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SBK年明けテスト、総合トップは加賀山選手、ベイリスは鎖骨を骨折 |
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2008年1月11日
SBK(世界スーパーバイク選手権)の2008年シーズンに向けての年明け初のテストが、オーストラリアのフィリップ・アイランドにて1月8日から3日間の日程で行われている。
■ホンダを除く主要チームが参加したフィリップ・アイランド合同テスト
今回のテストにはドゥカティー、スズキ、ヤマハ、カワサキからのメーカー・サポートを受けるワークスならびに準ワークスの主要4チームの9名、ならびにサテライト勢としてはドゥカティーからのマシン供給を受けるステリルガルダ・ゴーイレブンの1チームのみが参加し、合計11名のライダーが2008年初のテスト走行を披露した。
■新しい顔ぶれは玉田誠選手のみ
なお、主要メーカーのうちホンダだけは、2008年度のパッケージが間に合わずに今回のフィリップ・アイランドでのテストへの参加は見送っている。この関係から、今期からSBKに加わった新しい顔ぶれは、今回のテストではカワサキPSG-1の玉田誠選手のみであり、ホンダの清成龍一選手、カルロス・チェカ、青山周平選手などは参加していない。
■玉田選手のバイクナンバーが決定
ちなみに玉田選手がSBKカワサキで今年から使用するバイクナンバーは、全日本時代からなじみの深い100番に決定している。
■3日目にベイリスが鎖骨を骨折
今回のテストの初日と2日目にトップタイムを記録したのは、2006年度にはSBK史上最年長のチャンピオンとなったドゥカティー・ゼロックスのトロイ・ベイリスだったが、3日目も好調だったベイリスはロングランの最中にカワサキのレジス・ラコーニを追い抜こうと試みたが断念、ここで激しくブレーキをかけた事により10コーナーでハイサイドを起こして転倒、右の鎖骨を骨折する大きな怪我を負った。
■怪我の回復には3週間が必要、ベイリス「今は治療に専念したい」
この結果、メルボルンの病院に運ばれたベイリスはその場でテストの続行を断念しており、3日目は総合トップの座を逃している。なお、ベイリスの怪我の回復には3週間が必要と診断されているが、幸いカタールで2月23日に行われるSBK開幕戦までには間に合う計算となる。病院で治療を受けた後、ベイリスは以下の通りコメントしている。
「要はレジス・ラコーニをラッキー・ハインツのあたりで抜こうとしていたんですが、それが無理だと分かった時にブレーキを10コーナーで激しくかけてしまい、そこでハイサイドを起こしたんです」とベイリス。
「鎖骨の肋骨に近い部分が折れて、その肋骨も終端の部分が一部欠けてしまっています。ブレーキをかけて肋骨が折れた瞬間に比べれば、今はそれほど痛みませんが、できる限り早くバイクにまた乗れるようにするために、これからすぐイタリアに戻って続きの検査と治療を受ける予定です」
「転ぶまでは多くのタイヤをピレリと試していて、調子も良かったんですけどね。ロングランの感触も良く、全てが順調に進んでいました。ただ、もちろん今回は理想的なテストの終わり方とは言えませんが、今週の改善状況には満足できていますので、今はできる限り早く回復できるように治療に専念する事だけを考えたいと思います」
■ノイキルヒナーは初日のみ走行
なお怪我ではないが、今年からアルスター・スズキのライダーとしてSBKを戦う事になったマックス・ノイキルヒナーは、初日に頭痛と喉の痛みを訴えており、その日の夕刻の医師の診断により喉頭炎を患っている事が判明した事から、大事を取って2日目と最終日のテストをキャンセルしている。
■3日間を通して初日から20度近く気温が上昇したフィリップ島
テスト初日のフィリップ・アイランドの気温は20度と過ごしやすく、ライダーやチームのメンバーにとっては過ごしやすい1日となったが、2日目以降に温度は上がり、テスト最終日の3日目には初日よりも18度高い38度まで気温が上昇するという大きな気象条件の変化に見舞われている。
■ビアッジとザウスを除く各ライダーは新型ピレリタイヤのテストを実施
この中でマックス・ビアッジとルーベン・ザウスの所属する唯一のサテライト・チーム、ステリルガルダを除く4つのワークスサポートチームは、ピレリが今回持ち込んだ高性能の2008年シーズンに向けての新型タイヤをテストしながら、2008年パッケージの様々な部品をテストした様子だ。
■SBKオーストラリア合同テスト、3日間の総合順位
以下に、オーストラリアのフィリップ・アイランドにおいて1月8日から1月10日まで行われたSBK公式テストの3日間の総合タイムを各ライダーのベストラップ順に示す。
1) 加賀山就臣 JPN チーム・アルスター・スズキ Suzuki GSX-R 1000 1分32秒1 2) トロイ・ベイリス AUS ドゥカティ・ゼロックス・チーム Ducati 1098 F08 1分32秒2
3) ミッシェル・ファブリツィオ ITA ドゥカティ・ゼロックス・チーム Ducati 1098 F08 1分32秒3
4) ルーベン・ザウス ESP チーム・ステリルガルダ・ゴー・イレブン Ducati 1098 F08 1分32秒3 5) フォンシ・ニエト ESP チーム・アルスター・スズキ Suzuki GSX-R 1000 1分32秒3 6) 芳賀紀行 JPN ヤマハ・モーター・イタリア Yamaha YZF R1 1分32秒4 7) トロイ・コーサー AUS ヤマハ・モーター・イタリア Yamaha YZF R1 1分32秒7 8) マックス・ビアッジ ITA チーム・ステリルガルダ・ゴー・イレブン Ducati 1098 F08 1分32秒8 9) レジス・ラコーニ FRA カワサキ・PSG-1・コルセ Kawasaki ZX-10R 1分33秒0 10) 玉田誠 JPN カワサキ・PSG-1・コルセ Kawasaki ZX-10R 1分33秒4 11) マックス・ノイキルヒナー GER チーム・アルスター・スズキ Suzuki GSX-R 1000 1分35秒5
■トップタイムは加賀山選手
ベイリスが2日目に記録した1分32秒2のタイムを破り、3日間の総合トップに立ったのは、初日にはベイリスと芳賀選手に次ぐ3番手タイム、2日目はベイリスに次ぐ2番手タイムを記録し、最終日には1分32秒1のベストタイムを記録したアルスター・スズキの加賀山就臣選手だった。
非常に暑い中で多くのデータを収集する事ができたとする加賀山選手は「3日間を通して効率よく作業が進み、とてもいい形で2008年をスタートする事ができた」とコメントしている。
■ベイリスの2日目のタイムが総合2番手、新チームメイトのファブリツィオは3番手
2日目のタイムが加賀山選手から0.1秒遅れの総合2番手タイムとなったトロイ・ベイリスのタイムに続いたのは、初日は6番手タイムだったものの、昨年までSBKを戦ったホンダのマシンとは特性の大きく異なるドゥカティーの2気筒1200ccマシン、1098F08への素早い適応能力を見せるミッシェル・ファブリツィオだ。
■新開発タイヤを使用せずにワークス・ドゥカティーに迫ったザウス
また、総合4番手となったルーベン・ザウスは、他のチームとは異なりピレリの新開発のタイヤを装着せずに、計測タイム上は同じ1098F08に乗るワークスのファブリツィオと同タイムの1分32秒3を記録している。
5番手は今年からアルスター・スズキに移籍した元カワサキのフォンシ・ニエト。ニエトは2日目にはセッティング上のトラブルに見舞われて9番手にまで後退していたが、最終日にはマシンの調子が戻り、10分の1秒計測ではファブリツィオとザウスと同タイムとなる1分32秒3を記録。
■3日目は新型パーツの検証に集中した芳賀選手は総合6番手
初日にはベイリスに次ぐ2番手、2日目はベイリスと加賀山選手に次ぐ3番手タイムを記録していた昨年度のランキング2位、ヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手は、2008年仕様の新しいエア・インテークをテストした3日目には1分32秒4の自己ベストで総合6番手につけた。まだインテークなどの新パーツの調整には時間がかかると述べる芳賀選手だが、「確実に性能は上がっているし間違いなく新シーズンは新しいパーツを使う事になる」とコメント。
芳賀選手に続いたのは、そのチームメイトであり同様の新型パーツを試したというヤマハ・イタリア2年目のトロイ・コーサー。開幕直前のテストでは常にトップタイムを記録してくるコーサーだが、今回の地元オーストラリアのテストでは芳賀選手から0.3秒遅れの7番手タイムだった。
■初のドゥカティー1098Rを試したビアッジは総合8番手
コーサーに続く総合8番手タイムは、昨年はアルスター・スズキで戦い、年末にステルリガルダ・ゴーイレブンへの移籍を発表、今回のテストで初めてドゥカティーの1098Rを試したマックス・ビアッジ。ビアッジは初日8番手、2日目には7番手と、あまり3日間を通して順位を上げる事はできなかったが、ビアッジはテストの終了後には「初めて経験するドゥカティーのツイン(2気筒)エンジンのパワーを学ぶ事ができて満足」とするコメントを残している。
なお、8番手のビアッジとトップの加賀山選手のタイムは0.7秒差とそれほど大きくはなく、ここまでのライダーのタイムはかなり接近している。
■やや慎重に走ったという玉田選手は総合10番手
SBKでは過去のホンダからのスポット参戦における3レースでの勝利記録を誇るカワサキPSG-1の玉田誠選手は、初めてのフル参戦を前に今回の公式テストでは、3日間を通して10番手以上の順位を記録する事ができなかった。
チームメイトのレジス・ラコーニの9番手に次ぐ総合10番手となった玉田選手は、「以前にスーパーバイクで走ってからはかなりの時間が経っているので、最初の2日間は再び慣れるために慎重に走った。毎日調子は上がっていったが、マシンのセッティングに関しては特に路面にくぼみのある場所で若干チャタリングが発生したので、激しく攻めて走れるようにするにはこの課題から解決していく必要がある」とテスト終了後に語った。
なお、体調不良のために2日目以降は走行できなかったアルスター・スズキのマックス・ノイキルヒナーが初日に記録したタイムは総合11番手だった。
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