|
|
|
|
2008年1月29日
カワサキ・レーシング・チームは1月29日、2008年MotoGPシーズンを戦うNinja ZX-RRの新カラー・デザインをプレスに向けて初公開している。ここでは、モンスター・エナジーのブランド・ロゴを側面に刻んだカワサキの新マシンのカラーリングと、先週のセパン合同テストの最終日に突然シェイクダウンを実施したカワサキのスクリーマー・エンジンについて紹介する。
■カワサキが2008年マシンのカラー・デザインを公開
先週のセパン合同テスト最終日の翌日となる1月25日に、カワサキ・レーシング・チームは米国の大手栄養ドリングのブランドであるモンスター・エナジーとの2年間のスポンサー提携を発表しているが、同チームはフィリップ・アイランドでの今年2度目のMotoGP合同テストを翌日に控えた1月29日に、モンスター・エナジーのブランド・ロゴをマシンの側面にあしらった2008年の新デザインを初めて各国のメディアに向けて公開した。
■マシンの両サイドと前面にモンスター・エナジーのロゴ
今年からMotoGPカワサキの主要スポンサーとなったモンスター・エナジー社は、米国に存在する2大栄養ドリンクメーカーのうちの1社として知られており、昨年まではAMAスーパーバイクとモトクロスの2大カテゴリーにおいて米国カワサキ・チームのスポンサーを務め、今年はAMAスーパークロス全体のタイトル・スポンサーになるなど、ライバルである栄養ドリンクメーカーのレッドブル社と同様に、モータースポーツの世界への進出に熱い情熱を燃やしている。
■米国内での活動に引き続きグランプリでもカワサキのスポンサーに
AMAカワサキ・チームのスポンサー活動を通じて米国における2輪モータースポーツでの成功を収めたモンスター・エナジー社は、今年はMotoGPカワサキ・レーシング・チームへのスポンサー活動を通じてヨーロッパでの本格的なモータースポーツ支援ならびに世界規模の市場拡大を狙っているが、今回の提携は同社だけではなく、2輪業界以外へのブランド力強化とMotoGPの米国市場拡大を狙うカワサキにとっても有益な結果につながると両関係者は考えている様子だ。
■2007年からはホプキンスの個人スポンサーも
なお、モンスター・エナジー社は、レッドブルが個人スポンサーから離れた直後のジョン・ホプキンスの個人スポンサーになる事で昨年から世界グランプリ進出への糸口をつかんでおり、今年はホプキンスがカワサキに移籍した背景などもある事から、今回発表の合意に向けての事前交渉は比較的スムーズに進んでいた事が考えられる。
■モンスター・エナジー・ロゴのマシンは今週から
こうして今週のフィリップ・アイランドの合同テストからは、カワサキの2008年型マシンはモンスター・エナジーのロゴと共に登場する運びとなった。
ちなみに、カワサキは以前にもMotoGPチームのメイン・スポンサーとしてドイツに拠点を持つオイル・ブランドのフックス(FUCHS)と提携しており、大手スポンサーを持つのはグランプリ復帰以降今回が初めての事ではないが、2輪や4輪などのモータースポーツ関係以外の大手スポンサーを持つのは今年が初めてとなる。
■セパン合同テスト最終日に登場したスクリーマー・エンジン
最後に、先週のセパン合同テストの最終日となる3日目に、カワサキのテストライダーを務める芹沢太麻樹選手が午前中にシェイクダウンを実施し、そのあまりの特徴的なサウンドに他のチームがピット脇から注目、レギュラー・ライダーのジョン・ホプキンスとアンソニー・ウェストもテストの手を休めて思わずマシンを見に来たという、カワサキが現在開発試験中のスクリーマー(2気筒単位の等間隔爆発エンジン)エンジン搭載マシンについて紹介する。
■全レース関係者の注目を集めたスクリーマー・サウンド
この新開発のスクリーマー・エンジンを搭載したテストマシンがセパン合同テスト3日目の午前中に初めてコントロールラインを通過した時には、その独特のエキゾースト・サウンドに驚いた多くのレース関係者が各チームのピットから身を乗り出し、1コーナーに消えていく芹沢選手の後ろ姿を呆然と見送ったという。
この日にセパンに来ていたほとんどのMotoGP関係者は、カワサキの日本のエンジニアが冬季のテスト禁止期間を費やして新しいエンジンを開発していた事を瞬時に察知しただろうと、カワサキの公式プレスは自ら伝えている。
■芹沢選手によるテスト後、夕方にはジャックも試乗
芹沢選手は午前中にこのスクリーマー・エンジン搭載マシンのシェイクダウンを済ませて午後にもしばらく走行。夕方にはオリビエ・ジャックがマシンを引き継いでいる。
■金子テクニカル・マネージャー「開発は極めて初期段階」
今回のスクリーマー・エンジン搭載マシンについて、カワサキ・レーシング・チームのテクニカル・ディレクターを務める金子直也氏は、今回の新エンジンをレギュラー・ライダー2名がテストするのはまだ先の話になるだろうと以下の通り説明している。
「わたしたちのスクリーマー・エンジンはまだ開発の極めて初期段階にあります。ジョンとアンソニーがこれでテストできるようになるまでにはまだ時間がかかるでしょうし、それまでにはテストライダーたちによるいくらかの作業が必要です」と金子テクニカル・ディレクター。
「カワサキは多くの重点項目を検討する中、今回は性能評価を目的にスクリーマー・エンジンの開発を決定しました。等間隔爆発バージョンのエンジンは、同じエンジンのビッグバン(2気筒単位の爆発だが等間隔ではない)バージョンよりもいくつか優れた点を提供してくれます」
「ピーク時のパワーがより上がりますし、高回転の状態でもエンジンに負担がかからないという利点が等間隔爆発はあるんです。ただ、もちろん同様に欠点もあります。一番にあげられるのは扱いやすさの問題であり、出力パルスの合間にリアタイヤをコントロールするのが難しくなる傾向があります」
「しかしながら、過去の990ccから800ccへの排気量削減により出力そのものが低下している事や、タイヤのテクノロジーの進化、ならびに電子制御システムのチューニングを通して、パワーを路面に伝達しやすくなったのは事実ですので、今ならこれらの要素を活かす事でスクリーマー・エンジンの利点である高い出力性能を活用できる訳です。欠点の部分についてはタイヤや電子制御の分野で補う事が現在は可能ですからね」
「あくまでこれらは理論上の話ですが、カワサキのエンジニアたちは実際にスクリーマー・エンジンをサーキットに持ち込んでテストし、それを評価検証してみる事には価値はあると強く信じています」
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|