ダンティーンがホフマンを解雇 ２００７年９月１７日 MotoGPのシーズン残り４戦を前にプラマック・ダンティーン・チームは、同チームのレギュラー・ライダーの１人だったアレックス・ホフマンを、昨日のポルトガルGP決勝当日となる9月16日夜に突然解雇した。事の経緯は以下の通りだ。 ■突然の解雇の経緯 プラマック・ダンティーン・チームに所属して２年目のアレックス・ホフマンは、昨日の9月16日に行われたポルトガルGPにおいて、スターティング・グリッドにつくためのサイティング・ラップ中にマシントラブルに見舞われており、決勝レースではセカンドマシンに乗り換え、レギュレーションに従いピットレーンからスタートした。 その後ホフマンは最後尾を走行していたレース１２周目に、モチベーションの低下を理由にレースを自発的に中断、１７周を残して本人の意志によりリタイアしている。 ■ホフマン「最下位に意欲は見いだせなかった」 まだ今回の解雇が決定する前のホフマンは、レース後の公式コメントの中で「レースが始まった時にはすでに最後尾を走る自分の前のライダーから6秒離されていた。最下位を取るためにレースを最後まで走りきる事への意欲は見いだせなかった」とコメントし、レースを走りきるモチベーションは最初からなかった事を明らかにしていた。 ■ダンティーンはレース直後に解雇の可能性を示唆 この発言に対してチームのオーナーであるルイス・ダンティーンは、同じく公式コメントの中で「意欲の欠如はチームにとって言い訳にはならない。この事から、シーズン残りのレースをホフマンと共に戦うべきか否かの決定権はチームにある事を伝えたい」と述べ、ホフマンとのシーズン続行に終止符を打つ可能性をレース終了直後に示唆した。 ■レース当日の夜にチームはホフマンの解雇を正式発表 この日の夜に発行されたホフマンの解雇を報じる公式リリースの中でプラマック・ダンティーン・チームは、「ホフマンのモチベーション低下による自発的な走行中断のコメントを受け、プラマック・ダンティーン・チームの管理部門はアレックス・ホフマンを解雇し、2007年シーズン残りの彼との契約は遂行しない事を決定した」と伝えており、日本GP以降のレースでは誰か別の後任ライダーを投入する事を正式に発表している。 ■ドイツGP前の怪我から運気を失うホフマン ホフマンは今期はフランスでの５位を含むレースでのトップ10入りを６回果たしており、比較的に好調なシーズン前半を過ごしていたが、母国のドイツGPを直前にプライベートな理由で右手のひらを骨折し、ここから運気が一転してしまう。 ■アメリカでの深刻な負傷と冷静なチーム ドイツの翌週となるアメリカGPでは、金曜日午前のフリー・プラクティス１においてブレーキングポイントを見誤った現TECH3ヤマハのシルバン・ギュントーリからの激しい追突を受け、その際にホフマンは２台のマシンの間に挟まれた左手のひらに深刻なレベルの骨折を負っている。その直後にプラマック・ダンティーン・チームは当日のラグナセカで開催中のAMAに出場していたチャズ・デイビスを異例の早さで代役起用、ホフマンの怪我の治療が終わるのを待たずして午後のフリー・プラクティス２に投入している。 ■怪我の原因となったギュントーリをチームは選択 アメリカGPの直後、ホフマンは「幸福なチャズ・デイビス」と報道した一部のメディアへの苦言や、彼に追突したギュントーリへの激しい批判をMotoGP公式などにコメントしたが、その数週間後にはルイス・ダンティーンがシルバン・ギュントーリとの来期シーズンに向けての仮契約を交わしたとの情報がMCNなどにより噂として大きく報じられるなど、あまりホフマンにとっては面白くない状況が続いていた。 ■ギュントーリとの契約発表をレース当日に行ったダンティーン さらに怪我からの復帰２戦目となった昨日のポルトガルGP決勝当日の午前中には、プラマック・ダンティーン・チームがギュントーリとの2008年以降の契約締結を正式に発表しており、その日の午後のレースを戦うホフマンが意欲を失いやすいタイミングだった可能性もある。 ■今シーズンの後任はチャズ・デイビスかイバン・シルバ？ なお、アメリカGPでホフマンの代役を務めたチャズ・デイビスは、来期のドゥカティーのテストライダーの候補として、先週イタリアのムジェロ・サーキットでドゥカティーのプライベート・セッションに参加しているが、日本GPにホフマンの後任ライダーとして投入されるのはこのチャズ・デイビスか、今年のブルノで同じくホフマンの代役を努めたスペイン選手権ライダーであるイバン・シルバの可能性が高そうだ。