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2008年2月17日
スペインのヘレス・サーキットにて2月11日から4日間、フェラーリとトヨタを除くF1全チームによる合同テストが行われている。ここでは、各チームが強風と砂に苦しむ事になった2月ヘレスF1合同テスト4日間の結果と内容を紹介する。
■初日は2チーム、残りの3日間は合計9チームが参加
今回のヘレス合同テストには、初日の2月11日はレッドブルとウィリアムズの2チームのみ、その翌日以降の3日間はバーレーンでテストを2月11日まで行っていたフェラーリとトヨタの2チームを除く合計9チームが参加している。
■トロ・ロッソとスーパーアグリ以外のチームは新型2008年車両
なお、ほとんどのチームは2008年シーズンに向けての新型車両を今回のヘレスまでに投入しているが、開幕までにSTR3の開発が間に合わない事が判明しているトロ・ロッソと、2月19日に予定していたSA08の公式発表を延期したスーパーアグリの2チームは、2007年型車両をベースにしたテスト専用マシンをここでも使用している。
■強風の悪条件に苦しんだ各チーム
今回の4日間のテスト期間を通してスペインのヘレス・サーキットは晴天のドライ・コンディションには恵まれたが、2日目と3日目は強風とアスファルト上の砂に多くのチームが悩まされており、その日に予定していたエアロパーツの評価検証を4日目の最終日に持ち越すチームが続出している。
■次回以降のテスト日程と参加チーム
ここまでに判明している次回以降のテスト予定だが、BMWザウバーは2月19日からバレンシアにて3日間のプライベートテスト、同じく2月19日からルノー、ウィリアムズ、スーパーアグリ、トヨタ、ホンダ、フェラーリの6チームはカタルニア・サーキットにて3日間の合同テスト(フェラーリのみ2月20日から3日間)、さらに2月25日からの3日間はF1全チームの参加が予定される開幕前の最後の合同テストが再びカタルニア・サーキットにて行われる。
■2月ヘレス合同テスト4日間の総合順位
以下に、2月11日から4日間の日程で行われたヘレス合同テストの走行結果を、期間中の各ドライバーの自己ベスト順に示す
1) ヘイキ・コバライネン FIN マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分17秒974
2) デビッド・クルサード GBR レッドブル RB4 1分18秒485
3) マーク・ウェバー AUS レッドブル RB4 1分18秒628
4) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分19秒091
5) ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分19秒102
6) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ FW30 1分19秒117
7) ペドロ・デ・ラ・ロサ ESP マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分19秒287
8) ロバート・クビサ POL BMWザウバー F1.08 1分19秒535
9) ネルソン・ピケ BRA ルノー R28 1分19秒660
10) セバスチャン・ベッテル GER トロ・ロッソ STR2B 1分19秒688
11) フェルナンド・アロンソ ESP ルノー R28 1分19秒710
12) セバスチャン・ボーデ FRA トロ・ロッソ STR2B 1分19秒848
13) ニック・ハイドフェルド GER BMWザウバー F1.08 1分19秒934
14) ジャンカルロ・フィジケラ ITA フォース・インディア VJM01 1分20秒669
15) ジェンソン・バトン GBR ホンダ RA108 1分20秒988
16) アンソニー・デビッドソン GBR スーパーアグリF1 SA07B 1分21秒010
17) ニコ・ヒュルケンベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分21秒116
18) ルーベンス・バリチェロ BRA ホンダ RA108 1分21秒133
19) ルーカス・ディ・グラッシ BRA ルノー R28 1分21秒200
20) 佐藤琢磨 JPN スーパーアグリF1 SA07B 1分21秒376
21) ビタントニオ・リウッツィ ITA フォース・インディア VJM01 1分21秒553
22) アレックス・ブルツ AUT ホンダ RA108 1分21秒605
23) エイドリアン・スーティル GER フォース・インディア VJM01 1分22秒244
■1日単位の気象条件と走行結果
ヘレス合同テスト期間内の1日単位の気象条件と走行結果は以下の通り。
●1日目(2月11日:月曜日)レッドブルとウィリアムズの2チームのみの事前テスト
1) デビッド・クルサード GBR レッドブル RB4 1分20秒645(-周)
2) マーク・ウェバー AUS レッドブル RB4 1分20秒798(-周)
3) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ FW30 1分20秒831(97周)
4) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分20秒945(95周)
●2日目(2月12日:火曜日)気温8〜20度、路面温度9〜27度、晴天、終日ドライ、午後に強風
1) ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分19秒102(89周)
2) ペドロ・デ・ラ・ロサ ESP マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分19秒287(88周)
3) ロバート・クビサ POL BMWザウバー F1.08 1分19秒539(91周)
4) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ FW30 1分19秒601(93周)
5) ネルソン・ピケ BRA ルノー R28 1分19秒660(120周)
6) ニック・ハイドフェルド GER BMWザウバー F1.08 1分19秒958(94周)
7) マーク・ウェバー AUS レッドブル RB4 1分20秒013(113周)
8) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分20秒029(125周)
9) セバスチャン・ベッテル GER トロ・ロッソ STR2B 1分20秒105(50周)
10) デビッド・クルサード GBR レッドブル RB4 1分20秒176(111周)
11) セバスチャン・ボーデ FRA トロ・ロッソ STR2B 1分20秒418(82周)
12) ルーベンス・バリチェロ BRA ホンダ RA108 1分21秒133(75周)
13) ルーカス・ディ・グラッシ BRA ルノー R28 1分21秒200(92周)
14) 佐藤琢磨 JPN スーパーアグリF1 SA07B 1分21秒400(90周)
15) ビタントニオ・リウッツィ ITA フォース・インディア VJM01 1分21秒553(103周)
16) アレックス・ブルツ AUT ホンダ RA108 1分21秒950(86周)
●3日目(2月13日:水曜日)気温12〜20度、路面温度12〜24度、晴天、終日ドライ、正午前から強風
1) マーク・ウェバー AUS レッドブル RB4 1分18秒628(72周)
2) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分19秒091(98周)
3) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ FW30 1分19秒215(91周)
4) フェルナンド・アロンソ ESP ルノー R28 1分19秒710(104周)
5) ロバート・クビサ POL BMWザウバー F1.08 1分19秒829(116周)
6) ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分19秒857(68周)
7) デビッド・クルサード GBR レッドブル RB4 1分19秒883(97周)
8) セバスチャン・ベッテル GER トロ・ロッソ STR2B 1分19秒889(114周)
9) ネルソン・ピケ BRA ルノー R28 1分20秒014(110周)
10) ヘイキ・コバライネン FIN マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分20秒152(84周)
11) ニック・ハイドフェルド GER BMWザウバー F1.08 1分20秒201(109周)
12) セバスチャン・ボーデ FRA トロ・ロッソ STR2B 1分20秒536(76周)
13) ジェンソン・バトン GBR ホンダ RA108 1分21秒147(85周)
14) 佐藤琢磨 JPN スーパーアグリF1 SA07B 1分21秒376(101周)
15) ルーベンス・バリチェロ BRA ホンダ RA108 1分21秒710(58周)
16) エイドリアン・スーティル GER フォース・インディア VJM01 1分22秒244(86周)
●4日目(2月14日:木曜日)気温12〜22度、路面温度12〜28度、午前晴天−午後くもり、終日ドライ
1) ヘイキ・コバライネン FIN マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分17秒974(96周)
2) デビッド・クルサード GBR レッドブル RB4 1分18秒485(107周)
3) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ FW30 1分19秒117(90周)
4) ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン・メルセデス MP4-23 1分19秒429(83周)
5) ロバート・クビサ POL BMWザウバー F1.08 1分19秒535(129周)
6) セバスチャン・ベッテル GER トロ・ロッソ STR2B 1分19秒688(53周)
7) ネルソン・ピケ BRA ルノー R28 1分19秒817(134周)
8) セバスチャン・ボーデ FRA トロ・ロッソ STR2B 1分19秒848(101周)
9) ニック・ハイドフェルド GER BMWザウバー F1.08 1分19秒934(116周)
10) マーク・ウェバー AUS レッドブル RB4 1分19秒980(107周)
11) ジャンカルロ・フィジケラ ITA フォース・インディア VJM01 1分20秒669(86周)
12) ジェンソン・バトン GBR ホンダ RA108 1分20秒988(121周)
13) アンソニー・デビッドソン GBR スーパーアグリF1 SA07B 1分21秒010(103周)
14) ニコ・ヒュルケンベルグ GER ウィリアムズ FW30 1分21秒116(71周)
15) ルーカス・ディ・グラッシ BRA ルノー R28 1分21秒286(73周)
16) アレックス・ブルツ AUT ホンダ RA108 1分21秒605(103周)
■各チームの状況
ヘレス合同テスト期間内の各チームのテスト状況、ならびに関係者のコメントなどを以下に紹介する。
■マクラーレンは最新エアロパーツの空力特性評価が中心
今回のヘレス合同テスト期間中の総合トップタイムである1分17秒974を記録したのは、ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスの2008年度正ドライバー、ヘイキ・コバライネンだった。
マクラーレン・チームは2月12日の火曜日から3日間の日程でテストに参加しており、その初日は正ドライバーのルイス・ハミルトンとテスト・ドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサの2名が、マクラーレン・テクノロジー・センターから到着したばかりの新型パーツをそれぞれのMP4-23に装着して、空力関係の開発作業に集中している。なお、ハミルトンはこの日に合同テスト期間中の総合5番手タイムとなる1分19秒102を記録。
■強風の水曜日はテストメニューを大幅に変更
チームにとってヘレス2日目となる水曜日にはヘイキ・コバライネンがテストに参加、デ・ラ・ロサからMP4-23を引き継ぎハミルトンと共に開発作業に着手している。この2日目にチームはロングランを中心とした耐久性の検証作業を当初の予定としていたが、強風と砂ぼこりによりテストが思うように進まなかったために予定を途中で変更、ハミルトンは最終日の木曜日に行うレース・シミュレーションに向けてのセッティング作業に集中し、コバライネンはショートランを繰り返している。
ヘレス最終日の2月14日木曜日、この日は前日と比較して風が少なくテスト日和となり、新型エアロパーツの評価を中心とした作業を午前中に再開する事ができた様子だ。コバライネンは午前中に予選シミュレーションも実施しており、この中でレースウイークを想定したMP4-23のハンドリング性能を検証する事ができたという。
■ウイットマーシュ「次回のバルセロナで仕上がりを確認したい」
ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスのチーム最高責任者を務めるマーティン・ウイットマーシュは、今回のヘレスでの3日間の作業を終えて、「今週のテストの中心は空力性能の改善。水曜日と木曜日は風が強くて大変だったが、新しいエアロパーツに関するテストは予定通り完了できた。開幕までにまだ合計7日間のサーキットでのテストがあるが、2月最後のバルセロナ合同テストはほとんどのチームが参加するので自分たちの仕上がりを比較評価する上で重要」とコメント。
■レッドブルが総合2番手と3番手タイムを記録
レッドブルの正ドライバー2名は、2月11日の月曜日から4日間を通してテストを実施しており、デビッド・クルサードは今回のヘレス合同テスト期間中の総合2番手タイムとなる1分18秒485、チームメイトのマーク・ウェバーはそれに次ぐ総合3番手タイムの1分18秒628という好タイムを揃って残した。
テスト2日目の2月12日に、クルサードはエアロパーツの開発作業、ウェバーはメカニカル・パーツのセッティング作業に集中し、午後には2名共にロングランを実施しているが、強風のために午後の作業は予定通りには進まなかったという。
テスト3日目は前日よりも風が強く、コース上には砂も舞い上がっており、この日もい前日の午後と同様にあまり価値のあるテストはできなかった様子だ。クルサードは何とか全てのテスト項目を完了しているが、ウェバーは強風のために予定外のピットストップを数回強いられ、計画通りに作業を終える事ができていない。
なお、最終日の2月14日は比較的風が穏やかになったため、チームは前日までの悪条件による作業の遅れを挽回し、2名のドライバーは今回のヘレスで想定していた全ての走行距離を揃って走りきる事ができたという。
■イアン・モーガン「大きなトラブルは一度もなかった」
レッドブルのチーフ・エンジニアを務めるイアン・モーガンは、今回のテスト内容について、「最終日は終日いいテストができたと思う。予定の作業を一通りこなし、計画よりも多くの周回数を走り込む事ができた。3日間を通してエアロとメカニカルのパーツに関する多くの作業を行ったが大きなトラブルは発生していないので、残りのバルセロナでのプレシーズンテストを楽しみにしている」と説明した。
■ウィリアムズはフロントウイングまわりの致命的な問題を初日に解決
ウィリアムズは前回のバルセロナ合同テストにおいて、FW30のフロントウイングのマウントシステムに欠陥が見つかり、2日目午後と最終日の作業を全てキャンセルするという最悪の結果に終わったが、今回のヘレスでは初日となる2月11日の月曜日に問題のマウントシステム改良版の信頼性チェックを行い、全ての問題が解決した事を宣言するに至ったようだ。
■年明け4回目のテーマは過去30年間の数値
今年に入ってから合同テストの度にマシン上に異なるテーマのロゴを持たせているウィリアムズは、今回のヘレスではその4回目として、チームのF1における過去30年間に関係する数字をFW30のボディーに一斉に並べている。
過去30年の走行距離の総計である233,787(キロメートル)、総周回数の49,634、ポイント獲得数総計の2,552.5、表彰台獲得回数の295、ポールポジション獲得回数の125、勝利回数の113、ポール・トゥ・ウインの回数である68、コンストラクターズ年間タイトル獲得数の9、ドライバーズ年間タイトル獲得数の7、他にもレース中のファーステストラップ記録回数、フロントロー獲得回数、ポールポジションの最多連続回数など、非常に細かなチームの過去30年間の記録を示す数値がFW30の濃紺のボディーに刻まれている。
■2日目からは通常の開発作業に戻った正ドライバー2名
初日の月曜日にフロント・ウイングのマウントシステムの検証を行った正ドライバーの2名、ニコ・ロズベルグと中嶋一貴選手は、2日目の火曜日からは本格的なFW30の開発作業を再開、翌日の3日目までこの2名体制のままFW30の様々なセッティングを試している。
最終日の4日目はロズベルグに代わってテスト・ドライバーのヒュルケン・ベルグがテストに加わり、中嶋選手と共にFW30のセッティング作業を中心とした予定のテスト項目を全て終える事ができたようだ。
4日間を通しての総合順位は、1分19秒091を記録したニコ・ロズベルグが総合4番手、1分19秒117の中嶋選手が総合6番手、1分21秒116のヒュルケン・ベルグは17番手だった。
■BMWザウバーはF1.08のバランス改善とエアロパーツの開発作業に集中
2台のF1.08をヘレスに持ち込んだBMWザウバーF1チームは、火曜日の2月12日から2名の正ドライバーがテスト作業を開始し、最終日までにロバート・クビサがテスト期間中総合8番手となる1分19秒535、ニック・ハイドフェルドが総合13番手となる1分19秒934を記録した。
BMWザウバーにとってのテスト初日となる火曜日、2名のドライバーは広範囲に渡るセッティングの比較検証、およびシステムのチェックを行い、チームがF1.08への理解を深める上で必要なデータを多く収集する事ができたとしている。
■水曜日に予定していたロングランは強風のため最終日に延期
翌日の水曜日、チームは大きなメカニカル・トラブルに見舞われる事なく終日の作業を終えているが、強風の悪条件によりエアロパーツのテストと予定していたロングランを行う事はできなかった様子だ。希望通りにタイムを縮める事ができなかった2名のドライバーはこの日にスタートとピットストップの練習を行い、レースウイークを想定したシステムのチェックを実施している。
風が弱まり良好な走行条件に恵まれた最終日の木曜日、2名のドライバーは前日にできなかったロングランを複数回行い、その中でエアロパーツの空力性能評価をこの日にやっと終える事ができたとしている。
■次回はバレンシアでのプライベートテスト
今回のヘレス合同テストではF1.08のバランス改善につながる有益な情報を収集する事ができたとするBMWザウバーF1チームは、次回はバレンシアにおいて2月19日から3日間のプライベートテストを行う予定だ。
■ルノーF1チーム、ピケが3日間を通してテストを担当、アロンソは水曜日のみ
2台のR28の開発作業を火曜日の2月12日から3日間の日程で行ったINGルノーF1チームは、チームにとってテスト初日となる火曜日は正ドライバーのネルソン・ピケとテスト・ドライバーのルーカス・ディ・グラッシの2名、水曜日はフェルナンド・アロンソとピケの正ドライバー2名、最終日の木曜日は初日と同じくピケとディ・グラッシの2名がテストを担当している。
この3日間を通しての各ドライバーの総合順位は、1分19秒660を記録したピケが総合9番手、1分19秒710のアロンソが総合11番手、ディ・グラッシは総合19番手だった。
火曜日の2月12日、ピケは午前中にR28の基本セッティング作業を通してマシン全体のバランス改善に取り組み、午後に行ったロングランでは速いラップタイムを安定して記録している。一方ディ・グラッシは朝に初期セッティングを行い、初めて経験するR28に慣れる事を目的とした走り込みを夕方まで行った。
■アロンソの参加した水曜日は強風の悪条件
翌日の水曜日、この日からヘレス合同テストに参加したフェルナンド・アロンソは、午前中は数回のマシントラブルに苛まれたが、午後には全てのトラブルを解消して新パーツの検証を行う事ができた様子だ。一方ピケはウォームアップラップからグリッドに付きスタート、その後はピットストップを行うなどレースウイーク中のシミュレーションを実施している。
■アロンソ「次回のテストでは性能改善に向けて真剣な取り組みが必要」
なお他のチームと同様に、水曜日は午後の強風のためにルノーF1チームも作業メニューをいくらか変更しており、これについてアロンソは「他のチームもと同じく今日は強風との戦いだった。1日の時間を有効に使えるようにいくつか新しいパーツを検証する事にしたが、その作業が風の悪影響を受ける事はなかったので、今後に役立つ作業にはなったと思う。ただ、2月末のテストではもっと車の性能が上げられるような取り組みが必要」とコメント。また、チーフ・エンジニアのクリスチャン・シルクは「今日は強風のために作業が難しく、予定していたセッティング作業を全て終わらせる事はできなくなったが、代わりにブレーキのテストを行う事はできた」と説明した。
最終日の木曜日は初日と同じくピケとディ・グラッシの2名がテストを担当。ピケは前日に引き続きピットストップの練習やレース2回分に相当するロングランを行う中でマシンのバランス改善とデータ収集作業に集中。ディ・グラッシは午前中にはテクニカル・トラブルに悩まされたが午後の作業は順調に進み、R28に慣れる事を目的とした走り込みを継続する中でブレーキパーツの検証作業にも取り組んでいる。
■ピケ「体力的にもF1マシンに慣れてきた」
3日間の作業を終えたネルソン・ピケは「最終日にまた走行距離を増やす事ができて嬉しかった。チーム全員の必死の作業が結果として明確に現れている。次回のバルセロナに向けて分析をする多くのデータを収集する事もできたし、全体を通していい3日間だったと思う。F1に要求される体力的な部分にもだいぶ慣れてきた」とコメント。
■ディ・グラッシ「R28の性能に感動」
正式なテストドライバーとしての初仕事を今回のヘレスで終えたディ・グラッシは「色んなパーツを試したおかげで、車の挙動にどう影響しているのかが良く分かった。いくつか進歩も得られたので今回の内容には満足できている。このヘレスで自分が担当した2日間は本当にいい経験だったし、何よりもR28の性能に感動した。毎回自分も上達しているのでチームにいいデータを提供できるようになってきた」とその感想を語った。
■強風とマシントラブルのダブルパンチに苦しんだトロ・ロッソ
開幕までに2008年型車両のSTR3が間に合わない事を表明しているトロ・ロッソは、今回も2名の正ドライバー、セバスチャン・ベッテルとセバスチャン・ボーデが2007年型マシンをベースとしたテスト専用車両のSTR2Bでテストを実施している。なお、今回から2台両方のマシンに最新型のフロント・サスペンションが組み込まれた様子だ。
2月12日の火曜日から3日間を通してヘレスでのテストを行った両ドライバーの総合順位は、1分19秒688のベッテルが総合10番手、1分19秒848のボーデが総合12番手だった。
■風さえなければ比較的に順調だった火曜日と水曜日
火曜日に2名はSTR2Bの基本的なセッティング作業に取り組み、レースウイーク・シミュレーションとしてスタートやピット・ストップ、ロングランなどを実施、その中で2008年仕様の電子制御システムのチューニングを行っている。
チームにとってテスト参加2日目の水曜日、この日はボーデのマシンにテクニカル・トラブルが発生しているが、全体の作業に大きな影響は出ていないという。2名はこの日も複数回のロングランを行っているが、他のチームと同様に当初予定していたエアロパーツのテストやマシンのバランス調整、本格的なレース・シミュレーションなどは強風のために断念している。
■最終日の大半をガレージ内で過ごしたベッテル
最終日の木曜日は良好な気象条件に恵まれたが、トロ・ロッソにとっては2名が揃ってテクニカルトラブルに見舞われるという厳しい1日になった様子だ。この日の午後にボーデには水漏れ、ベッテルにはクラッチ・トラブルが発生しており、特にベッテルは1日の作業時間の大半をガレージで過ごす事になったという。ボーデはマシンの修理が済んでからはエアロパーツのテストを再開、その後にロングランも行っている。
■VJM01に好感触を示すフォース・インディア
チームの2008年型車両であるVJM01の華々しいお披露目式典をインドで行ったばかりのフォース・インディアは、その5日後となる2月12日に今回のヘレスにおいてVJM01のシェイクダウンを、テスト・ドライバーのビタントニオ・リウッツィの運転により実施した。なお、水曜日にはその新車を正ドライバーのエイドリアン・スーティル、最終日の木曜日には同じく正ドライバーのジャンカルロ・フィジケラが引き継いでいる。
テスト期間中の各ドライバーの総合順位は、1分20秒669のフィジケラが総合14番手、1分21秒553のリウッツィが総合21番手、1分22秒244のスーティルが総合23番手だった。
■リウッツィがシェイクダウンを担当「快適なマシンに仕上がり気分がいい」
チームにとって初日の火曜日にVJM01のシェイクダウン、新型ギアボックスとスタンダードECUの開発作業、およびブレーキシステムのテストを実施したリウッツィは、「新しい車の数項目を今回はテストしたが、予定通りに作業は進み進展が得られた。終日走った事でだいぶ快適に乗れる状態に仕上がり気分がいい。今日のデータを分析してさらに改善を進めたい」と、新型車両への好感触を示している。
■強風の水曜日に走行を担当したスーティル「バランス改善には悪条件の1日」
水曜日にリウッツィからマシンを引き継いだスーティルは、さらなるマシンのバランス改善に取り組もうとしたが、この日の強風の影響により思い通りに作業を進める事はできなかったという。仕方なく予定を変更したスーティルは、レースウイーク中のシミュレーションとしてスタートの練習やピットストップ、ならびに初日にリウッツィが試した新型ブレーキパーツの検証などを行っている。
この日の作業についてスーティルは、「今日は空は快晴だったが風が強すぎたのでセッティングの作業を予定通りに進めるのは難しかった。バランスは良くなったり悪くなったりと不安定で、あまり成果は期待できない状態だった。ただ、メカニカル・トラブルは一切なく86周を走り込めたので、(雨により)前回のテスト時間が短くなった分の埋め合わせはできたと思う」とコメントし、またチームのチーフ・エンジニアを務めるドミニク・ハーロウは「昨日はトニオがブレーキとギアボックスの開発を進めてくれたが、今日は風が強すぎていいバランス調整を続ける事はできなかったので、仕方なくレース・シミュレーションとシステムのチェックを行う事になった」と、テストの変更内容について説明した。
■フィジケラ「今の段階から乗りやすく仕上がっている」
気象条件が改善された翌日の木曜日に走行を担当したフィジケラは、初日にリウッツィが行っていた新型ギアボックスと電子制御パーツの評価検証を再開し、開幕に向けてのセッティング作業を順調に進める事ができたとしている。「特に多くなトラブルなく多くの周回をこなす事ができたし、車はより乗りやすくなったように感じた。開発メニューに従いセッティング作業を進める中で、燃料が多くてもいいタイムが出せている。次回のテストではVJM01にさらに多くの新しいパーツが導入されるし、参加チーム全体の中で自分たちが現在どのくらいの位置に立っているのかが分かる筈なので楽しみ」とフィジケラ。
■ドミニク・ハーロウ「これからシルバーストーンに戻って作業に取り組む」
VJM01での初のサーキット走行となったヘレスでの3日間の作業を終えて、チーフ・エンジニアのドミニク・ハーロウは「最終日は朝から気象条件が良くセッティング作業は順調に進んだ。2008年シーズン開幕前の最後の合同テストに向けて、大きな課題をクリアするためにこれからシルバーストーンに戻って作業を進めたい」と述べた。
■RA108の基本セッティングに集中するホンダ
2月12日からテストに参加しているホンダ・レーシングF1チームは、参加初日の火曜日は正ドライバーのルーベンス・バリチェロとテスト・ドライバーのアレックス・ブルツの2名、翌日の水曜日にはバリチェロとジェンソン・バトンの正ドライバー2名、最終日の木曜日はバトンとブルツの2名がテストを担当している。
テスト期間中のホンダの各ドライバーの総合順位は、1分20秒988のバトンが総合15番手、1分21秒133のバリチェロが総合18番手、1分21秒605のブルツは総合22番手だった。
参加初日の火曜日、この日にバリチェロはRA108の基本セッティングとその評価作業に集中。ブルツは2度目のテストとなるRA108に慣れる事を目的に走り込み、その中でエンジンの扱いやすさを改善する作業にも取り組んでいる。
正ドライバの2名が揃った翌日の水曜日、強風と砂の悪条件の中、バリチェロはシャシーのセッティングに集中してスタートの練習なども実施、バトンはブルツから引き継いだマシンの基本セッティングならびに空力特性の評価を行った。
■バリチェロ「次回に届く改良パーツに期待」
この日がヘレスでの最終日となったバリチェロは、「今週は操舵性の面でいい進歩が得られたので自分の励みと自信につながった。サスペンションまわりの作業が進み車のバランスも良くなっている。快適に走れているし、順位にも満足できた。まだ今後も忙しい作業は続くが、ここまでの数回のテストの中で焦点をあててきた部分の改良パーツが届くのを今は楽しみにしている」とのコメントを残している。
■最終日はバトンとブルツがフルレース・シミュレーションを実施
テスト最終日の木曜日、この日にバトンとブルツの2名はシャシーのセッティング改善作業と並行して、ピット・ストップなどを含むフルレース・シミュレーションを実施、気象条件が良くなった事から安定して速いタイムを刻む事ができたとしている。
■バトン「自信を持って攻められるようになってきた」
ヘレスでの全ての作業を終えたジェンソン・バトンは、「今週はいい進展が得られた。車への理解が深まり、前回のテストで課題となったロングラン時のバランス改善に集中できた。開幕までの残り2回のテストを通してまだ多くの作業は必要だが、この車で限界まで攻める自信が持てるようになったのでとても嬉しい」とコメント。またアレックス・ブルツは「今週は信頼性評価を目的とした走り込みとエンジンの扱いやすさに関する作業を行ったが、いくつかの改善策が得られたので非常に満足している。最終日はフルレース・シミュレーションも行ったが、とても順調だった」と述べた。
■スティーブ・クラーク「次回のテストには高い仕上がりで挑みたい」
ホンダのチーフ・エンジニアを務めるスティーブ・クラークは、「今週のヘレスでの作業を通して、大きな課題だった車のハンドリング特性への理解を深める事ができた。新しいパーツ面での課題は次回のバルセロナまでに間に合う。最終日はレース距離を走行時の車の信頼性検証をジェンソンとアレックスと共に行い、他にはエンジンの扱いやすさやシャシー制御の改善作業を順調に進める事ができた。今回の作業で得られたデータは次に投入する新パーツの開発に役立つので、開幕前の次回のテストには高い仕上がりのマシンで挑める筈」と、多くのチームが揃う次回のバレンシア合同テストに向けての意気込みを示した。
■年明け初の合同テストとなったスーパーアグリ
年明け以降初めて合同テストに参加したスーパーアグリF1チームは、今回のヘレスでも年末と同様にテスト専用車両のSA07Bを1台使用してスタンダードECUまわりの作業に集中し、火曜日と水曜日にテストを担当した佐藤琢磨選手が1分21秒376の総合20番手タイム、最終日の木曜日にのみ参加したアンソニー・デビッドソンは1分21秒010の総合16番手タイムを記録している。
■SA08とドライバーラインナップの発表を延期
なお、スーパーアグリは当初の予定では2月19日に2008年型車両のSA08を正式公開する予定だったが、チームはこれを延期しており、2008年度のドライバーラインナップの正式発表もしばらくは行わない意向を示している。
■佐藤選手「このままの勢いで残りのテストも続けたい」
チームにとっての年明け初のテスト初日となった2月12日の火曜日、佐藤選手はスタンダードECUの評価を目的としたロングランを複数回実施し、同時にシャシーのセッティングとマシンバランスの評価などを行っている。
強風の悪条件となった水曜日は初日に引き続いてスタンダードECUのセッティングの最適化を行い、ヘレスでの自身の作業を終えた佐藤選手は、「自分たちにとって2008年最初のテストが順調に進み、楽しんで作業に取り組む事ができている。多くの周回数を走り込んでテストメニューを全て完了する事ができた。様々なセッティングを試しながらシステムチェックを行ったが、タイヤに関する作業では何も問題が発生していないので、今週は本当にいいテストができたと思う。チームの全員が素晴らしい作業を見せてくれたので、残りの2回のテストに向けても今の勢いを持続できるよう願っている」とコメントした。
■スーティル「長い冬季休暇だった」
最終日の木曜日に佐藤選手からマシンを引き継いだデビッドソンは、スタンダードECUまわりのテストに加えてシャシーとエアロの開発作業、ならびにそれらの制御システムの評価を実施している。F1ドライバーとしてやっとテストに復帰できた事を喜ぶデビッドソンは「長い冬季休暇になったが、また走りに戻ってこれて嬉しい。午後は風の影響を受けて車のいいバランスを見つける事は難しかったが、103周回の走り込みはトラブルなく全てが順調だった。ドライバーとチームの観点の両方からスタンダードECUについての学習を引き続き行っているが、全体を通していい進歩が得られたと思う」と語った。
■ゲリー・ヒューズ「スタンダードECUへの理解を深めた」
また、スーパーアグリF1チームのチーフ・レース・エンジニアを務めるゲリー・ヒューズは、「今週は走行距離を膨大に増やす事ができたので、2008年のMES電子制御システムについての理解は大変に深まった。チームはタクとアンソニーと共に素早く作業リズムを取り戻し、開幕に向けて冬季休暇中に施した性能改善の評価を進める事ができている。この3日間を通して休みなく作業を続けたチームの全員、ならびにホンダとブリジストンの努力に感謝したい」と述べ、3日間の作業内容に満足するコメントを残している。
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