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バルセロナ合同テスト、2月19日から4日間の作業内容 |
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2008年2月27日
2008年シーズン開幕に向けての年明け後6回のプレシーズン合同テスト(バーレーンなど数チームによる単独テストを除く)のうち、第5回目となるバルセロナ合同テストが、スペインのカタルニア・サーキットにて2月19日から22日までの4日間の日程で行われた。
ここでは、この2月19日からの4日間のバルセロナでの合同テストに参加した合計6チームのテスト概況、ならびに走行結果などを紹介する。
■6チームが参加した第5回目のプレシーズン合同テスト
今回の年明け第5回目のプレシーズンテストとなるバルセロナ合同テストには、フェラーリ、マクラーレン、ルノー、ウィリアムズ、トヨタ、レッドブルの6チームが参加しているが、4日間のうちにそれぞれ参加した日取りは各チームごとに異なる。
具体的には、ルノー、ウィリアムズ、トヨタ、レッドブルの4チームは初日の2月19日(月)から21日(水)までの3日間のテストを実施しており、フェラーリは参加初日を1日遅らせて2月20日(火)から22日(木)までの3日間のテストを実施、マクラーレンは2月21日(水)の1日のみテストを行った。
■スーパーアグリは参加予定のテストを次々とキャンセル
なお、当初は今回のテストにはスーパーアグリF1チームも参加する予定だったが、資金面や体制など、チーム内の2008年シーズンに向けての課題がクリアできていない事から今回の第5回合同テストは見送っており、続く2月25日からの同じくバルセロナで行われるプレシーズン最終回の合同テストへの参加も見送る予定だ。
■ウィリアムズの年明け5回目のロゴテーマは「チームの歴代チャンピオン」
開幕戦のメルボルンまではチームの車両に配置される2008年度のロゴなどを公表せず、今年のプレシーズン中の6回のテストはそれぞれに別々のロゴテーマを用意する予定のウィリアムズだが、5回目となる今回のバルセロナには、ウィリアムズの歴代チャンピオンの手書きのメッセージを配したFW30を持ち込んでいる。
■7名の元チャンピオンからチームに贈られた手書きのメッセージ
今回のマシンに向けてメッセージを贈ったウィリアムズの歴代F1チャンピオンは、アラン・ジョーンズ、ケケ・ロズベルグ、ネルソン・ピケ、ナイジェル・マンセル、アラン・プロスト、デーモン・ヒル、ジャック・ビルヌーブの7名であり、FW30の濃紺のボディーの上にはこのチャンピオンたちの手書きコメントが白文字で記されている。
その内容を紹介すると、ウィリアムズの初代チャンピオンであるアラン・ジョーンズは「私が最初だった」、赤文字のカーナンバー5で有名だったナイジェル・マンセルは「素晴らしい28回の勝利、レッドファイブ」、ウィリアムズの現在の正ドライバーであるニコ・ロズベルグの父親としても知られるケケ・ロズベルグは「素晴らしい4年間に感謝」、1993年のウィリアムズでの優勝を最後に現役引退を宣言したアラン・プロストは「チームに深く感謝している。F1での最後の1年を君たちと共に勝てて光栄だった」、最も近年のチャンピオンであるジャック・ビルヌーブは「素晴らしい3年間と勝利に感謝」とのメッセージを書き記している。
■アイルトン・セナなど過去30年間にチームに加わったドライバーの一覧も
また、今回の車両にはこの7名のメッセージ以外にも、過去30年を誇るウィリアムズの歴代のドライバー31名の名前が記されており、最近のドライバーでは現ホンダのジェンソン・バトン、ファンパブロ・モントーヤ、現レッドブルのデビッド・クルサードなどの名前があり、他にはアイルトン・セナ、マリオ・アンドレッティなど、F1史上に残るビッグネームをその中に見つける事ができる。
■バルセロナ合同テスト4日間の総合順位
以下に、2月19日からの4日間のテスト期間内にバルセロナのカタルニア・サーキットにてテスト走行を行った各ドライバーの走行結果(期間内自己ベスト順)を示す。
1) フェリペ・マッサ BRA フェラーリ F2008 1分20秒508
2) ルカ・バドエル ITA フェラーリ F2008 1分21秒808
3) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ FW30 1分22秒153
4) ヘイキ・コバライネン FIN マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分22秒185
5) ペドロ・デ・ラ・ロサ ESP マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分22秒208
6) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分22秒248
7) マーク・ウェバー AUS レッドブル RB4 1分22秒477
8) デビッド・クルサード GBR レッドブル RB4 1分22秒499
9) フェルナンド・アロンソ ESP ルノー R28 1分22秒657
10) ティモ・グロック GER トヨタ TF108 1分22秒901
11) ネルソン・ピケ BRA ルノー R28 1分23秒286
12) 小林可夢偉 JPN トヨタ TF108 1分24秒132
13) ニコ・ヒュルケンベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分24秒222
14) ヤルノ・トゥルーリ ITA トヨタ TF108 1分32秒571 ※ウェット
■今回のテストの大半は悪天候
今回の合同テスト前半は悪天候に見舞われており、2月19日と20日の2日間は終日の雨と低温路面の悪条件によりほとんどのチームは作業内容の変更を強いられており、限りのある年間のテスト走行距離を節約してガレージ内の作業やピット作業まわりの訓練を中心的に実施したようだ。
多くのチームにとって最終日となった3日目の2月21日には、午後にやっとドライ路面が得られた事から、各チームは前日までの2日間の遅れを取り戻すべく走行距離を増やし、新型パーツの検証やマシンのバランス改善などに慌ただしく取り組んでいる。
■テスト開始を1日遅らせたフェラーリだけは終日ドライの最終日
合同テスト最後の4日目、この日にテストを行ったのはフェラーリの1チームだが、日程を1日ずらした事から幸運にもフェラーリにとっての最終日は終日の良好なドライ路面となり、フェラーリの2名のドライバーはレースウイーク・シミュレーションを実施する中でこの4日間の最速タイムを余裕で叩き出す事ができた様子だ。
■1日単位の各チームの走行結果とテスト内容
以下に、2月19日から2月22日までの1日単位の走行結果と各チームのテスト内容などを紹介する。
■テスト1日目、2月19日の各チームの作業内容とタイム
初日の2月19日(月)は、今回のテスト期間内では最も悪条件の1日となっており、カタルニア・サーキットは終日雨が降ったりやんだりの不安定で低い路面温度に見舞われている。この日はルノー、ウィリアムズ、レッドブル、トヨタの4チームがテストを行ったが、どのチームも予定通りの作業を進める事はできなかった様子だ。
気温13度の終日ウェット・コンディションの中で行われたテスト1日目、2月19日の走行結果は以下の通り。
1) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分30秒675(73周)
2) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ FW30 1分32秒370(96周)
3) マーク・ウェバー AUS レッドブル RB4 1分32秒599(27周)
4) フェルナンド・アロンソ ESP ルノー R28 1分32秒820(16周)
5) デビッド・クルサード GBR レッドブル RB4 1分32秒924(23周)
6) ヤルノ・トゥルーリ ITA トヨタ TF108 1分33秒283(57周)
7) ネルソン・ピケ BRA ルノー R28 1分40秒073(8周)
-) 小林可夢偉 JPN トヨタ TF108 -分-秒-(1周)
■悪天候の中で走行距離を伸ばしたウィリアムズは初日のワンツー
1日目のタイムシート上のワンツータイムを記録したウィリアムズのニコ・ロズベルグと中嶋一貴選手は、他のチームが走行距離を節安する中でそれぞれに73周回と96周回という走り込みを行い、FW30の耐久性能を検証している。ウィリアムズのテスト・チームの責任者を務めるディッキー・スタンフォードは、「耐久性検証のための走り込みとセッティング作業に集中した」と説明。
■大半の作業予定を延期したレッドブル、クルサードは壁に軽く衝突
マーク・ウェバーが3番手タイム、デビッド・クルサードが5番手タイムを記録した初日のレッドブルは、チームとして「低温の路面と悪天候のために無駄な1日となった。走行距離を節約する事に決め、2名のドライバーはスタート練習などを行っている」と、この日の内容について説明している。なお、この日にクルサードは7コーナーから8コーナーの区間にかけて壁に衝突しているが、マシンのダメージは小さく短時間の修理を経て再びコースに復帰する事ができたという。
■ルノーF1チーム「役にたたない1日」
フェルナンド・アロンソが初日の4番手タイム、ネルソン・ピケが7番手タイムを記録したINGルノーF1チームも、この日は悪天候のために限られた範囲の走行と作業しかできなかった様子だ。ドライバー2名とルノーF1チームのチーフ・テスト・エンジニアを務めるクリスチャン・シルクは「ウェットに関するデータ収集と濡れた路面でのマシンバランスの調整作業を行う事ができたが、あまり役にたたない1日だった」とコメントしている。
■トヨタは新型エアロパーツの性能検証を延期
正ドライバーのヤルノ・トゥルーリが6番手タイムを記録、テスト・ドライバーの小林可夢偉選手は午前中にインストレーション・ラップを行うのみとなったパナソニック・トヨタF1チームは、この日はTF108の新型エアロパーツの性能検証を行う予定になっていたが、あいにくの天候のために予定通りに作業を進める事はできなかったとしている。初日は1周のみの走行となった小林選手は「午前にインストレーション・ラップを行い、その後はずっと天気が良くなるのを待つ1日だった。テストでの走行距離には制限があるので、結局今日はそれを節約する事になった。いずれにしても、昨日のインドネシアからの長旅に疲れた身体を回復する事はできた」とコメント。
■テスト2日目、2月20日の各チームの作業内容とタイム
テスト2日目の2月20日、翌日の天候回復に期待を寄せていた初日から参加の4チームにとっては、この日も期待はずれの1日となったようだ。2日目も午前中は初日に引き続き雨となり、午後に若干雨は弱まったものの、最後まで路面が乾く事はなかった。なお、この日からはフェラーリがテストに合流し、参加チームの合計は5チームとなっている。
以下に、気温は11度から12度、路面温度は11度から13度、終日ウェットとなったテスト2日目の走行結果を示す。
1) フェリペ・マッサ BRA フェラーリ F2008 1分30秒673(40周)
2) マーク・ウェバー AUS レッドブル RB4 1分31秒213(43周)
3) ルカ・バドエル ITA フェラーリ F2008 1分31秒288(33周)
4) デビッド・クルサード GBR レッドブル RB4 1分31秒654(44周)
5) フェルナンド・アロンソ ESP ルノー R28 1分31秒731(28周)
6) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分31秒963(97周)
7) ティモ・グロック GER トヨタ TF108 1分32秒407(33周)
8) ヤルノ・トゥルーリ ITA トヨタ TF108 1分32秒571(46周)
9) ニコ・ヒュルケンベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分33秒102(53周)
-) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ FW30 -分-秒-(33周)
-) ネルソン・ピケ BRA ルノー R28 -分-秒-(1周)
■2日目から参加のフェラーリ勢は早めに作業を終了
正ドライバーのフェリペ・マッサがこの日のトップタイム、テスト・ドライバーのルカ・バドエルが3番手タイムを記録したフェラーリ勢は、今回マッサだけは改良型エアロパーツを搭載したF2008で走行、バドエルは標準仕様のエアロを使用して空力性能の評価テストを行ったが、結局悪天候のために走行距離を節約して早めにこの日の作業を終えている。
■レッドブルは予定のレースウイーク・シミュレーションを中断
マーク・ウェバーがマッサに続く2番手タイム、デビッド・クルサードが4番手タイムを記録した2日目のレッドブルは、この日も悪天候のために予定を大きく変更する事になった様子だ。2日目はプラクティス3と3回の予選、ならびに全レース周回の走行という1連のレースウイーク・シミュレーションを実施する予定だったレッドブルだが、この日はプラクティス3と2回の予選のみでシミュレーションを中断、その後はピットストップの作業練習にのみ時間を費やしている。
■アロンソ「ウェットを学ぶいい機会」、ピケ「フラストレーションがたまる」
フェルナンド・アロンソが5番手タイムを記録、ネルソン・ピケはインストレーション・ラップの1周のみしか行わなかったルノーF1チームは2日目も朝からの雨に悩まされ、午後に路面状況が少し改善されるまでは本格的な走行は行わず、1日の大半をガレージ内でのシステム・チェックや、レースウイークを想定したピット・クルーの作業練習に費やしている。なお、ウェットの中を28周走行したアロンソは「ウェット路面でのトラクションコントロールなしの車の挙動を学ぶいい機会にはなった」と前向きなコメントを残したが、ピケは「2日間も天候が良くなるのを待ち続けるのは辛い。今日は1周のみしかできていないので、かなりフラストレーションがたまっている」と、作業が進まない事への憤りを語った。
■予定を変更してピット作業に集中した2日目のウィリアムズ
ニコ・ロズベルグが6番手タイム、ニコ・ヒュルケンベルグが9番手タイムを記録し、中嶋選手はタイムアタックらしい走行を行わなかったウィリアムズは、この日も悪天候のために開発作業は進まず、主にピットストップの練習をチームと両ドライバーのために40回ほど実施している。テスト・チーム・マネージャーのディッキー・スタンフォードは「2日目も雨のために1日が台無しだった」とコメントした。
■トヨタも走行距離を節約、トゥルーリ「来週は晴れて欲しい」
2日目から参加したティモ・グロックが7番手タイム、ヤルノ・トゥルーリが8番手タイムを記録したこの日のトヨタF1チームは、午前中は悪天候のために走行距離を節約し、午後に気象条件が若干改善されてからトゥルーリが新型エアロパーツのセッティング作業に取り組み、グロックはエクストリームと標準の両ウェットタイヤを使用して短めのロングランを行っている。この日をもってテストを終えたトゥルーリは「ウェットでのマシンの挙動を理解するためのデータ収集を今日は行った。良かった点はウェットタイヤの温度変化について学べた事。来週のテストはいい天候になって欲しい」とコメント。
■テスト3日目、2月21日の各チームの作業内容とタイム
フェラーリ以外の全てのチームにとってテスト最終日となる3日目の2月21日、この日の朝もウェット・コンディションに見舞われたが、正午過ぎにはようやく路面が乾き始めた事から、ドライ・コンディションでの走行を待ち望んでいた各チームは一斉に午後のコースに出て慌ただしく前日までの2日間に中断していた作業に取り組んだようだ。
なお、3日目だけはボーダフォン・マクラーレン・メルセデスもテストに参加した事から、この日は合計6チームが、翌週のプレシーズン最後の合同テストと開幕レースウイークに向けての開発作業を進めている。
気温は10度から18度、路面温度は10度から25度まで上昇し、午後にドライ・コンディションとなった2月21日、テスト3日目の走行結果は以下の通り。
1) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ FW30 1分22秒153(32周)
2) ヘイキ・コバライネン FIN マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分22秒185(64周)
3) ペドロ・デ・ラ・ロサ ESP マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分22秒208(92周)
4) フェリペ・マッサ BRA フェラーリ F2008 1分22秒213(96周)
5) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分22秒248(109周)
6) マーク・ウェバー AUS レッドブル RB4 1分22秒477(82周)
7) デビッド・クルサード GBR レッドブル RB4 1分22秒499(104周)
8) ルカ・バドエル ITA フェラーリ F2008 1分22秒535(102周)
9) フェルナンド・アロンソ ESP ルノー R28 1分22秒657(61周)
10) ティモ・グロック GER トヨタ TF108 1分22秒901(109周)
11) ネルソン・ピケ BRA ルノー R28 1分23秒286(105周)
12) 小林可夢偉 JPN トヨタ TF108 1分24秒132(56周)
13) ニコ・ヒュルケンベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分24秒222(54周)
■3日目のトップタイムは中嶋選手
3日目に中嶋一貴選手がトップタイム、ニコ・ロズベルグが5番手タイム、ニコ・ヒュルケンベルグが13番手タイムを記録したウィリアムズは、気象条件が改善されたこの日からやっと本格的なシャシー・セッティングに集中できたとしている。
■中嶋選手「ウェットの経験を積む事はできた」、ロズベルグ「常に限界走行」
トップタイムを記録した中嶋選手は「天候が悪く厳しいテストだったがウェットの経験を積む事ができたのは良かった。車の感触も悪くない。天気のせいであまり思い通りに作業は進まない3日間だったが、いずれにしても全体的に見ればいいテストだった」とコメントし、ロズベルグは「天候が難しく、トラクションコントロールもないのでずっと限界走行だった。でも信頼性に関する大きな課題を解決する事ができたし新車の改善は順調に進んでいるので満足」と述べ、悪天候に悩まされた3日間の作業を振り返った。
■マクラーレンは新型エアロパーツの開発作業に集中
この日のみテストに参加し、正ドライバーのヘイキ・コバライネンがトップの中嶋選手に次ぐ2番手タイム、テスト・ドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサがそれに次ぐ3番手タイムを記録したマクラーレン・チームは、2名が揃って新型エアロパーツの開発作業に集中し、多くのデータを収集できたとしている。
■フェラーリは新型パーツ類の開発作業
正ドライバーのフェリペ・マッサが4番手タイム、テスト・ドライバーのルカ・バドエルが8番手タイムを記録したフェラーリ勢は、天候が回復したこの日の午後にF2008の耐久性能の検証、電子制御まわりのセッティングテスト、ならびに新型エアロパーツの開発作業を忙しく行ったようだ。
■レッドブル、クルサードには好調な1日、ウェバーはコース上にストップ
マーク・ウェバーが6番手タイム、デビッド・クルサードが8番手タイムを記録した3日目のレッドブルは、ウェバーが小さなマシントラブルに見舞われてコース上でストップする事になったが、ガレージ内での修理を経て再びコースに復帰する事はできている。なお、クルサードはこのチームメイトのトラブルが原因となったレッドフラッグの提示により走行を中断させられているが、終日順調に作業を進める事ができたという。
■イアン・モーガン「レースクルー全員が集結した貴重な3日間」
レッドブルのチーフ・テスト・エンジニアを務めるイアン・モーガンは「悪天候ではあったが、チームにとって有益な3日間だった。レースクルーの全員が集結してのテストは今年初めてだったし、メルボルンに向けて全員が素晴らしい動きを見せてくれた」と3日間のテストについての所感を述べた。
■ルノーはセッティング改善とレースシミュレーションを実施
フェルナンド・アロンソが9番手、ネルソン・ピケが11番手タイムを記録した3日目のルノーF1チームは、この日は待ちに待ったドライ・コンディションが得られた午後に慌ただしく作業を行い、アロンソはセッティング作業に集中、ピケは午後にレースシミュレーションを完了する事ができたとしている。
■アロンソ「車の性能には満足」、ピケ「車の性能面での理解を深めた」
今回のテストを終えたアロンソは「今日も路面状況は理想的とはいかなかったが、それでも路面は終日安定していたし、希望通りのテストを進めるのには十分だった。セッティングに若干の変更を加えてテストしたが、車の性能と挙動には満足」とコメント、2日目までの悪天候に落胆していたピケは「やっと1日中テストができる天気になった。コースのコンディションは悪くなかったし、午前中は車の性能面についての学習を進める事ができた。午後はロングランとピットストップを含むレース・シミュレーションを行ったが順調だったし、車は高い安定性を示してくれた」と、最終日の内容に満足するコメントを残した。
■クリスチャン・シルク「忙しい3日目だった」
また、ルノーのチーフ・テスト・エンジニアを務めるクリスチャン・シルクは、今回のテスト内容を振り返り、「1日限りのドライ路面となったので、できる事を片っ端からやる忙しい1日だった。車のバランスには満足。信頼性に関しては小さな数点の問題が発生しただけ。今でもネルソンに関しては走り込みを続けて車に慣れる事が最優先課題。フェルナンドは通常のセッティング作業に集中してもらった。いずれにしても天候のせいでフラストレーションのたまる3日間だったので、来週のテストの時はいい天気になって欲しい」と現在までのチームのテスト状況について説明している。
■トヨタは予定していたエアロパーツの性能検証を最終日に実施
正ドライバーのティモ・グロックが10番手タイム、テスト・ドライバーの小林可夢偉選手が12番手タイムを記録したトヨタF1チームは、今回のチームの最大の目標であったTF108の新型エアロパーツの性能検証を、ティモ・グロックの100周回の走行を通してこの3日目にやっと行う事ができた様子だ。また、これと並行して小林選手はエンジンと冷却系システムの性能検証を実施し、有益なデータを収集する事ができたとしている。
■グロック「まだバランス改善が必要」、小林選手「来週のテストが楽しみ」
今回の全てのテスト作業を終えたグロックは「今日はエアロ関係の多くの作業を行い、ファクトリーに提供する上でいいデータを収集できたと思う。全体的に作業ははかどったが、まだロングランでの車のバランス改善には取り組む必要がある」とTF108の課題についてコメントし、小林選手は「午前は路面が乾くのを待つ事にした。午後には忙しくなり、エンジンと冷却系システムを含むセッティング作業を行ったが、作業は全てうまくいった。いいデータを集める事ができたので、次週の最後のプレシーズンテストが今から楽しみ」と述べた。
■ディーター・ガス「今回のデータを持ち帰って今後の方向性を決定」
また、トヨタのチーフ・エンジニアを務めるディーター・ガスは、今回のバルセロナでの3日目のテストを終えて、「今日はドライになったのでやっと新型のエアロパッケージに作業を集中する事ができた。レッドフラッグに何度も中断される難しい1日だったが、ティモの車は今回のテストで計画していた当初の予定通りの目標に辿り着く事ができた。可夢偉も今日の予定のメニューを全てこなして有益なデータを収集してくれている。これからそれらのデータを持ち帰って分析し、来週のテストで進むべき方向性を見つけなければならない。次週は両方の車が新しいエアロパッケージを装着するので、改善を効率的に進める事ができる筈」と次回のテストに向けての方針を説明している。
■テスト4日目、2月22日の作業内容とタイム
ここまでのテストに参加した5チームが去り、フェラーリの1チームだけが残った4日目のカタルニア・サーキットは、前日までの3日間が嘘のように晴れ渡り、良好なドライ路面に終日恵まれている。
以下に、気温は11度から21度、路面温度は12度から24度まで上昇、ドライ・コンディションに恵まれたテスト4日目の2月22日、バルセロナでの走行結果を示す。
1) フェリペ・マッサ BRA フェラーリ F2008 1分20秒508(95周)
2) ルカ・バドエル ITA フェラーリ F2008 1分21秒808(75周)
なお、この日は4日間の中での唯一の理想的と言える完全ドライの走行条件に恵まれた事から、今回のフェラーリの2名のタイムがテスト期間を通しての総合ワンツータイムとなっている。
■最高のテスト日和に恵まれたフェラーリ勢は悠々とレースシミュレーション
フェリペ・マッサとルカ・バドエルのフェラーリ勢2名は、この日の良好な走行条件を利用してレースウイーク・シミュレーションを実施しており、フリー・プラクティス3から3回の予選、ならびに全レース周回の走行という一連のグランプリ演習を行った。なお、フェリペマッサはこのフルシミュレーションを最後まで走りきる事に成功しているが、バドエルはレース・シミュレーションの最終スティントを走行中にオイル漏れが発生しており、このシミュレーションを最後まで終わらせる事はできなかった。
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