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2007年11月13日
2008年シーズンに向けての最初のテストとなったバレンシアテストにおいて、不遇のマシンとなった2007年の「ナンバーワン」バイクを降りて、初めて来期を戦う最新型RC212Vに乗ったレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンは、そのホンダの新型マシンと今期は苦しんだミシュランタイヤのパッケージに、どのような第一印象を持ったのだろうか。
■2008年に向けての最初のテストを終えたヘイデンに聞く
11月7日のバレンシアテスト2日目の終了直後、レプソルYPFのプレス・オフィサーは帰りがけのニッキー・ヘイデンを捕まえて、新型マシンの感想や来期もミシュランタイヤを使用する事、ならびにナンバーワンマシンを降りた時の心境などについて問いかけている。
ここでは、レプソルYPFが公開したその時のヘイデンとのやり取りの内容の全文を以下に紹介する。
■2008年型マシンとミシュランタイヤについて
●新しいバイクに初めて乗った時の第一印象はどんな感じでしたか。
まだ本当に初めて乗ったばかりですが、かなりの好印象でした。
もうほとんど完成型に近い感じがしましたね。とは言ってもまだやるべき作業は多く残っていますし、開発はもっと進める必要があるとは思いますが、いずれにしてもいいスタートが切れた事は間違いないでしょうね。
また数週間後にでも同じ質問をしてもらえれば、もっと詳しくお伝えできると思いますよ。
●2007年型のマシンと比較するとどうでしょうか。
すごく似た印象ですし、それほど大きな違いはありません。ただ、恐らく一番大きな違いは、やっぱりみんなが一番興味を持っているニューマチックバルブの部分でしょうね。
ハンドルバーとか乗車の位置は前から気に入っている2007年型とあまり変わらないのでいい感じです。荷重の移動についても以前のバイクほど急激な変化がなく、アグレッシブすぎる感じがないので気に入りました。
●ホンダが以前の強さを取り戻すために大変な努力をしてきたのは最近の数レースで分かりました。バイクがすごく良くなっていましたね。ただ、今回またバイクが新しくなったという事は、再びゼロからの出発になるという事ですか。
今回のバイク(2008年型プロトタイプ)は以前とは全く別物です。確かに多くの点においてゼロからの出発と言えるかもしれませんが、ベースはすでに高いレベルに仕上がっています。
結果が出なくて苦しんでいた時期に、ホンダが約束してくれた内容には励まされました。彼らは決して諦めたりしませんし、それが偉大な企業たる所以でしょう。
●レプソル・ホンダ・チームは数日前にミシュランとの関係を継続すると正式に発表しましたが、その決断については満足していますか?
はい。ミシュランにはまだ頑張らなければならない事がたくさんあるとは思いますが、彼らが努力を続けるのは改善ができるからですからね。
今シーズンのミシュランは期待通りのレベルだったとは言えません。でも、今は早く来年のタイヤがどんな状態になるのか見たくてたまらない心境です。今年のブリヂストンは年間を通して自分たちよりも一歩進んでいましたから、来年は自分たちが強い立場にある事を願っています。
今年は全く十分とは言えないレベルでした。
■ナンバーワンではなくなる事について
●ナンバーワンの立場を失うのは辛いですか。
辛いし、なんだか受け入れがたい感じがしました。要するにその失い方が辛かったって事です。ずっと高いレベルで戦えていたのなら話はまた別でしょうが、シーズンを通して不運な状態が続きましたからね。
ハードブローを喰らったような打撃です。嘘をついてもしょうがないので言ってしまえば、チームにもイライラしていました。だってね、自分たちはもっとうまくやれる筈だと思ったりもしますよ。
実際、もっとうまくやれる筈です。じゃあ今後どうするかですが、それにはもう今年の出来事を乗り越えて、来年の勝利を狙うしかありません。
●またナンバーワンを狙って戦う気持ちはありますか。
もちろんです。
今年は厳しい1年でしたし、何1つ満足できていません。だから来年はもっと高いレベルの走りを目指すつもりですし、もっと強くなって自分が楽しめるようにしたいです。
■2007年シーズンの感想
●2007年シーズンの中で一番良かったと思える瞬間はいつですか。
ポルトガルで取ったポールポジションでしょうね。今年のあそこまでの状況を思えば、本当に有り難いご褒美みたいな感じでした。あれはチーム全体にとってもすごく良かったんですよ。自分はチームに自信を持つ事ができましたし、彼らも僕に対して自信を持つ事ができた筈ですから。
あとはオランダ、ドイツ、それとチェコの表彰台も嬉しい瞬間でした。
●では、一番ひどかった時はいつでしょう。
一番ひどい時ですか?ホームのラグナで完走できなかった時ですよ。あれは本当に辛い瞬間でした。
正直言えば、他にもひどかった時はいくらでもありますけどね。最高峰でレースをしている以上、それは仕方のない事です。ただ、いい時と同様に、悪い時からも色々学べるという事には気がつきました。
とにかく今はトップに戻りたいです。
■年内の活動スケジュール
●2007年シーズンが日曜日に終わり、休む暇もなく次の火曜日には2008年シーズンに向けての準備期間が始まりましたが、きつくはありませんか?
いいえ、確かに楽じゃありませんが、もっと大変な世界だって山のようにある事を知っています。MotoGPの世界でホンダのファクトリー・ライダーでいられる事は名誉な事ですし、自分の仕事量が多いからと言って悲鳴をあげたりなんかしません。
ただ、ここ2ヶ月の間は大きな移動の連続でしたし、今後の2ヶ月間もそうなると思うと少し憂鬱な気分にはなります。何だって常に笑顔って訳にはいきませんよ。
どんな業種でもあちこちへの移動が伴う場合には給料に反映されるでしょう?大変すぎるなんて口にはできませんよね。
●年末までの活動スケジュールを教えて頂けますか。
シーズンが途切れる事なんて本当に決してありませんね。まずミラノのモーターバイクショーに行って、その次はMTVで公開される映画「ケンタッキー・キッド」の番宣のためにニューヨークに向かいます。これはアメリカ国内のプロモーションとしてはかなり重要な番組になります。
その後はマレーシアのテストに直行して、それから兄がサンクス・ギビング(感謝祭)の連休中に結婚するので、彼がちゃんと最後まで式をやり遂げる事ができるか見届けにいかなきゃならないんですが、きっとみんなで楽しく過ごせると思います。
最後はヘレスでテストを済ませて、12月に入ったらスポンサーの方々との約束はいくつか入っていますが、やっと少し時間が取れるようになってきます。その時はなるべく家で過ごすように心がけて、体力トレーニングに努めるつもりです。
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