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ホンダがRA108を正式公開、その式典の模様と関係者のコメント
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インテリワン編集部
  2008年1月31日

ホンダ・レーシングF1チームは1月29日、チームの拠点の1つであるイギリスのブラックリーにおいて、同チームの2008年型F1車両であるRA108をプレスに向けて正式に公開した。
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■バレンシアでは純白カラーだったRA108

ホンダの2008年型F1車両であるRA108がメディアの目に触れるのは決して今回が初めてではなく、ホンダは他の多くのチームがテスト作業を進めていた先週のバレンシア合同テストへの参加2日目に新型車両のRA108をすでに投入しており、そこではルーベンス・バリチェロによるシェイクダウンとジェンソン・バトンによる初期導入セッティングが行われたが、この時のRA108はカラーリングが一切施されておらず、車両全体が真っ白にペイントされた純白のマシンだった。
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■ステージにはピットレーンとガレージが

今回RA108の発表式典が行われたブラックリーの会場のステージには、サーキットのピットレーンに模した舞台セットが用意されており、昨年に引き続きホンダの正ドライバーを務めるジェンソン・バトンとルーベンス・バリチェロの2名、ならびにチームの新代表となったロス・ブロウンなどホンダの首脳陣が見守る中、今年からトヨタのテスト・ドライバー兼リザーブ・ドライバーとなった元ウィリアムズのアレックス・ブルツがRA108に乗ってそのピットレーンに登場、舞台上のガレージの前でピット作業を行い、新車の登場を待ちかまえていた約300名もの世界各国のメディア関係者を驚かせている。
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■ブルツのドライビングで登場したearthdreamsカラーの新マシン

バレンシア合同テストの時とは異なり、ブルツの運転により今回正式にプレスの前に登場したRA108には、2008年度のホンダ・レーシングF1チームのチーム・カラーが施されていた。この2008年F1シーズンに向けてのホンダの新しいカラーリングが一般公開されたのは今回の式典が初めてであり、テーマは昨年の「myearthdream(マイアースドリーム)」を発展させた「earthdreams(アースドリームス)」だという。
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■F1活動を通じてearthdreamsプロジェクトの推進を図るホンダ

ちなみに環境保護のPRとマーケティングを目的とした2007年のテーマ「myearthdream」は、国連やイギリスの企業が推進する「グリーン・アワード」の大賞を受賞しており、今年もホンダは世界的に注目度の高いF1でのスポーツ活動を通じて、「power of dreams」の理念の下、社会に役立つ様々なプロジェクトへの投資ならびに支援活動を今回発表した「earthdreams」のプロジェクトの中で今後も続けていく事を表明している。
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■式典の中で2008年体制とRA108の特徴を紹介

ホンダ技研直下のフルワークス体制となって3年目を迎えるホンダ・レーシングF1チームは今回のRA108の発表式典の中で、2008年のチームの新代表としてフォーミュラワンでの豊富な経験と知識を有するロス・ブロウン氏を迎えた事、エンジニアリング・チームを今シーズンの戦いに向けて過去半年間増強してきた事、その体制の中で開発されたRA108の特徴、ならびに2008年度の正ドライバーであるジェンソン・バトンとルーベンス・バリチェロ、リザーブ・ドライバーとなったアレックス・ブルツというドライバー・ラインナップの紹介を行った。


■チーム首脳陣が語るRA108の開発コンセプトと2008年の目標

以下に、この日に行われたホンダ・レーシングF1チーム首脳陣によるRA108の開発コンセプト、ならびに2008年シーズンに向けて掲げるホンダの目標設定などに関する説明の内容を紹介する。

■ロス・ブロウン代表「まずは2006年の後半レベルに戻る事」
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今年からホンダ・レーシングF1チームの新代表となったロス・ブロウン氏は、かつてのベネトン・チームのテクニカルディレクターであり、ミハエル・シューマッハのフェラーリ移籍1年後となる1997年からの10年間に渡りフェラーリのテクニカル・ディレクターを務め、1999年からのフェラーリの6年間のコンストラクターズ・タイトル獲得の立役者として知られている。

ブロウン氏は今回の式典の中で、今回発表のRA108の開発コンセプトや技術的な特徴、ならびに2008年シーズンに向けてチームが掲げる具体目標について以下の通り説明した。

シーズンを通しての性能向上を容易にするエアロダイナミクスの実現

「RA108は、空力レイアウトと機械構造の分野において、以前とは全く異なるコンセプトをもって開発されたマシンです」とブロウン代表。
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「その設計思想は空気力学の追求にあり、シーズンを通して性能向上を容易に続けるための工夫がなされています。最も力を注いだのは高い空力効率と安定性の確保であり、これらの実現に向けて以前とは異なる空力特性とサスペンションが相互にうまく作用できるような改良をシャシーに施しました」

「この開発コンセプトにより、今後の開発を通してさらなる性能の向上が狙えるようになっています。まずその第一弾がメルボルンの開幕戦であり、今日の式典で公開した空力パッケージにより改良を施したエアロパッケージを投入する事になるでしょう」
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FIAの規約にエンジンの従い大部分は昨年モデルと同じ

「ホンダRA808EエンジンはFIAのエンジン規約に従っていますので、その構成要素のほとんどに昨年との大きな差はありませんが、排気と吸気関係のジオメトリについてはRA108のエアロパッケージに合うように修正しました。他にも、FIAの要求通りにバイオ燃料の比率を5.75%とする調整を加えていますが、これはホンダが喜んで支援する分野と言えます」
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スタンダードECUと4戦連続耐久ギアボックスについて

「今期のレギュレーションのうち、最も大きな変更となったのは電子制御システムとギアボックスの2つです」

「FIAスタンダード電子制御ユニット(スタンダードECU)を搭載するにあたり、RA108のエンジン、ギアボックス、ならびにシャシーのそれぞれのシステムとの統合を実現する上で、多くの厳しい作業が冬季テスト中には必要でした。トラクション・コントロールや他のドライバー支援機能が車から取り除かれた事により、今後はドライバーの技量がより大きな意味を持つ事になります」

「RA108のカーボン合成ギアボックスは、4戦連続しての使用を義務付ける新しいレギュレーションに対応できるように設計されています。わたしたちは必要とされる耐久性レベルの検証を目的に多くの走り込みを実施しており、それによりギアボックスの設計に最適化を施しました」
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高い安全基準を満たした車体設計

「また、RA108はFIAの安全基準に定められた全ての重要項目を満たしており、ノーズやモノコック、ならびにリアなど、破壊テストによりそれらに必要とされる耐衝撃設計の成果が実証されています。さらには、ドライバーのヘッドレスト周辺の保護も強化しています」

まずは2006年後半レベルの戦闘力を取り戻す事

「わたしたちの2008年シーズンに向けての目標は、ホンダが全てのレースでポイント圏内を争った2006年シーズン後半のレベルに戻る事です。それを達成した時にこそ、さらに上の野心的な目標を掲げる上での安定した足場を固める事ができたと言えるでしょう」
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「私はホンダに加わってから、チームの持つ様々な活動資源や行動の内容を確認し、今後どのような方法で発展を狙うべきかの検証を行ってきましたが、期待外れだった2007年シーズンを終えてからのチーム全員の努力と熱意は称賛に値するものでした」

「この新しい車でどれだけの成績向上が望めるのか、わたしたちはこれからそれを実証していく事になります。人員や活動資源など、全ての要素は正しく機能していますので、これらは揺るぎないレースへの情熱と共にホンダ・レーシングF1チームを前進させてくれる筈です」


■ニック・フライCEO「2007年は価値ある経験だった」

また、トヨタ・レーシングF1チームのCEOであるニック・フライ氏は、ホンダが2008年シーズンに向けてこれまでに行ってきた活動の内容、ならびにチームが推進するearthdreamsプロジェクトについて以下の通り説明した。
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ロス・ブロウン氏がチームにもたらすもの

「期待が外れて目標には到達できなかった昨シーズンを経て、チームは戦闘力と既存の活動資源の強化を目的に、今後の鍵となる重要な決断を2007年シーズンの後半にはいくつか下しています。新しい知識、ならびに以前とは異なる経験をチーム内に採り入れる事もその1つでした」

「特にロス(ブロウン)がチームの代表として加わった事実は、新しい刺激と自信を組織全体にもたらしてくれています。昨年は下降の兆しを見る事になりましたので、今年のわたしたちが軌道修正に向けての強い意欲を持つのは当然の事です」
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2007年はチームを強化する上で価値のある経験となった

「実際、わたしたちは可能な限りの全ての努力を問題の究明に向けて注ぎましたが、その中での様々な取り組みは、今年と翌年以降にチームをより万全な体制にする上で価値のある経験になったと言えます。機械技術や空力の分野に限らずマーケティングの分野に至るまで、それらの全てが世界のトップレベルの設備により強化される事になりました。2007年の残念な結果により、2008年に向けてのわたしたちの決意はより高まっているのです」

「チーム全員の大変な努力が実を結び、今回のRA108が設計目標としていた全ての項目を達成した事を大変に嬉しく思います。わたしたちは今後のメルボルンまでの期間内に、それらの要素が実際にサーキットで高い性能を発揮し、ライバルたちの仕上がりと比較しても十分に高い目標レベルに到達したと言えるようになるまで、作業を続けていく必要があります」

ホンダはF1を通じてearthdreamsプロジェクトを推進

「また同時に、今日はearthdreamsプロジェクトを紹介する事にもなります。これはホンダ・レーシングF1チームが推進に影響を与えた世界規模のマーケティング・プログラムであり、2007年のmyearthdream構想の発展形です。earthdreamsの役割は、パワー・オブ・ドリームス(夢の持つ力)を活用しながら感動と明るい衝撃を世界にもたらすプロジェクトへの投資と現実化への支援活動であり、ホンダとそのパートナーにより今後も継続されるプロジェクトです」
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「earthdreamsにより支援を受けるプロジェクトの数々を以前にも紹介して参りましたが、社会に明るい影響をもたらす既存のプロジェクト、ならびに新しく参加するパートナーの方々との今後の協力を楽しみにしています」

「また特に、ここまでに多大なる貢献と支援を頂いているSEIKO(セイコー)に、関係者を代表して深く感謝の気持ちを伝えたいと思います」


■大島裕志氏 本田技研工業株式会社、広報モータースポーツ執行役員

本田技研工業株式会社の広報モータースポーツ執行役員を務める大島裕志氏は、今回のRA108の完成を喜び、以下の通りコメントしている。
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「ホンダRA108が公開に至ったのを見て本当に嬉しく思います。非常に厳しかった2007年シーズンを記憶の彼方に追いやり、わたしたちの長期計画である高い目標の実現に向けて、チームの全員がホンダ精神を持って2008年シーズンの挑戦に全力を注いできました」と大島氏。

「この数カ月にわたってエンジニアリング面での活動が強化された事により、ホンダの研究開発施設からF1チームの活動に至るまで、そのメリットが最大限に活用されていくようになる様を見る事ができて大変に満足しています」

「新しいearthdreamsのカラーリングは昨年に発表したマーケティング・プログラムであり、ホンダのDNAの一部である長年のモーター・スポーツ活動の歴史を融合的に表現したものです」

「わたしたちの目標は、今シーズンの成績向上ならびにレースに向けての夢を追求する姿勢を通じて、数多くの世界中のホンダ・ファンの方々に報いる事です」


■3名のドライバーが語る2008年シーズンに向けての抱負
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ホンダは2008年度のF1ドライバー・ラインナップとして、昨年に引き続き正ドライバーの2名はジェンソン・バトンとルーベンス・バリチェロ、テスト兼リザーブ・ドライバーには昨シーズンはウィリアムズの正ドライバーだったアレックス・ブルツである事を年明けに公表している。

ここでは、その3名のドライバーの今回のRA108発表式典でのコメントを以下に紹介する。

■バトン「チャンピオンの座を争いたい」

昨シーズンの苦しい戦いを振り返りながらジェンソン・バトンは、RA108ではトップレベルの戦いを演じたいとして、以下の通りコメントした。
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「チームと共に自分の意欲も最高潮です。今年のシーズンにかけるホンダを信頼していますし、車は高いレベルに仕上がっている筈ですので、レースに勝って世界チャンピオンの座を争いたいですね」とバトン。

「過去の5年間は挑戦の連続であり、昨年は残念な結果に終わりました。しかしながら、チームはこの状況をしっかりと受け止め、自分たちの最高の走りを妨げていた数々の分野について慎重に検討を重ねてきました」

「今日のRA108の発表を目指し、ホンダ・レーシングF1チームの全員が冬の間に信じられないほどの大変な開発努力を費やしてきました。2007年後半の6ヶ月間にチームが行ってきた変革の動きは、まさに自分たちが今年に進化を遂げる上で必要としていた事そのものです」

「目標の達成に向けてホンダからは素晴らしい支援や資材提供が得られるでしょうし、自分のまわりのスタッフは優れた人たちばかりだと自負しています」


■バリチェロ「参戦16年目になってもF1への情熱は衰えを知らない」

RA108のシェイクダウンを先週のバレンシア合同テストで担当したルーベンス・バリチェロは、まだ新車の性能について意見を述べるのは時期尚早としながらも、今後の開発作業に向けての意気込みを以下の通り示している。
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「先週のバレンシア合同テストではRA108に初めて乗る機会に恵まれました。新しい車では数周しか走行していませんが、それでも計画通りに作業を済ませる事ができています」とバリチェロ。

「まだ車のハンドリングや性能について何か結論じみた事を述べるのは時期尚早でしょう。ただ、今は今週末のバルセロナでの合同テストがとても楽しみですし、RA108の開発に真剣に取り組みたいと思っています」

「今年は自分にとってフォーミュラワンへの参戦16年目にあたり、ホンダ・レーシングF1チームでの活動は3年目になりますが、このスポーツにかける愛情と情熱が衰える事など決してありません。実際、今年は自分がグランプリ経験の最も長いF1ドライバーになりますが、これは大変に誇れる事だと考えています」

「アレックス・ブルツがチームに加わり今年は開発体制も非常に強化されています。彼は多くの経験と知識をRA108に注ぎ込んでくれるでしょうから、それを大変に嬉しく思っています」


■ブルツ「ホンダの念願達成に向けて貢献したい」

昨年は中国GP終了直後にF1ドライバーからの現役引退を表明していたアレックス・ブルツだが、晴れて今年からはトヨタの正式テスト・ドライバーとしての活動を開始している。前回のバレンシア合同テストではRA107によるテストを行っていたブルツは、今後のRA108の開発作業が楽しみだとして、以下の通りコメントした。
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「ここまでの数週間にホンダ・レーシングF1チームの事を楽しみながら知る事ができています。先週のバレンシアではこのチームのメンバーとしての最初のテストを担当し、RA107への順応を目的としたテスト作業に取り組みました」とブルツ。

「まだRA108では今日のこの公開式典の場で何メートルか走っただけですから、今週のバルセロナではしっかりと新しい車で走り込めるのを今からとても楽しみにしています。その時からは開発プログラムへの貢献を本格的に開始する事ができますからね」
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「わたしが過去に所属していた3チームは全て世界チャンピオンの座を経験していますから、ホンダの念願達成に向けて今回の役割を担う機会に恵まれた事を、大変に光栄に思っています」


■ホンダRA108の主要諸元

最後に、ホンダ・レーシングF1チームが1月29日に発表したRA108の主要諸元を以下に掲載する。
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シャシー

・ギアボックス:カーボンコンポジットメインケース:Honda F1 7速ギア
・ギア選択:シーケンシャル/セミオートマチック/油圧作動
・クラッチ:カーボンプレート
・全長:4,700mm
・全高:950mm
・全幅:1,800mm
・名称:RA807E
・排気量:2.4リットル
・エンジン形式:V型8気筒 自然吸気
・Vアングル:90°
・最高出力:700馬力以上
・エンジン回転数:19,000 rpm
・バルブ駆動方式:4バルブ/1気筒 エアバルブ
・インジェクション:Honda PGM-FI
・スロットル制御方式:電子油圧制御
・イグニション:Honda PGM-IG
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エンジン

・名称:RA807E
・排気量:2.4リットル
・エンジン形式:V型8気筒 自然吸気
・Vアングル:90°
・最高出力:700馬力以上
・エンジン回転数:19,000 rpm
・バルブ駆動方式:4バルブ/1気筒 エアバルブ
・インジェクション:Honda PGM-FI
・スロットル制御方式:電子油圧制御
・イグニション:Honda PGM-IG
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