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2007年7月21日
夏休み前の最後のグランプリとなるMotoGP第11戦アメリカGPが、カリフォルニアの青空の下、ラグナ・セカ・サーキットで初日の午前と午後の2回のフリー走行の日を7月20日に迎えている。
■昨年に比べて良好な走行条件となった初日のラグナ・セカ
この日は例年通り路面の一部が砂で覆われており、午前中は滑りやすい路面に悩まされるライダーやチームも少なかったようだが、所々にまだでこぼこはあるものの、去年に劣悪と言われたアスファルトが今年の改修で若干表面が改善された事と、路面温度が次第に上がり、砂の汚れも徐々に解消された事で、午後にはトニ・エリアスの代役ライダーとして参戦しているミゲール・デュハメルを除く全てのライダーが大幅に自己ベストタイムを更新している(写真下は各ライダーのアメリカGPスペシャルヘルメット)。
■新しくなったアスファルトは比較的好評
なお、今年もまだ路面のがたつきに対する苦情は絶えないが、昨年にアスファルトが熱により一部でひび割れを起こして下の地肌が見えたり、ラグナ・セカで最も危険な箇所と言われるコークスクリュー出口のアスファルトに段差が目立った事などを考えれば改善は進んでおり、グリップ全体のレベルも若干上がっている事から、レース安全委員会の代表的立場にあるバレンティーノ・ロッシは「去年は悪夢だったけど今年の改修にはとても満足。やっと楽しんで走れるようになった」と好感度を示すコメントを残した。
■転倒者や怪我人の情報
今回の初日のフリー・プラクティスでは大きな怪我人が1名出ている。
■止まれないギュントーリに追突されたホフマン
先週のドイツGPの1週間前に右手のひらを骨折し、それが回復状態にあったプラマック・ダンティーンのアレックス・ホフマンは、午前のフリー・プラクティス1で6周回目を走行中にコークスクリュー(8コーナー)へ進入した際に、曲がりきれない速度でその場に突っ込んできたダンロップTECH3ヤマハのシルバン・ギュントーリに左側面から直撃され、2台のバイクはそのままコース反対側のグラベルに折り重なってはじき出される形となった。
■ホフマンは頼みの左手まで骨折
この時にホフマンの骨折をしていなかった方の左手は、自身のバイクとギュントーリのバイクに挟まれており、ホフマンはグラベルに転がった後はすぐにバイクから手を引き抜き、自力で立ち上がったが、その後の仕草から左手に大きなダメージを負った事は誰の目にも明らかだった。救急スタッフにグローブとヘルメットを外された時のホフマンの表情は、苦痛にゆがんでいたという。
■ギュントーリは右ひじに軽い捻挫
なお、ホフマンに追突したシルバン・ギュントーリは右ひじに軽い捻挫を負ったが、特に深刻な怪我は負っていない。
■セッションは10分間の赤旗中断、ホフマンは病院で3時間の手術
ここで赤旗が提示されてセッションは10分間中断し、この間にホフマンは担架でサーキット内にあるメディカル・センターに運ばれている。救急治療を受けたホフマンは、すぐにヘリコプターでサン・フランシスコの外科医療施設に搬送されており、そこで骨折した手のひらの骨を接合する手術を3時間にわたり受けたようだ。
■ホフマンの代役はチャズ・デイビス
大のアメリカ好きのホフマンの怪我にチームは落胆の色を隠せなかったが、ホフマンのレース参加が不可能と判明した後は、元250ccクラスのライダーであり、今回のアメリカGPと同時にラグナ・セカで開催されているAMAのスーパースポーツ・クラスに参戦中だったチャズ・デイビスに午後のセッション開始30分前に声をかけ、ホフマンの代役を依頼している。
■ルイス・ダンティーン「最初はどうしようか悩んだ」
プラマック・ダンティーンのチーム監督であるルイス・ダンティーンは、「ホフマンの大好きなコースなのに本当に残念。チームにとっても最悪な事態なので最初はどうしようか悩んだが、日曜日のレースの代役にはチャズ・デイビスを起用する事を決定した」とコメント。
■デイビスはいきなり午後のセッションからMotoGPデビュー
この結果、チャズ・デイビスはこの日の午後のセッションにはプラマック・ダンティーンのデスモセディチGP7に乗り、初めて経験するMotoGP最高峰クラスのセッションにいきなり出場する事になった。デイビスの初日の結果についてルイス・ダンティーン監督は、「初めてのMotoGPクラスで難しいコースにしては初日はよく頑張ったし、2日目はもっと改善されると思う」と述べている。
■派手な転倒を喫したド・ピュニエはほぼ無傷
また、ホフマン以外にはカワサキのランディー・ド・ピュニエが午後に大きな転倒を喫している。ド・ピュニエは午後のセッションで1コーナーを曲がりきれずに、ドイツGPの予選終盤と全く同じようにグラベルを長距離走りきり、宙を舞ってからグラベルに頭から着地しているが、幸い左腕に軽度の打撲を負った程度で、深刻な怪我は全く負わなかった。
■クリス・バーミューレンは午前に腕上がりの症状
転倒者ではないが、リズラ・スズキのジョン・ホプキンスは午前中に腕上がりの症状を訴えているが、午後には特に問題は発生しなかった様子だ。
■麻酔を打たなかった事を後悔するアレックス・バロス
また、前回のドイツGP初日午前の転倒により右手のひら周辺の肉を大きく削ったプラマック・ダンティーンのアレックス・バロスは、今回のアメリカGP初日は痛み止めを打たずにセッションに参加していたが、激痛のために思い通りにマシンをコントロールする事ができなかったため、2日目以降は麻酔注射を打ってから走行を開始する予定だという。
■ドイツGP初日のフリー・プラクティス総合順位
以下に、アメリカGP初日に行われた午前(FP1)と午後(FP2)の2セッションの総合順位を示す。午前のセッション開始時の気温は24度、路面温度は32度、湿度は36%、午後のセッション開始時の気温は27度、路面温度は42度、湿度は34%だった。なお、午後にはコース内の一部の路面温度は60度近くまで上昇している。
1) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ デスモセディチGP7 1分22秒997
2) マルコ・メランドリ ITA ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分23秒177
3) ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分23秒452
4) コーリン・エドワーズ USA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分23秒535
5) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分23秒548
6) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分23秒550
7) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分23秒576
8) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分23秒768
9) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ デスモセディチGP7 1分23秒912
10) 玉田誠 JPN ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分23秒965
11) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 1分23秒998
12) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分24秒043
13) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分24秒077
14) シルバン・ギュントーリ FRA ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分24秒173
15) ロジャー・リー・ヘイデン USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分24秒325
16) アレックス・バロス BRA プラマック・ダンティーン デスモセディチGP7 1分24秒457
17) カーチス・ロバーツ USA チーム・ロバーツ KR212V 1分24秒666
18) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 1分24秒850
19) ミゲール・デュハメル CAN ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分25秒550
20) チャズ・デイビス GBR プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 1分26秒459
21) アレックス・ホフマン GER プラマック・ダンティーン デスモセディチGP7 1分27秒751
ラグナセカのサーキットレコード(990cc)は2006年にダニ・ペドロサが記録した1分23秒333、ベストラップレコード(990cc)は2005年にニッキー・ヘイデンが記録した1分22秒670。
■初日に突出したタイムを叩き出したブリヂストンの2名
アメリカGP初日のフリー・プラクティスを制したのは、午前と午後の両方でトップタイムを記録した現在のポイントリーダーであるドゥカティーのケーシー・ストーナーだった。ストーナーのトップタイムである1分22秒997は、昨年のサーキット・レコードを0.336秒上回ったばかりか、2005年のベストラップに0.327差まで迫っている。
ホンダRC212Vの新型パーツをドイツから手に入れたグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリは今回のアメリカでも好調な走りを初日から見せ、ストーナーとのタイム差は0.18秒と僅差だ。今回はこのストーナーとメランドリの上位2名が、他のライダーから突出したタイムを記録した。
■3番手は地元でのMotoGP初優勝に燃えるホプキンス
初日の総合3番手タイムを記録したのは地元カリフォルニア出身のライダー、母国GPを前に「表彰台の一番高いところに乗りたい」と述べていたリズラ・スズキのジョン・ホプキンスであり、1日目はブリヂストン勢がトップ3を独占している。
■エドワーズはテキサス・トルネードのスペシャルカラー
なお、ミシュラン勢のトップは、今回の母国グランプリに「テキサス・トルネード・カラー」と称するアメリカの国旗と竜巻(トルネード)をモチーフにしたスペシャル・カラーのマシンで挑む初日総合4番手タイムを記録したフィアット・ヤマハのコーリン・エドワーズだった。エドワーズは午前中のセッションでも3番手タイムを記録しており順調だ。
■アメリカGP初日の各ライダーのコメント
以下に、アメリカGP初日のセッション終了後の各ライダーや一部チーム関係者のコメントを紹介する。
■トップタイム)ケーシー・ストーナー ドゥカティ 1分22秒997
午前はコースに慣れるのがかなり大変でした。
間違いなく路面状況は去年よりもひどく感じました。表面の感触は少し良くなっていますが、でこぼこは最悪です。今年のコースのが方ががたがた揺れますね。
いずれにしても、午前のセッションの半分をすぎたあたりでセッティングは良くなってきて、そこからさらにゆっくりと調整を進めたので、今はとても納得のいく仕上がりです。
全体的には悪くない状況です。フロントタイヤはすでにレースの距離を走り込んでいたので、午後には違うリアタイヤを履いてみました。
新しい路面はコークスクリューの出口あたりは去年よりも良くなっていますが、他の全ての場所は去年よりもひどいです。でも、これは全員にとって同じですから、この条件下で最高の走りができるようにしたいと思います。
■2番手)マルコ・メランドリ ホンダ・グレッシーニ 1分23秒177
今週はいいスタートが切れて嬉しいです。
新しいマフラーのおかげでバイクのレスポンスがすごく良くなりました。エンジン特性がすごく扱いやすくなり、ここでも自分の思い通りに走る事ができています。それにタイヤにも満足しています。
今回の戦いに向けての意欲はとにかく高いので、必ず好成績を狙っていきます。ここのサーキットは大好きですね。去年は3位でしたし、前回のドイツでもいい走りができていたので、表彰台を争う準備は万端です。
■3番手)ジョン・ホプキンス リズラ・スズキ 1分23秒452
本土に戻ってこれていい気分ですよ。それに今日は1日を通して好調でした。
サーキットのオーナーはアスファルトの表面を今年はうまく処理してくれました。前回走った時よりもかなりいい状態です。一部の路面のでこぼこもなくなっていますし、アスファルトの割れも今年は見あたりませんから、良くやってくれたと思いますよ!
今週は出だしからすごく運が良かったです。バイクのセッティングは最初から理想とそれほど離れていませんでしたからね。クルーが頑張ってさらにうまく調整をしてくれたので、その後はすぐにタイヤのテストを開始する事ができました。
今は全部が順調に感じています。ただ、まだ何ヶ所かは自分の走行ラインや、ペースの一貫性を改善する必要はあります。さらにコンマ数秒は縮めたいと思いますが、すぐに達成できると思います。
納得のいくところまで全力で頑張りますので、明日の予選はすごい結果になると思いますよ!
■4番手)コーリン・エドワーズ フィアット・ヤマハ 1分23秒535
午前はものすごくいい感触でした。路面の状態は終日を通して安定していましたから、午後も同じ方向性で作業を進めています。
セッティングを色々試して今でも楽に乗れる感じですが、さらに改善は進められる筈ですよ。レースタイヤを決定する前に、はまだいくつかタイヤに関しては試す事があるので、明日の午前中はその作業に集中します。
ストーナーとメランドリがすごく強そうですから、明日は彼らとの差を縮めておく必要がありますね。
このコースに戻ってこれて本当に楽しめています。800ccマシンとの相性も良く感じました。路面も去年に比べれば素晴らしい状態です。
■5番手)ダニ・ペドロサ レプソル・ホンダ 1分23秒548
新しい舗装に新しいバイクですから、今回もこのサーキットを初めて走るような気分でまずは気楽に構えていました。
午前はいいスタートが切れたとは言えません。アスファルトがとても滑りやすくて、それにすごく汚れていたんです。もちろんこれは時間がたてば良くなると思いますけどね。
ライバルの何人かは午前中に素速くいいセッティングを見つけたようですが、まだレースウイークは長いので、自分たちの改善も進むと思います。
午後のセッションの終盤にはラップタイムを大きく改善する事ができましたし、今後の作業に向けて多くのデータを集める事もできています。一番の課題はグリップレベルですね。今はもっとトラクションが得られてホイール・スピンの頻度が減るように作業を進めています。
午後の状況は午前に近いものでした。路面はとても滑りやすく感じますし、ほとんどのセッションを通してタイヤの性能を使い切る事ができていません。まだ色々やる事が残っていますが、これからセッティングを改善して、もう一度ギアの調整を見直してから、明日の予選には挑みたいと思います。
■6番手)バレンティーノ・ロッシ フィアット・ヤマハ 1分23秒550
今日の走行を終えての第1印象はとてもいいです。路面はものすごく改善されました。
一部にでこぼこはありますが表面がすごくなめらかになったので、まるで去年とは違うサーキットみたいですね!去年は走るのが不可能と思えるくらいに悪夢のような状態でしたから、この改善にはとても満足しています。これでやっと楽しんで走れますね!
これは新しい800ccマシンにとってもいい結果を生んでいます。コースの全ての部分を使って最良のライン取りができるようになりました。
今日は最初からすごく速く走れました。自分たちのバイクはここでも調子が良さそうです。タイヤもいいものが選択できていると思いますね。まずはすごくソフトなものから試していますが、レースではもう少し硬めのタイヤを選ぶ必要があります。いずれにしても今の状況はとてもいいですよ。
ここはコツのいるコースですが、今日はすごく楽しめました。ここでのレースはいつもすごく楽しいです。ファンの人たちは素晴らしいし、天気もいいですからね。
明日も当然やる事がさらにあります。トップの連中とのペースの差を縮めなければいけませんが、とにかく今日はいいスタートが切れたと思います。
■7番手)クリス・バーミューレン リズラ・スズキ 1分23秒576
ここは本当に楽しめるサーキットなので戻ってこれて嬉しいです。
午前は気温が比較的涼しかったんですが、ブレーキに若干の問題を抱えていてあまりパッドが温まらない状態でした。でも、そこからスタッフが頑張ってくれたので問題は解消できています。
バイクのセッティングとブリヂストンが持ち込んでくれたタイヤは全て好調ですね。選ぶタイヤに関係なく、それぞれにいい感じが得られるんです!明日はもっとタイヤをいくつか試してみて、どれがレースの耐久性に一番優れているか確認するつもりです。
今日は大きく改善が進みました。この方向性で作業が進めば、予選ではかなり上位が望めそうですよ!
■8番手)ニッキー・ヘイデン レプソル・ホンダ 1分23秒768
ラグナに戻ってこれて気分がいいです。午前のセッションはまあまあでしたしね。ただ、バイクのフロントまわりの感触がフラットな路面のコーナーではあまり良くない状態です。
路面はすこしでこぼこがあって、午前は滑りやすい感じでした。
午前のセッションはうまくいったと言えませんが、上位に抜け出すにはどうすればいいか、いくつかアイデアはあります。すでに何人かは本当に速いタイムを出しているので、今週もかなり激しい戦いになりそうな感じがしますね。
午後にはかなり速く走れるようになりましたが、ホームに戻って最高の気分になっても、それで全ての問題が解消できる訳じゃないという事を今日は証明してしまいましたね。
ファンの応援はあり得ないほどすごかったのに、今日はいい方向性を見つけるのに苦しんでしまい、少しフラストレーションが溜まりました。新しい舗装では思っていたほどタイヤが機能しなくて、中間付近の順位に終日留まる事になりました。
でも、まだレースウイークは始まったばかりです。今年はレースウイーク中に大きく改善が進められる事を実証してきましたしね。だからまだこれから頑張るつもりです。
去年ほどのひどさではありませんが。新しい路面はまだいくつかの場所ではでこぼこしています。チームで今晩はしっかりとデータを検証しますが、まだやる事が多いのだけは疑う余地もありません。ただ、自分たちが全力で頑張って解決策を見つける事だけは信じてもらっても構いませんよ。
■9番手)ロリス・カピロッシ ドゥカティ 1分23秒912
去年と比べると、まだ路面の全体がでこぼこしていますが、アスファルトそのものは少し良くなりました。かなり汚れているのは同じですが。
午前はバイクのセッティングに集中しました。最初の2区間はそんなに悪くないタイムですが、第3区間がかなり遅くなっているので、より良いセッティングの方向性を探ってみたんです。もっと改善を進められる自信はありますよ。
タイヤは大丈夫そうですね。午前を通して同じタイヤで走りましたが、30周を走り込んでも悪くない感じです。
午後は2種類の大きく異なるセッティングを試しました。ひとつはザクセンリンクで使ったもので、もう1つはドイツ以前に試していたものです。ここではザクセンリンクのセッティングの方が調子が良かったので、より感触が良くできるようにそっちのセッティング改善に作業を集中しました。
このままの方向性で明日も作業を続ければ、日曜日にはいいレースができるようになる筈です。
■11番手)カルロス・チェカ ホンダ・LCR 1分23秒998
新しい舗装はいい感じです。みんなが走り込んで路面にゴムが付着したらもっとグリップは良くなるでしょうね。
一番の問題は5コーナーと6コーナーの間にある砂ぼこりです。路面に縁石がない部分ですから影響が大きいですよ。
全体的に言えばここまでの改善状況には満足しています。新型シャシーへの理解を深めながら、午後にはフロントまわりの感触とリアのグリップを改善する事ができたので、1秒以上タイムを縮める事ができました。
もっと速く走れるようにしたかったですね。でも、午後にはセッティングの問題解決に向けて、トンネルの先にやっと光りが見えてきた感じです。
■12番手)ランディ・ド・ピュニエ カワサキ 1分24秒043
怪我はありませんでしたが、午後にメインストレートの終端で転んでしまいました。
速度が出すぎていて、ブレーキをかけたらフロントをロックさせてしまい、壁にぎりぎりのところで転倒しました。先週のザクセンリンクの時と同じような転び方でしたね。
セカンドバイクはリアのグリップに若干問題があり、それで調整を加えたのですが、その後はコーナー進入時に振動が出るようになってしまいました。かなり乗りにくい状態になったので今はこの問題を解決する必要があります。
セッションの終盤にはだいぶタイムは上がりましたが、まだまだやるべき事は多いですね。ただ、少なくとも怪我はありません。頭を打ちつけましたが平気です。
■13番手)アンソニー・ウエスト カワサキ 1分24秒077
午前中はコースの学習にかなり苦労しました。
最初はどこがコースやら何やら分かりませんでしたが、状況はだんだん良くなり、最後の10分くらいで順位を上げる事ができました。走り込む度に速くなるので、期待は持てる状況ですね。
誰かの後ろにつけて走りたかったんですが、いつも自分がコースに出た時にはあまり人がいないんです!まだまだ個人学習を続けていますが、明日になって誰かの後ろを走れれば色々分かってくるでしょうね。
コークスクリューは飛び込む度に息をのむ感じですし、うまく抜けられるか毎回不安でしたが、すごく刺激的な場所には間違いありませんよ。
セッティングはまだ完璧ではありませんが、いずれにしても感触はいいです。最終的にはペースも安定しましたから、明日もこの調子で作業を進めたいと思います。
■15番手)ロジャー・リー・ヘイデン カワサキ 1分24秒325
色々な事がすごく順調でした。
まだバイクの学習は続けていますが、コースに出る度にタイムをあげる事ができていますし、それが目標だったので今はとても嬉しいですね。
全体的に見て初日はうまくいったと思っていますし、明日以降に向けてバイクを改善するアイデアもいくつかあります。ずっとチャタリングが少し出ていますので、それらの小さな問題をいくつか解決すれば、もっとタイムは上げられると思います。
クルーとの仕事にも慣れてきました。彼らの仕事は素晴らしいし、すごく自分を歓迎するムードを作ってくれています。今日はすごく楽しめましたので、後は他の人のやり方ではなく、自分流の作業の進め方をしていきたいと思います。
■16番手)アレックス・バロス ダンティーン 1分24秒457
今日は簡単にはいかない1日でした。
手がすごく痛くて、うまくバイクに乗る事ができていません。今日は痛み止めを打たずに走ってみましたが、やはり痛みが激しすぎて無理でした。
先週よりも手の具合が良くなっているのは確かですが、普段通りに乗るのが難しい事は良く分かりましたし、その影響でタイムも出せませんでした。
バイクの仕上がりに関しては満足しています。いいセッティングとタイヤを見つけましたし作業もはかどりました。この怪我がなければもっといい結果だった事は間違いありませんね。
いずれにしても、明日はセッションの始まる前に痛み止めの注射を打って、苦痛を和らげておきたいと思います。レースには自信がありますが、それまでに大きく改善を進める必要はあります。
■18番手)中野真矢 コニカミノルタ・ホンダ 1分24秒850
今日の最終的な結果にはとてもがっかりしています。ただ、今日は基本的なセッティングに時間を費やした事を考えれば、それほど心配はいらないのかもしれません。それに恐らく、午後はセッティングが少し間違った方向に進んでしまったんだと思います。
今年のアスファルトは去年よりも少し良くなりました。でこぼこも減っています。ただ、全体的にはまだほどほどといった感じですね。もちろん、これは誰にとっても同じ条件ですが。
まだ明日は大丈夫だと思います。明日はいいミッションのセッティングが見つけられるように取り組みを続ける事になります。
●コニカミノルタ・ホンダ・チームオーナー:ジャンルカ・モンティロン
今日の結果はあまり良くありませんが、明日には改善します。
午前の最初のプラクティス・セッションの間はまだいい状態でしたが、午後は他のチームが飛躍的に改善を進める中、自分たちの進歩は大きくありませんでした。
現段階において私たちのマシンはホンダの標準仕様ですが、ライバルたちはいくつか新しいパーツを投入して高いレベルに進んでいます。
今日の私たちのプラクティスへの取り組み姿勢は若干用心深すぎたようです。チームはシンヤがもっと早いうちからリズムをつかんでいいタイムを記録できるように、サポートしていく必要があります。
気温などの条件は誰にとっても同じですから、その中で戦えるようにしていくべきです。明日は予選の日というだけではなく、シンヤがレースで戦えるマシンを仕上げる期限という意味で一番重要なんです。
明日は最後の30分までシンヤが好タイムを残せるように頑張ります。それに今日はライバルのいくつかのチームは何本かソフトタイヤを試して私たちよりもいいタイムを記録した事も知っています。
●コニカミノルタ・ホンダ技術責任者:ジュリオ・ベルナルデッレ
全体的に温度が予想よりもだいぶ低かったですね。
陽射しはありましたが強い風の影響により、前回のドイツよりも、また去年のここでの実績よりも路面温度が低くなりました。
もっと高い温度を期待していましたし、いくつかの区間では温度の差が激しかったようです。全てのライバルたちも同じ条件を克服しなければいけませんが、基本的に私たちはもっとフロントとリアのグリップが得られるようにする必要がります。
今はミッションのセッティングを何度も調整しながら、ここのコースに最適と言えるセッティングを探っています。午後には2速と3速のギアを変更していますが、これからさらにシンヤと議論しながら煮詰めていきます。
■19番手)ミゲール・デュハメル ホンダ・グレッシーニ 1分25秒550
RC212Vに対する第一印象はものすごく良かったです。
今回は本当に自分にとっていい経験ができています。学ぶ事は多くありますが、すでに進歩はありますし、走る度に改善は進んでいます。今はもう夢中って感じですね。チームの仕事ぶりも大変に素晴らしいです。
■20番手)チャズ・デイビス ダンティーン 1分26秒459
何と言ったらいいか自分でも良く分かりませんし、とにかく驚いています。
こんな事が起きるなんて夢にも思いませんでした。現時点における最高のバイクとタイヤに乗れるチャンスなんて、誰にである事ではありません。このコースを走るのもMotoGPバイクに乗るのも初めてですが、プラマック・ダンティーン・チームからこの提案を受けた時に到底断る事なんてできませんでした。人生の中で一度きりのチャンスですからね!
チームの関係者が自分のところにやってきた時は、午後のセッションが始まる僅か30分前でした。話を聞いても最初は何の事やら理解不能でしたが、ホフマンが転倒した事を思い出し、それからやっと何の話か理解できました。
こんな機会に恵まれて本当に嬉しいです。プラマック・ダンティーン・チームへの感謝の気持ちを伝えるのと同時に、ホフマンが早く良くなる事を祈っています。
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