2008年シーズンからは国際的なロードレースの分野における活動領域を飛躍的に拡大していく方針です」とケルシュハッグル。
「この方針は、主要なロードレースの世界での勝利に向けて私たちの断固たる意欲と決意を示すものであり、KTMがロードバイク市場へのさらなる進出を狙うものです」
■激減する日本メーカー製2ストロークマシン
また、今回KTMが小排気量クラスへの本格参入を表明する一方、2000年まではグランプリ全カテゴリで強さを誇った日本メーカー製マシンを使用するチームの減少が目立っている。
日本メーカーのファクトリー・チームが小排気量カテゴリから事実上の撤退をして以来この傾向は強くなる一方だが、2008年に日本製のマシンで小排気量クラスに参戦するライダーは、250ccクラスではタイ・ホンダのラタパー・ウィライロー、チーム・スコット(ホンダ)の高橋裕紀選手、ヤマハ・プルタミナ・インドネシアのドニ・タタ・プラディタの3名、125ccクラスではFFMホンダのルイ・ロッシの1名のみだ。
■2ストロークGPの終焉に向けてアプリリアとKTMにマシンは二極化
なお、2000年のヤマハに続き小排気量カテゴリに向けての新型2ストローク・マシン開発を縮小しているホンダは、2010年からは2ストロークエンジンを一切製造しない事を表明しており、同時に小排気量グランプリの世界でも2009年以降に4ストローク化に向けての大きなレギュレーション変更が噂されている事から、このまま2ストロークの小排気量カテゴリに最後まで積極的に参戦を続けるのは、恐らくアプリリアとKTMの2社に最終的には絞られていく事が予想されている。
■2008年度のKTM使用チーム
来期より新たにKTMからマシンの供給を受けて小排気量クラスにフル参戦するチームは、レプソル・チームとセードルフ・チーム、ならびにチーム・スコット(125ccのみ)の3チームであり、ワークス・チームであるレッドブルKTMを含めると合計4チーム。
12月18日のKTMの公式発表によれば、2008年にKTMのマシンでグランプリを戦う各チームとライダーの構成は以下の通りとなる。
■レッドブルKTM(KTMワークス)
ハラルド・バートル監督の率いるKTMワークスチームは、250ccチームには青山博一選手とフィンランド人ライダーのミカ・カリオという2007年度と全く同じ2名体制を維持。
同125ccチームは、2007年にも同チームのライダーを務めたスイス人ライダーのランディ・クルメンナッハの1名体制となり、小山知良選手は2008年からマシンをKTMにスイッチするセードルフ・チームへの移籍が決定している。
■レプソルKTM
アルベルト・プーチ監督の率いるレプソル・チームは、125ccと250ccの2カテゴリー共にホンダからKTMにマシンを変更し、250ccチームは2006年に125ccクラスでKTMワークス・ライダーを経験しているフリアン・シモンの1名体制、125ccチームには今年と同じくエステベ・ラバトと、2007年はCEV(スペイン選手権)を戦っていたマルク・マルケス(写真下)の2名を起用。
なお、2007年はフリアン・シモンのチームメイトとしてレプソル・ホンダから250ccクラスに参戦していた青山周平選手はSBKのアルト・エボリューション・ホンダ・チームへの移籍が決定しており、2008年は初のSBKフル参戦を果たす。
■セードルフKTM
2007年はライダーにルーカス・ペセックを起用し、デルビのマシンで125ccクラスに参戦していたバルジール・セードルフ・レーシングは、2008年からはKTMからマシンの供給を受け、新ライダー2名体制のセードルフKTMチームとして125ccクラスに参戦する。
セードルフKTMのライダーは、今年はレッドブルKTMでランキング3位を獲得した小山知良選手と、元チーム・シチリア所属の20歳のイタリア人ライダーであるロレンソ・サネティの2名。
■チーム・スコット
チーム・スコットは、250ccクラスを1名体制で戦う高橋裕紀選手は2008年も今年と同じくホンダのマシンを使用するが、125ccチームだけは2008年からはホンダではなくKTMのマシンにスイッチする。
チーム・スコット125ccクラスは2名体制であり、ライダーには今年はマルチメディア・レーシングから同クラスにフル参戦していた20歳のイタリア人ライダーであるラファエレ・デ・ロサと、2000年にMotoGP殿堂入りを果たしたアンヘル・ニエトの息子であり、2007年はブルセンス・アプリリアで125ccクラスを戦った27歳のスペイン人ライダー、パブロ・ニエトを起用。
■デ・ロサの後任ライダーは中上貴晶選手、マシンはアプリリア
なお、チーム・スコットに移籍するデ・ロサの古巣であるマルチメディア・レーシングは2008年はI・Cチームに名称を変更し、その新ライダーには来期から初のグランプリ・フル参戦を果たす元全日本125ccチャンピオンの中上貴晶選手を起用する。
ちなみに中上選手の使用マシンはアプリリアであり、所属するI・Cチームの母体は2000年にロベルト・ロカテリが所属して125ccクラスの年間タイトルを獲得したワールド・ワイド・レースだ。
■MotoGP2008年シーズンに出場する全チームと全ライダー
最後に、2008年MotoGP全カテゴリの暫定ライダー・リストを示す。なお、今年を限りにMotoGPクラスを離れる事になった元TECH3ヤマハの玉田誠選手は、ワークスからのサポートを受けるカワサキPSG-1から2008年度SBKにフル参戦をする事が正式に決定している。
■MotoGPクラス暫定リスト
1 ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム ドゥカティ
3 アレックス・デ・アンジェリス RSM ホンダ・グレッシーニ ホンダ
4 アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット ホンダ
5 コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 ヤマハ
7 クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP スズキ
13 アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム カワサキ
14 ランディ・ド・ピュニエ FRA ホンダ・LCR ホンダ
21 ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム カワサキ
24 トニ・エリアス SPA チーム・アリーチェ ドゥカティ
26 ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム ホンダ
33 マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム ドゥカティ
46 バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム ヤマハ
48 ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム ヤマハ
50 シルバン・ギュントーリ FRA チーム・アリーチェ ドゥカティ
52 ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 ヤマハ
56 中野真矢 JPN ホンダ・グレッシーニ ホンダ
65 ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP スズキ
69 ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム ホンダ
(ライダー未定) チーム・ロバーツ (マシン未定)
(ライダー未定) チーム・ロバーツ (マシン未定)
■250ccクラス暫定リスト
4 青山博一 JPN レッドブル・KTM・250 KTM
5 エクトル・ファウベル SPA マプフレ・アスパル・チーム アプリリア
6 アレックス・デボン SPA ロータス・アプリリア アプリリア
7 ルッセル・ゴメス SPA ブルセンス・アプリリア アプリリア
10 イムレ・トース HUN チーム・トース・アプリリア アプリリア
12 トーマス・ルティ SWI エミー・カフェラテ アプリリア
14 ラタパー・ウィライロー THA タイ・ホンダ・PTT・SAG ホンダ
15 ロベルト・ロカテリ ITA スクアドラ・コルセ・メティス・ジレラ ジレラ
17 カレル・アブラハム CZE カルディオン・AB・モーターレーシング アプリリア
19 アルバロ・バウティスタ SPA マプフレ・アスパル・チーム アプリリア
21 エクトル・バルベラ SPA チーム・トース・アプリリア アプリリア
25 アレックス・バルドリーニ ITA マテオーニ・レーシング アプリリア
32 ファブリツィオ・ライ ITA カンペテーラ・レーシング アプリリア
36 ミカ・カリオ FIN レッドブル・KTM・250 KTM
41 アレイックス・エスパルガロ SPA ロータス・アプリリア アプリリア
45 ドニ・タタ・プラディタ INA ヤマハ・プルタミナ・インドネシア ヤマハ
50 ユージェーヌ・ラバティ IRL ブルセンス・アプリリア アプリリア
52 ルーカス・ペセック CZE オート・ケリー-CP アプリリア
54 マヌエル・ポッジャーリ RSM カンペテーラ・レーシング アプリリア
55 高橋裕紀 JPN スコット・レーシング・チーム・250cc ホンダ
58 マルコ・シモンチェリ ITA スクアドラ・コルセ・メティス・ジレラ ジレラ
60 フリアン・シモン SPA レッドブル・KTM・250 KTM
75 マティア・パッシーニ ITA ポラリス・ワールド アプリリア
■125ccクラス暫定リスト
5 エフレン・ヴァスケス SPA ブルセンス・アプリリア・ジュニア アプリリア
6 ジョアン・オリベ SPA ベルソン・デルビ デルビ
7 アレックス・マスボー FRA ロンシン・レーシング ロンシン
8 ロレンソ・サネティ ITA セードルフ・KTM・125 KTM
11 サンドロ・コルテセ GER エミー・カフェラテ アプリリア
12 エステベ・ラバト SPA レプソル・KTM・125 KTM
14 ガボール・タルマクシ HUN バンカハ・アスパル・チーム アプリリア
16 ジュール・クルーセル FRA ロンシン・レーシング ロンシン
17 ステファン・ブラドル GER グリズリー・ガス・キーファー・レーシング アプリリア
18 ニコラス・テロール SPA WRB・フォンタナ・レーシング アプリリア
21 ロビン・ラッサー GER グリズリー・ガス・キーファー・レーシング アプリリア
22 パブロ・ニエト SPA スコット・レーシング・チーム・125cc KTM
24 シモーネ・コルシ ITA WRB・フォンタナ・レーシング アプリリア
27 ステファノ・ビアンコ ITA WTR・ノー・アルコール・チーム アプリリア
29 アンドレア・イアンノーネ ITA I・C・チーム アプリリア
30 ペレ・トゥトゥサウス SPA バンカハ・アスパル・チーム アプリリア
33 セルジオ・ガデア SPA バンカハ・アスパル・チーム アプリリア
34 ランディ・クルメンナッハ SWI レッドブル・KTM・125 KTM
35 ラファエレ・デ・ロサ ITA スコット・レーシング・チーム・125cc KTM
38 ブラッドリー・スミス GBR ポラリス・ワールド アプリリア
44 ポル・エスパルガロ SPA ベルソン・デルビ デルビ
45 スコット・レディング GBR ブルセンス・アプリリア・ジュニア アプリリア
51 スティーヴィー・ボンセー USA アリー・モレナー・レーシング アプリリア
55 ヒューゴ・バン・デン・ベルグ NED アリー・モレナー・レーシング アプリリア
60 ミヒャエル・ランセデール AUT I・C・チーム アプリリア
63 マイク・ディ・メッリオ FRA アジョ・モータースポーツ デルビ
69 ルイ・ロッシ FRA FFM・ホンダ・GP・125 ホンダ
71 小山知良 JPN セードルフ・KTM・125 KTM
73 中上貴晶 JPN I・C・チーム アプリリア
77 ドミニク・エジャーター SWI アジョ・モータースポーツ デルビ
87 ロベルト・ラカレンドーラ ITA マテオーニ・レーシング アプリリア
93 マルク・マルケス SPA レプソル・KTM・125 KTM
95 ロベルト・ミュアサン ROU グリズリー・ガス・キーファー・レーシング アプリリア
99 ダニー・ウェッブ GBR アリー・モレナー・レーシング アプリリア
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