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2008年4月17日
今期の2008年MotoGPシーズンは、年間カレンダーから外れたトルコのイスタンブール・サーキットに代わり、インディー500など世界最大級の4輪レースが行われる事でも有名な米国のインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(以下IMSと記述)においての初のグランプリが開催されるが、今月の4月7日にはIMS内に新設されたMotoGP専用コースの完成記念イベントが行われている。
■新コースを走る最初のライダーとして招かれたヘイデン
このイベント内において、新コースでの記念すべき初走行を担当したのは、IMSのあるインディアナ州の隣に位置するケンタッキー州出身の2006年度MotoGPチャンピオン、レプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンだった。
ここでは、2005年からGPカレンダーに復活したカリフォルニアのラグナ・セカに続き、今年から新たに2つ目の米国でのグランプリ開催地となるインディアナポリスのMotoGP専用コース開設記念イベントに参加したニッキー・ヘイデン初走行の模様や、彼のコメントなどをホンダとIMSの公式リリースより紹介する。
■F1との契約を昨年失効し、MotoGP誘致に向けて新コースを開設したIMS
今年からのMotoGPの開催が決定したインディアナポリスが2輪ロードレースに向けて用意したコースは、インディーなどでよく知られるオーバルコースや昨年までF1が使用していたコースレイアウトではなく、2輪ロードレースのMotoGP誘致を前提に新しく設計、つい先月完成したばかりのオーバル内側の新レイアウトだ。
■MotoGP開催を前提に設計された2輪ロードレース専用コース
この全長4,216メートル、16のコーナーと高速ストレートを持つMotoGP用コースレイアウトについて、IMSのサーキット運営側は「MotoGPのファンなら、MotoGPのレースがどれだけスリリングなものかを良く理解しているが、このコースなら熱心なファンの期待に沿うサイド・バイ・サイドの白熱したレース展開が期待できる。抜き所も多く、ライダーの技量が勝負のサーキット」と自信のコメントを述べており、近年のF1誘致を前提に設計されたサーキットとは異なる2輪ロードレースに適した配慮がなされている事をアピールしている。
■ラグナ・セカとは異なり小排気量クラスのレースも実施
なおインディアナポリスGPでは、MotoGPクラスのみをAMAと同時開催するラグナ・セカのアメリカGPとは異なり、ヨーロッパや日本でのグランプリと同じく、125ccと250ccの小排気量カテゴリーも通常通り行われる。インディアナポリスでは99年ぶりという、約一世紀ぶりの2輪ロードレースとなる今年のMotoGP決勝レースが開催されるのは、第14戦目の9月14日だ。
■インディアナポリス一番乗りのヘイデン「初のライダーになれて光栄」
4月7日、今回のインディアナポリスMotoGP用コース開設記念イベントに招待されたニッキー・ヘイデンは「この有名なスピードウェイの新しいコースを初めて走ったライダーになれたのは本当に光栄な事です。二度と無い機会ですからね。今回の役割を果たせて本当に素晴らしかったし、ここでのレースが大成功を収めるように自分としても全力を尽くしたいです」と、インディアナポリスのMotoGPコースに一番乗りを果たした事への喜びを語っている。
またインディアナ州に多い4輪モータースポーツのファンに向けてヘイデンは「MotoGPなどのロードレースは大変に素晴らしいスポーツですし、それを多くの人に肌で感じてもらう絶好のチャンスです。また、元もとこの地域には(インディーなどの主に4輪の)レースが大好きな方々がたくさん住んでいますので、彼らにも異なるジャンルのモータースポーツを知ってもらう良い機会になればと思います」とMotoGPへの興味を呼びかけた。
■走行動画
ヘイデンのこの日のインタビュー音声とインディアナポリス初走行の動画は以下の通り。 (出展:Indianapolis Motor Speedway)
■CBR1000RRの前に、まずはビンテージバイクの1909年型インディアン
今回ヘイデンは、ホンダの市販スーパーバイクである最新型CBR1000RRでの高速走行の前に、まずはアンソニー・ホプキンス主演の2005年のアメリカ映画「世界最速のインディアン」でも知られるアメリカンオートバイの老舗メーカー「インディアン」の1909年型モデルに跨り、インディアナポリス新コースでの初走行を披露している。
■1900年初頭のライディング・ギアに身を包んだヘイデン
ビンテージバイクのインディアン1909年型がヘイデンに用意された理由は、インディアナ・ポリスで最後に行われたオートバイレースが99年前となる1909年のインディアン・カップだったのにちなんでの事だ。なお、1900年当時のレーサーの一般的なライディング・ギアだった革パンツ、厚手のセーター、騎手用ヘルメット(スカルキャップ)を用意され、IMSのモータースポーツ記念博物館のエンジニアにインディアンの操作方法をレクチャーされたばかりのヘイデンは、コースに出た最初の時はやや戸惑い気味だった様子だ。
■ヘイデンは時速40キロで走行「当時のライダーは真の勇者・・・」
「最初にエンジンを点火してもらった瞬間は、『うわ、これは大変なものに乗ることになったぞ』と思いました。エンジンがしっかりかかってからも、スロットルを大きく開ける心の準備がつかない状態でしたからね。それからメインストレートを40km/hくらいで走りましたが、体感的には100km/hくらいに感じましたよ!」と最初はインディアンに驚いたというヘイデン。
「でも、あれは本当にかっこよかったですよ。後輪のブレーキは子供の時に乗っていた自転車のものとそっくりでしたしね。当時のライダーたちは真の勇者だと思いました。あのバイクに乗ってここでレースをしていたなんで自分には想像を絶する事です」
■CBR1000RRでは時速250キロの高速クルージング
インディアンのマシンにもすぐに慣れて楽しく走行できるようになったというヘイデンは、その後すぐに1900年代初頭のライディング・ウェアを脱ぎ、見慣れたヘルメットとブーツに履き替え、今回のイベント用に用意されたレプソル・ホンダの特別製レザースーツに身を包んで再登場。ホンダCBR1000RRに跨ってのインディアナポリス高速クルージングを開始した。
■ヘイデン「グランプリ本番はストレートで時速320キロ」
多くの周回を走り込んで身体を初のコースレイアウトに慣らしたヘイデンが、今回市販マシンのCBR1000RRで記録したメインストレートでのトップスピードは250km/hほどだったが、今年のインディアナポリスGPでのMotoGPクラスのトップスピードは320km/h近くに達するだろうとヘイデンは予想している。
「最初にコースレイアウトを見た時には、メインストレートでスピードがここまで出るとは思っていませんでした。実際はかなりのロング高速ストレートですから、追加のポニーたち(小馬=若干の馬力)が欲しくなるでしょうね」
■MotoGP安全委員会の視察も兼ねたヘイデン
なお、ヘイデンは今回のテスト走行をMotoGP安全委員会の代表としての役割も兼ねて走行しており、先週のポルトガルGP開催期間中はMotoGP安全委員会のメンバーたちに、インディアナポリスを実際に走行したこの時の安全面での感想を報告している。
「このサーキットの今回の第1印象は素晴らしかったです。安全面で不安になるような部分は一切見つかりませんでしたし、GPバイクで走るときにはすごく楽しめると思いますよ」
■世界最大規模の巨大施設を誇るインディアナポリス・スピードウェイ
ヘイデンがインディアナポリスを訪れたのは、1990年代のAMAフラット・トラック・レースに出場してIMSから数キロメートル先に位置するインディアナ州フェアグラウンズのオーバル・コースを走行して以来の事だが、ヘイデンは今回改めてIMSの敷地の広大さや各施設の巨大さに驚いている様子だ。ヘイデンに限らず、初めてIMSを訪れた人間は誰でも付属のレジャー施設や博物館などを含む約400万平方メートル(1025エーカー)というサーキットとしては世界最大規模の敷地の広さに仰天させられるという。
「巨大だと想像はしていましたが、グランド・スタンドをはじめゴルフコースなどの全施設を含むスピードウェイの敷地がここまで広大だとは想像もつきませんでした。以前にも似たようなオーバルコースや他の多くのサーキットを経験している自分にとっても、この巨大さはちょっと桁違いでしたね」
■インディアナ州はケンタッキー州の隣「街全体が休業状態になるかも!」
ラグナ・セカにグランプリが復帰した2005年当時もアメリカでのレースを心待ちにしていたヘイデンだが、地元のケンタッキー州から外国並に遠い西海岸のラグナ・セカとは異なり、中西部のインディアナ州はケンタッキー州の隣に面していて車での移動も簡単な事から、インディアナポリスGPに対するヘイデンのホーム意識は強く、実家のあるオーエンズバラ住民の街ぐるみでの声援にも期待している様子だ。
「オーエンズバラに残る人たちが、もしレースウイーク中に何かが欲しくなったら困るでしょうね。だってその時はオーエンズバラが丸ごとインディアナポリスに引っ越したような状態になるかもしれないし、そうなると街全体が休業ですからね!それに距離も家からたったの3時間ですから、観戦に来ない事への言い訳なんて許されませんよ」とヘイデン
「そんな中で戦えるなんて本当に嬉しい事ですから、彼らが盛り上がれるようないいところを見せられるよう、最善を尽くしたいと思っています」
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