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フォース・インディアがインドで始動「インド10億人の夢の形」 |
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2008年2月11日
インドをホームとする史上初のF1チームであるフォース・インディアは2月7日、同チームの2008年型車両であるVJM01のお披露目式典を、インドの商業の中心都市であるムンバイにある世界的な観光名所としても名高いインド門の前で盛大に行った。
■フォース・インディアの新車発表会場はインド門
今回のフォース・インディアのVJM01発表、ならびに2008年F1シーズンに向けてのラウンチ・パーティは、かつてはボンベイの名で知られたインドのムンバイにて2月7日に行われている。式典の会場に選ばれたのは、1911年にイギリスの国王と王妃の訪問を記念して建設された有名なインド門であり、新型車両のVJM01はその真正面に用意された屋外の特設会場にレーザー光線と共に登場した。
■カラーリングはワインレッドに代わりゴールドとタングステン
ここまでのプレシーズン期間中のフォース・インディアは、前回のバルセロナ合同テストまでは彼らの前身チームであるスパイカーF1チームの2007年型車両をベースとしたテスト専用車両、およびそのカラーリングには白地にワインレッドというテスト用の暫定カラーを用いてきたが、今回のお披露目式典ではフォース・インディアとなって初の新型マシン、ならびに2008年シーズンを戦うチームのカラーリングを初めて世界のメディアに向けて公開している。
VJM01のカラーリングは、暫定カラーの時と同じく白を基調としたデザインではあるものの、ここまでに使用されてきたワインレッドの代わりに、ゴールドとタングステンをイメージした2色の金属色に彩られており、外観はこれまでの雰囲気とは大きく異なるものとなった。
■VJM01の技術詳細は現在も不明
フォース・インディアは今回の発表式典ではVJM01の技術的な情報を一切明らかにはしていないが、2月25日から3日間の日程で開催されるバルセロナ合同テストではVJM01のサーキット走行を初披露する予定だとしており、仕様や諸元などのマシンに関する詳細情報が明らかにされるのはその前後となりそうな雰囲気だ。
■発表式典はインド国内に向けて生中継
インド国内にてテレビ生中継されたこのフォース・インディアの発表式典には、マイク・ガスコインなどのチーム首脳陣、および昨年度はルノーF1チームの正ドライバーを務めたジャンカルロ・フィジケラと、昨年度のスパイカーに引き続き今期も同じチーム体制の中で戦うエイドリアン・スーティルという2008年度フォース・インディアの正ドライバー2名、ならびに昨年度はトロ・ロッソの正ドライバーを務め、今期はトロ・ロッソのテストドライバーとなったビタントニオ・リウッツィなどのチーム関係者はもちろんだが、その他にもインドの多彩な著名人が出席している。
■インドの有名政治家や女優などの著名人も出席
チーム関係者以外の出席者は、インドの有名な政治家をはじめ、映画女優やモデル、フォース・インディアと関係する有名企業の重役といった豪華メンバーであり、このそうそうたる顔ぶれを今回の式典に引き寄せたのは、ひとえに2008年シーズンに向けてチームに共同オーナーとして加わったインドの実力者、ビジェイ・マリヤ氏の力と言っても過言ではないだろう。
■潤沢な資金で生まれ変わるジョーダン母体のチーム
フォース・インディアの母体となるチームはかのジョーダンであり、近年はミッドランドF1チームやスパイカーF1チームとしてF1参戦を果たしてきたが、1990年代終わりのチーム全盛期以降、常にその経営には資金難の問題がつきまとっていた事が知られていた。しかしながら、フォース・インディアとなった2008年は風洞実験施設など、様々なチームの設備を莫大な投資により刷新、それら施設の増強のみではなくジョーダン時代にチームで活躍していた優秀なエンジニア2名をレッドブルとトヨタからフォース・インディアに呼び戻す事にも成功しており、さらにはジョーダン・フォード時代にレース優勝をもたらしたジャンカルロ・フィジケラをも正ドライバーとしてチームに再び迎え入れるなど、万全な体制で2008年シーズンを迎えようとしている。
■チームへの投資を惜しまない新共同オーナー
よほどの経済的バックアップがなければここまで急激なチーム体制や設備の増強は不可能だが、ビジェイ・マリヤ氏がチームの共同オーナーに加わった時点から、チームは資金難からは完全に解放された様子だ。
マリヤ氏は今回のフォース・インディアの式典において、かつてはカタール王室が所有していたインディアン・エンプレスという、現在はマリヤ氏個人所有の豪華クルーザーを会場の一部として提供しているが、これは彼の経済力のほんの一部を示すものでしかない。マリヤ氏は「チームから資金面の問題は去った」と豪語している。
■国際的な実業家として知られるビジェイ・マリヤ共同オーナー
現在58歳のビジェイ・マリヤ氏は、UBグループ(ユナイテッド・ブリュワリーズ・グループ)の会長であり、28歳の時に父親から引き継いだこのインドの会社を国際企業にまで発展させた功労者として知られ、インドや他の国々から多くの栄誉ある賞を受賞した経歴を持つ世界的な実業家であり、インドの上院議員、ならびにインド国内の他の多くの有名企業の取締役も務めている。
インドのUBグループは、彼が設立したインドで最も有名な航空会社であるキングフィッシャー(Kingfisher)航空、ならびに他の航空企業数社の親会社であり、他にも世界3番目の大手アルコール飲料の企業であるユナイテッド・スピリッツ・リミテッド(United Spirits Limited)を所有するなど、工業、農業、レジャー施設の運営など、幅広い分野で成功している統合企業体だ。
■パナソニック・トヨタのスポンサーだったキングフィッシャー航空
ちなみにキングフィッシャー航空は2007年シーズン中はパナソニック・トヨタF1チームのスポンサーを務めており、当初はトヨタとの2年間の契約を結んでいたが、マリヤ氏がフォース・インディアのオーナーとなった2008年シーズンからのトヨタとの契約をキングフィッシャー航空は破棄している。
■ビジェイ・マリヤ共同オーナー「インド10億人の夢の象徴」
今回のフォース・インディアのVJM01発表式典の場においてビジェイ・マリヤ氏は、テレビでの生中継を通して式典の様子を見守るインド国内のファン、ならびに世界に向けて、以下のコメントを発表している。
「2008年のFIAフォーミュラワン世界選手権を戦う新しい車と、そのカラーリングをみなさんの前に披露できた事を、大変に嬉しく思っています」とマリヤ氏。
「今日は忘れがたい日となりました。インドにとっては初のF1チームのオーナーとなった私だけではなく、インドとして唯一であり最初のF1チームが、フォース・インディアとしてモータースポーツの最高峰カテゴリーに挑み、世界の頂点に足を踏み入れる瞬間を今日テレビで見る事ができた何百万人ものインド人にとっても同じ事が言えます」
「フォース・インディアF1チームは世界の並外れた強豪の中に新たに加わる国際的なニュー・フェースです。今日はここでさらなる注目を浴びましたが、今後はF1の躍動感に変化をもたらし、天地を覆す事でしょう。わたしたちは夢に立ち向かいます」
「最も重要な事は、フォース・インディアは全てのインド人の夢の象徴となりつつあり、10億の心と情熱に支えられている事です」
■チームの活動拠点はイギリスのシルバーストーン
インドにおけるモータースポーツの発展や、そのインフラ建設にも貢献したいとするフォース・インディアF1チームは、ミッドランド時代と同じくイギリスのシルバーストーンを活動の本拠地として、2008年シーズンのF1グランプリを戦う。
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