|
2007年4月28日
先週のイスタンブールサーキットで行われたMotoGPのトルコ・グランプリにおいて、最も大きな成功を収めたメーカーと言えば、3社のMotoGP公式タイヤ・サプライヤーのうちの1つである日本のブリヂストンだ。ここでは、ブリヂストンの2輪スポーツ推進リーダーである山田宏氏のトルコ後のインタビューを、ブリヂストンの公式リリースより紹介したい。
■トップ6を独占、ブリヂストンのトルコでの圧倒的勝利
前回のトルコの日曜日に行われた4月22日の決勝レースでは、ドゥカティーのケーシー・ストーナーが優勝、2位はグレッシーニ・ホンダのトニ・エリアス、3位は優勝したストーナーのチームメイトであるロリス・カピロッシが獲得しており、この3名は揃ってブリヂストンユーザーだ。しかも1位のストーナーと2位のエリアスというシーズン序盤から好調な走りを見せている若手2名は、今年から初めてミシュランからブリヂストンに履き替えたばかりのライダーでもある。
また、この3名による表彰台の独占だけではなく、この日はトップ6に入った全てのライダーがブリヂストンユーザーだった。
さらには、7位のニッキー・ヘイデンと10位のバレンティーノ・ロッシを除けば、完走した16名のうちのトップから11位までがブリヂストンユーザーに占められており、ブリヂストンにとって今回のトルコは、予選が良くてもレースでは常にミシュランに圧倒されるという昨年までの流れを覆す記念すべき勝利となった。
■山田宏ブリヂストン推進リーダーインタビュー
MotoGPへの本格参戦以来となるかつてない大勝利を今回のトルコで手にした後、ブリヂストンの2輪スポーツ推進リーダーの山田宏氏は、ブリヂストンの公式リリース内で以下のインタビューに答えている。
●トルコ・グランプリはブリヂストンライダーの圧勝という結果に終わりましたが、今週末の戦いを山田さんはどのように評価していますか。
イスタンブールはタイヤの性能で私たちが常に苦しんできたサーキットですから、今回のレースウイークに関する予想は、決勝当日の朝の段階でも現実的であり、楽観視するという事はありませんでした。
今回初めて表彰台のトップ3を全て独占した事と、私たちのタイヤを履く多くのライダーがあの熾烈なバトルでいい戦いを見せてくれた事を非常に誇らしく思いましたし、私たちにとってのここまでのMotoGPの活動における最高の場面であった事は間違いありません。
●昨年の苦しい戦いを経験したブリヂストンは、今年はどのような部分の性能向上に焦点を置いたのでしょうか。
以前に直面した最大の問題は、十分なグリップ力と耐久性を提供できない事でした。あそこのアスファルトは非常に表面がなめらかで摩擦係数が低く、その理由からタイヤの性能を上げる事ができずにずっと苦しんでいたんです。
冬季シーズン中はその部分に深く焦点をあててきましたが、トルコの結果からも作業は良い方向性に進んでいる事が確認できました。
もちろん、イスタンブルーのレースの結果にはそれ以外の要因が働いている事も理解しています。例えば、新しいタイヤレギュレーションの影響ですとか、オープニングラップの事故でライバルのタイヤを履く2名のライダーが不幸にしてリタイアした事もそうです。
しかしながら、全体的に見て私たちの競争レベルが高くなった事と、今回の素晴らしい結果は喜ぶべき事だと考えています。
●レースウイーク中にイスタンブールのコースで何か特別な問題を抱えたような事はありましたか。
予選の結果を見てもらえば分かりますが、まだQタイヤ(予選タイヤ)についてはライバルと同じレベルで戦うには今後も多くの取り組みが必要です。
トルコには新しいリア用の予選タイヤを持ち込み、これは大変に高い性能を示しましたが、まだ私たちのライダーが1列目を確保するのに十分な性能とは言えませんでした。ただ、トルコでのレース後のテストでは、予選タイヤに関する性能の向上が見られましたから、これは次戦の中国で効果を発揮する筈です。
その他には、今回のレースウイークを通してタイヤの耐久性についてはずっと不安を持っていました。フリー・プラクティスだけでは十分にレースシミュレーションを行う事ができていませんでしたからね。
プラクティス中は多くの周回を重ねた時でもいいラップタイムを記録していましたが、コースの路面コンディションは毎回良くなってきていたので、本当の意味でタイヤの一貫した性能を評価するのは難しい状態でした。
結果としては、タイヤは最後まで良く持ってくれて、22周のレースを通していいペースを維持する事ができたと思います。私たちの殆どのライダーはレース終盤に自己ベストを記録していますし、クリス・バーミューレンは残り2周の段階でレース中のファーステストを記録しましたからね。また、彼の記録した1分54秒026は、今回のレースウイークを通してのレースタイヤでの最速ラップなんですよ。
●今年のブリヂストンタイヤは開幕からの3レースを通して高い性能を発揮できていますね。これはケーシー・ストーナーのカタールとトルコの勝利にも貢献していると思います。また、この2つのサーキットは過去にブリヂストンが一度も勝利していなかった場所ですが、ここまでの結果からも、ブリヂストンは年間カレンダーの全てのサーキットに対して自信を持てるようになったと言えるのでしょうか。
以前は大変に苦しい思いをしたサーキットですから、カタールとトルコでの勝利はブリヂストンにとって大きな意味のあるものでした。私たちはタイヤの開発を継続的に積み重ねて真剣に行っていますし、同時に過去のシーズンで学んだ事をプラクティスの中に反映しながら、実戦するようにしています。
今後の戦いに勝利が保証されたと思う事など決してあり得ません。今期のMotoGPは非常に競争が激しいシーズンですし、新しいタイヤレギュレーションの影響からミスの許される範囲が非常に小さくなりましたからね。
中国も前回と同じく難しいサーキットの1つですが、去年はスズキのジョン・ホプキンスが4位を獲得していますので、今年はレースでブリヂストンを履くライダーたちを表彰台に送り込む手助けができるのではないかと期待しています。
|
|